本当の「私」でいられる、その日まで。

「……………えっ?私?」

 言葉の意味が理解できなかった。確かに,一緒に帰りたいとは思っていた。

(けど,まさか玲紬さんも同じことを考えていたとは思わないじゃん!)

「で,どうする?帰るの?帰らないの?」

 悪戯っ子のような顔でこちらを見る玲紬さんに,不覚にもドキッとしてしまう。

「え,あっ,帰る!一緒に帰る!」

「じゃあ決まり。早く荷物取って一緒に帰ろっか」

「う,うん。分かった。荷物取ってくるね」

 私は佳奈ちゃんからの誘いを断る為にも,急いで佳奈ちゃんのもとに向かった。

「佳奈ちゃんごめん。今日一緒に帰る約束してた人いたの忘れてた。また今度誘って」