(このまま時間が止まって欲しい………)

 そんなことを考えていた。

「あっ,着いたよ。ここが1年A組」

 でもそんな願いは叶わず,私の教室まで着いてしまった。

「で,さっきも話したように,俺の教室はこの階の1つ上。困ったことがあったらいつでも来てね」

「うん,ありがとう。道案内もありがとう。それじゃ,またね」

「おぅ,またな」

 ひらひらと手を振って,玲紬さんの姿が見えなくなった後,教室の扉の前で不安な気持ちに駆られた。

(大丈夫だといいけど………)

 そんなことを思いながら,震える手で教室の扉を開けた。