お祭りが終わると、唯空は母方の祖父母の家に顔を出しに行き、翌週は父方の祖父母の家に行くらしい。しばらく会えない間、私は課題と夢の両立に追われる生活が始まった。
全教科のプリントとテキスト。読書感想文。
確実に近づく応募の締切。
スマホを見る時間もご飯を食べる時間もなくて、ひたすら手を動かした。
課題の一日のノルマを死ぬ気で終わらせて、あのノートを開く。
タイトルは『最期の夏』に決まり、また隣に座って、一緒に思い出話をしたい的なニュアンスで締めようと決めていた。
昨日までの過去を思い出す最近の私は、少しおかしかった。
唯空の顔を思い浮かべるだけで、トクトクと胸音が早くなり、声が聞きたくなって、そのときに思い出す、「初恋をこじらせている」という言葉に胸を苦しいくらい締め付けられる。抱きしめられたあの感覚が忘れられない。
自分が自分じゃないみたいだ。気持ち悪い。
よくある、ウェブの質問コーナーにその内容を書いてみると、『それは恋ですね。主様の恋が実ることを応援しています!』『立派な片思いです。初恋ですか?おめでとうございます』と、予想外の返信が並んだ。
この気持ちが恋……。
言われて自覚すると、一気に恥ずかしくなる。顔が赤くなるのが鏡を見なくてもわかる。
恋をしているということは、唯空のことが……好き、ということ。
でも初恋は叶わないというのは、恋に縁があろうがなかろうがよく聞く話で、好きな人がいる宣言をされている私に、その言い伝えはピッタリと当てはまる。
幼なじみに恋をする。しかも、あと少ししか会えない相手に。
まるでマンガの設定のような恋だ。
きっと、心のどこかでこの人に恋をしてはいけないと思っていた。そうじゃないと、好きな人がいる人にひょこひょこ寄っていくことなんてない。きっと、隣の芝は青く見える、というのと同じ感じ。だからきっと、すぐにこの恋心は忘れられる。忘れないといけないんだ。
残り少ないのに、口を滑らせてこの感情を伝えて気まずいままお別れなんて絶対にできない。
呼ばれても、絶対お葬式なんて行けない。今、考えるだけで涙が出そうなのに、もっともっと辛くて痛くて、私も後を追うかもしれない。
そんな未来が想像できてしまうから、唯空が双方の祖父母の家から帰ってくる夏休み明けまでに気持ちを消し去ることにした。
全教科のプリントとテキスト。読書感想文。
確実に近づく応募の締切。
スマホを見る時間もご飯を食べる時間もなくて、ひたすら手を動かした。
課題の一日のノルマを死ぬ気で終わらせて、あのノートを開く。
タイトルは『最期の夏』に決まり、また隣に座って、一緒に思い出話をしたい的なニュアンスで締めようと決めていた。
昨日までの過去を思い出す最近の私は、少しおかしかった。
唯空の顔を思い浮かべるだけで、トクトクと胸音が早くなり、声が聞きたくなって、そのときに思い出す、「初恋をこじらせている」という言葉に胸を苦しいくらい締め付けられる。抱きしめられたあの感覚が忘れられない。
自分が自分じゃないみたいだ。気持ち悪い。
よくある、ウェブの質問コーナーにその内容を書いてみると、『それは恋ですね。主様の恋が実ることを応援しています!』『立派な片思いです。初恋ですか?おめでとうございます』と、予想外の返信が並んだ。
この気持ちが恋……。
言われて自覚すると、一気に恥ずかしくなる。顔が赤くなるのが鏡を見なくてもわかる。
恋をしているということは、唯空のことが……好き、ということ。
でも初恋は叶わないというのは、恋に縁があろうがなかろうがよく聞く話で、好きな人がいる宣言をされている私に、その言い伝えはピッタリと当てはまる。
幼なじみに恋をする。しかも、あと少ししか会えない相手に。
まるでマンガの設定のような恋だ。
きっと、心のどこかでこの人に恋をしてはいけないと思っていた。そうじゃないと、好きな人がいる人にひょこひょこ寄っていくことなんてない。きっと、隣の芝は青く見える、というのと同じ感じ。だからきっと、すぐにこの恋心は忘れられる。忘れないといけないんだ。
残り少ないのに、口を滑らせてこの感情を伝えて気まずいままお別れなんて絶対にできない。
呼ばれても、絶対お葬式なんて行けない。今、考えるだけで涙が出そうなのに、もっともっと辛くて痛くて、私も後を追うかもしれない。
そんな未来が想像できてしまうから、唯空が双方の祖父母の家から帰ってくる夏休み明けまでに気持ちを消し去ることにした。