「どこへいってしまわれたの、伯父様……」 
 密かに慕っていた叔父の和樹が行方知れずのまま数年が過ぎた。叔父の覚え書が記されたノートを見つけた、姪の美咲。一人静かに、四つの話を読み進めていく……。



「咲かないはずの桜が……」

「鬼が出るなんておかしな話……」

「それでも愛し幸せだったのだ……」

「川は続いている。どこへでも……」



「叔父様が死んだなんて……!」
 叔父の死を確信した美咲。和樹が経験した摩訶不思議を追従するように、三途の川を上った先で、叔父を取り戻すために、自らの記憶を捧げるのだった。

「美咲、僕がわかるかい?」
 すべての記憶と引き換えに、和樹を取り戻すことに成功した美咲。だが、その恋心もすべて失い、美咲はなにひとつわからないのであった――。