「私、夜になると死ぬの」
その言葉は衝撃的で。
抽象的でもなんでもなく、彼女は本当に夜に存在しなくなる。
夜に憧れを抱きながら、彼女は1つの願いを少年に託す。
“花火が見たい”
いつの間にか自分の中で彼女の存在が大きくなっていたことで、彼は彼女のために懸命に写真を残す。
不器用な距離感は、まさに青春そのもの。
後ろ向きな彼女のために、簡単にバレてしまうような嘘をつくあたりも、それを表していた。
嘘は良くない。だけど、この物語の嘘は、他者を傷つけるものではなく、彼女を前向きにするもので。
そんな嘘を、許したくなる気持ちになりました。
その真意に気付きながらも口にせず、密かに前を向いて進もうとする少女の姿も素敵でした。