私は強引に手を引かれると、屋台が立ち並ぶところから離れた小さな公園っぽい場所に連れていかれる。

「どうしたの?」

 その言葉に何も言わずに、レオは私の目元を拭った。

「──っ!」
「そんなに辛かったか? 聖女として非難されたのが」

 それを言われて初めて自分が涙を流していたことに気づいた。

「違うの! その、クレープって私の国にもあって、そっくりだったから思い出して、その……」
「恋しくなったか?」
「はい……」

 レオはすぐそばにあったベンチに座ると、横に座るように促してくる。
 私も同じように腰かけると、レオは向こうのほうを見ながら話し始める。

「元々世界には魔法があふれていた」
「え?」
「今でこそ魔術師とごく一部の人間になったが、普通に皆魔法が使えてたそうだ。だがやがて魔法は廃れて、魔法を使う者も減っていった。やがて生き残った魔法使いたちが自分たちの国を作った。それがコーデリア国だ」
「魔法使いの生き残り……」