──ある晴れた日、王妃は我が物顔で謁見の間の玉座に腰かけると、優雅に扇をはためかせて言った。

「あら、リーディアちゃん。サロンやお庭じゃなくてわざわざ謁見の間でお話したいことって何かしら? まさかっ! エリクとの結婚宣言の式典の日取りを早めてほしいとか?! やだあ~もうそんなにエリクのことが好きなの~?」
「エリク様には先にお伝えしたのですが」
「まあっ! じゃあやっぱり結婚宣言のしき……」
「エリク様は泣いて私にすがりつきましたよ」
「──っ?」
「第一王子エリク・ル・スタリー様との婚約を破棄させていただきたくお願いにあがりました」
「──っ! あなた、まさか……」

 王妃が私を見る目が変わり、一気にその顔は化けの皮がはがれたように凄みを増した表情になる。

「あなたを母と慕う予定はありませんし、両親が亡くなって引き取っていただいた恩を感じることもありません。なぜなら、そんな両親端からいませんから」
「──っ!」