ユリウス様は恥ずかしそうに頭を搔きながら少し目を逸らして顔を赤くする。
 字でもその真面目さを感じられたけど、なんだかこうした反応を見ると可愛いというか、好感が持てるな。

「こほん。ユリウス様、聖女様、そろそろよろしいでしょうか?」
「え、ええ。ごめんなさい書庫室長」
「いえ。先日の調査によりやはりエリク様も王妃様と共犯で記憶の改ざんに関わっていると」
「はい、改ざんの儀式などそのものに関わっていなくとも、やはり不自然に記憶を覚えていないことが多いです。それに私の事を「聖女」としてしか見ておらず、私自身を愛する気持ちもないこともわかりました」

 そう言っていてなんだか自分自身で悲しくなる。
 愛してほしいなんて思っていないけど、私が捧げた一年は一体なんだったのだろうかとは思ってしまうほどにはなっていた。

「それと、そろそろリアが何か不審がっている様子が見られるのでこれ以上風邪での休みや不用意な移動は避ける方がよいかもしれません」
「そうですね。こちらとしてはかなり証拠が集まってきたので、あなたはいつも通りの生活に戻ってください」
「わかりました」