レオはもう一度私の隣にやってきて腰を下ろすと、自身の指と指を絡める。

「幼い頃、俺と妹はコーデリア魔法祭に出かけた。もちろん、王宮の者に伝えずこっそり抜け出してな。それでお前と同じでクレープが妹は好きで」

 ああ、だからクレープ屋さんのことも知ってたんだ。
 そういえば、誰かと一緒に魔法祭に行ったって言ってたけど、妹さんのことだったのね。

「公園のベンチで食べて、妹も楽しそうに笑ってた。ただ、俺がその笑顔を奪ったんだ」
「……何があったの……?」
「帰り道で反王族派の人間に見つかって……それで、俺をかばって妹が、呪いにかかった」
「そんな……」

 お兄ちゃんをかばって妹さんが呪いにかかって、レオもきっと辛かったよね。
 私は当時を思い出しているのか、顔をひどく歪めた彼の背中をさすった。
 珍しく、ありがとうとレオは呟くと続きを話し始める。

「それで王宮の人間が駆け付け、俺は国王と王妃から責められた。二人とも魔法の力が強かった妹を溺愛してたからな。当然だ。それでは、罰……いや、厄介払いというか、嫌われて憎まれて、『お前の顔なんか見たくない』って第二王宮に追いやられた」