私はとりあえず海にまた向かった
砂浜に座った
この海もいつかは消えるのかな…
「あんた、りくくんを奪っておいて
何泣いてるの?
泣きたいの私なんだけど」
ふいに希良梨ちゃんが現れた
「希良梨ちゃん!?」
「あんたのことだからさ
なにか人に言えない過去でもあるんでしょ?」
「やっぱり…薄々気づいたよね…
希良梨ちゃん、今日はごめんねついカッっと
なって…」
「うん、で?何?言えない過去」
希良梨ちゃんはわくわくした顔で聞いてきた
「中学の頃の私はね
クラスの皆に角をはやしてたの。
【だから?なに?】とか【あっそ】
とか、わざとじゃなくて
それが本当の私だったの。
当然クラスの人からは嫌われたよ。
でもね愛花だけはずっと隣りにいてくれたの」
「愛花って同じクラスの?やっぱり
仲良かったんだね。
まぁそうだとは思ったけど」
希良梨ちゃんが鼻でふっと笑った
「で?それが理由ではないよね?」
希良梨ちゃんが顔を覗き込んできた
「うん、
私がちょうど嫌われ始めた頃かな…
お母さんが死んじゃったの。
しかも刃物にお母さんの指紋がついてたって
なって自殺って警察に言われたの。
それを知ったクラスの中心の女の子達が
【未来が殺した。】とか
【未来のこと捨てたんだな。】
そんな事を言い始めたの」
ちょっとまってと希良梨ちゃんが止めた
「愛花は?親友なら助けてくれるじゃん」
「うん、私は愛花に助けを求めたよ。
そしたら愛花が
【お母さんが死んだのは当然の報い】
って言ったの。
もちろん私は学校に行かなくなった。
いやあのときはいる場所がなかった…」
「へ、へー。なんか今の私ににてる」
希良梨ちゃんが唐突に似てると…?
「似てないでしょ!希良梨ちゃんは……
あ…で、その頃にお母さんのお姉さんに
私は引き取られたの。
でもそのお姉さんは夜の仕事したりで
いわゆる虐待に当たるのかな…?
わかんないけどそんな人なの。」
「ごめん、理解が追いつかない。
でもたいへんだったんやね」
「……それで愛花にひどいこと言ってしまったの
1番の親友だと思ってたのに最低…って
でもあとから知ったけど愛花は
女の子たちに指示されたんだって。
でも、私は許せなかった。
思ってなくてもそんなこと言ったことが
許せなかったの
その出来事をきっかけに
天使になろうって……
優しくすれば友達に好かれると思った
だから無理にでも私は自分を変えた。
そのせいで今は…」
「なにもうまくいってないのか…」
「あーごめん…こんなこと話して」
私は涙を拭いた
「あ、こちらこそごめん。
今日ひどいことしたりして」
「全然…りくとのこと応援してる」
「う…うん。一応聞くけどりくのこと好き?」
「ううん、そんなことないよ。
弟みたいな感じ」
「慌てないってことは本当なんだね」
私は頷いた
「ごめん希良梨ちゃん。
私行かないと。」
「どこに?」
「拓海くんのとこ…」
「あの人殺し…」
希良梨ちゃんはぼそっとそういった
「え…?」
「覚えて…ないよね…」
私は
その時思い出した
「希良梨…?」
「久しぶり。お姉ちゃん」
「え…」