私の隣にはいつも、千春しかいなかった。千春とは家が隣で幼稚園からずっと一緒にいて、高校も同じだ。

「私は千春がいれば他の誰もいらない」

「千春もなるがそばにいてくれさえすれば誰もいらないよ。これからも隣にいてよね。」

千春も私もお互いを必要としていた。

私たちが住んでいる町は福岡県のごく普通の町だ。
都会でもないし田舎でもない。

毎日、朝早くに起きて、ご飯を食べて千春と学校に行って、千春と帰ってくる。そんな毎日の繰り返し。それでも私は幸せだった。そばに千春がいるだけで。

高校1年生になって初めての冬休みになった。クリスマスはいつも通り千春と一緒に過ごした。大きなショッピングモールに行って、2人で買い物をしたり、夜には私の家族と千春の家族でクリスマスパーティーをしたりした。テレビを見たり、人生ゲームをしたりとても有意義なクリスマスだった。

お正月は、千春は石川県のおばあちゃんの家に帰らないといけなかった。毎年、お正月だけは、千春と過ごせないけど仕方の無い事だった。

いつも、私はお正月は家族で過ごしている。学校の友達は、友達同士で初詣に行ったり遊んだりしている。だけど、私は千春以外に友達はいないから、家で家族とまったり過ごしている。
午後4時頃になった時テレビでおかしなことがながれていた。

「ただいま石川県の能登半島で震度7の地震が発生しました。石川県に住んでいる方今すぐに避難してください。石川県付近の県に住んでいる方も今すぐ避難してください。」

「は?」

どういうことか訳が分からなかった。
すると1本の電話が私にかかってきた。千春からだ。
私はすぐに出た。

「千春!大丈夫?地震って今ニュースで、」

「なる、うっやばい、家が崩れて挟まってるの。」