並木咲乃15歳。
趣味も特技も特にないけど学校で仲のいい光里や華香と他愛もない話をしている時間が本当に好き。
はまっている食べ物は光里たちと最近食べに行ったお店のフルーツパイ。
嫌いな食べ物はまあ何個かあるけど、頑張って食べるようにしている。勉強も運動もなんでも平均的で国語というか文章を書くことが好き。
クラスでも特に目立つこともなければ陰気すぎるわけでもない。

私の自己紹介をしようとしてもこのくらいしか出てこないほど本当になんでも平均的な中3女子。

家庭のことを言えば、私の家はシングルマザーで私が物心ついたときにはもう父親は家にいなかった。だから、父親がいないということを不自然に感じることはなかった。それでも、友達が父親の話をしているのを聞くと「私にもお父さんとかパパとか呼べる人がいたらな」と少し羨ましい気持ちになることはあった。

でも、私には私にとって本当に大切な存在のママがいる。

ママは娘である私でも自信を持って周りに宣言できるくらい、美人でメイクも上手くてスタイルも抜群。誰にも言ったことがないけど実は私が友達と遊びに行くときのコーディネートやメイクはママがしてくれている。そして、何よりも料理が上手。それは私の友達も私のお弁当を見て「咲乃ちゃんのお母さんってお料理上手すぎじゃない !?」とびっくりするくらいだ。

ママが作ってくれるお弁当に冷凍食品が入っていたことは今まで一度もない。しかも毎回おかずを変えてくれる。私が通っている中学校は月に一回、給食センターの点検とかなんとかで必ずお弁当の日がある。私は一ヶ月間その日を心待ちにしているくらい本当にママのお弁当が大好きだ。

私もママみたいに美人でスタイルも良くて料理が上手な人に生まれたかった。

料理の腕前はこれからママに追いつけるように頑張れたとしても、生まれもった容姿を変えることはいくら日本の医療や美容に対する技術が発達したとしても美容整形などをしない限りできないだろう。

まあ、ママが今まで大切に育ててきてくれて、たくさん可愛がってくれたこの顔をそんな高いお金を出してまで変える必要はないと思っているけれど。

それにしてもママと私の容姿はどうしてこんなにも似ていないのだろう。もしかしたら私はママではなく父親の方に似ているのかもしれない。

ぱっちり平行二重のママに対して誰がどう見ても一重の私。
ぷっくらとした可愛い涙袋があるママに対して目の下絶壁の私。
背が170センチもあるママに対して背の順はいつも前の方の小柄な私。
私とママが本当の親子なのか誰かに疑われたとしてもおかしくないと思う。でも、誰になんと言われようと、私はママの娘だし、ママも私だけの大切なママだ。それはこの先私とママの間にどんなでできごとがあったとしても変わらない。

きっと、、、いや、絶対に。