「僕の知り合いがね、
『必要な人とは必要な時に出会って、その人が必要でなくなった時には別れが訪れる。
それは寂しいかもしれないけど、決して悪いことじゃなくて、また次の必要な人と出会えるってこと。』
って言ってた」
そこまで言うと、彼はこちらに視線を移す。
「新しい出会いがあるって考えると、別れも楽しみじゃない?
だから、次の楽しみに向けて、今は少しだけ寂しい思いをするのもありなのかなって僕は思うかな」
「そっか」
なんだかすごく腑に落ちた気がした。
必要な時に必要な人と。
「すごく納得。私の人生にとって幽霊さんは必要な人で、必要な時に出会えたと思う」
「そう?」
「うん!ありがとう!
用事思い出したから今日はもう帰るね」
「うん。またね」
帰ったらいつものようにママが玄関で待っていた。
そしていつものように、“おかえり”と“ごめんね”。
「……ねぇママ」
「なーに?」
「私、ママが辛いのは嫌だよ。
だから、私のことを考えて一緒にいるって選択をしてるなら、パパと別れてもいいからね」
「どうしたの、急に」
「別れるって寂しいだけじゃないかもって思ったの」
「……そっか、ありがとう。
少し考えてみるね」
ママはそっと私を抱きしめてくれた。