期待通り、今日もその顔を見つける。
彼は以前と同じように空を見上げていた。


「こんばんは。また会ったね」


「今日も星を見てたの?」


そう思って見上げるが、今日は雲が多く星は見えない。


「空を見てた。星がなくても空は綺麗だからね」


確かにそうだ。
私はみんなが綺麗に思う星空より、月光が雲を照らしている今日のような空の方が好きだし。


「君は?今日も散歩?」


「うん」


「僕も一緒に散歩してもいいかな」


その提案で暗くて怖い夜道が、一瞬でいいものに見えてくる。


「いいよ」


彼は口数が多い方ではないらしく、ふと思いついたように2、3言話しては無言で歩いていた。

夜中に出歩いている詳しい理由も、名前でさえ何も聞かれない。

そんな時間が心地よくて、こんなこと思ったら良くないのかもしれないけど、両親が喧嘩してくれてよかったとさえ思ってしまった。


「じゃあ私はそろそろ帰るね」


「うん。またね」


「……また、会える?」


「きっとね。
ほら、二度あることは三度あるっていうでしょ?2回目があったんだから、きっと3回目もあるよ」


「うん、そうだね」