4月。
私は今年から高校生になった。
通っていた中学からそんなに離れた学校ではないから、ちらほら知っている人も見かける。
特別仲のいい人がいたわけでもないし、話しかけるほどではないけど。
私はクラスを確認して、教室に向かう。
2組……2組……、あった!
1年2組の文字を見つけて、その教室へ足を踏み入れる。
同じ中学なのか、もうグループが出来ていそうなところもあった。
まあ最初のグループって意外と長く持たないから、とりあえずは席近い人と仲良くなりたいな。
黒板で自分の座席を確認した後、席に着こうと振り返って、驚く。
あの見覚えのある顔は……。
「えっ、嘘」
その人は窓の外を見てて、こちらには気づいていない。
けどあの横顔は間違いない。
暗がりでしか見たことがなかったから、新鮮だな。
……ん?待って。幽霊なのでは……?
黒板を見て、彼の座る席の名前を確認する。
大城空。
その後に彼のつけている名札を見る。
大城。
えっ、てことは実在してる?
この人みんなに見えてる?幽霊じゃない?
隣の席だし確認がてら、隣の者です、よろしく、って感じで声をかけたらいいよね?
それで周りが変な顔しなかったら、あの人は生きてるってことだよね?
「……大城さん?」
「はい。……あっ」
「……幽霊さん?」
「……はい」
「幽霊じゃない?」
「はい」
「嘘ついてたの?」
「僕は一度も肯定してないよ。ただ君がそう信じてただけで」
「……ひど」
「ごめん。
改めて、大城空です。生きた人間です」
「はい。
志田星麗です。人間です」
「ふふ、君が人間なのは知ってるよ」
「それもそっか」