「空、ご飯置いとくね。
今朝はお雑煮にしちゃったから、お餅がかたくならないうちに早めに食べるんだよ〜」


そういえばそんな時期になったんだった。
昔何故かハマって、毎日のように雑煮がいいって言ってた時期もあったな。


「じゃあ仕事行ってくるね」


「行ってらっしゃい」


今日はこのひと言だけでも返すって決めてた。


「……行ってきます!」


扉越しだったから表情はわからなかったけど、元気な返事が返ってきて、思わず笑ってしまう。


冷めないうちに朝ごはんを食べ終えた僕は、机の上を片付け、今日の分の勉強を進める。

やる事も特になかったし、勉強が嫌いというわけではなかったから、学校に行かずとも自分で教科書を見つつ勉強はしていた。

中学はもう行きたいとは思えないけど、高校は行きたいと思っている。

僕をいじめていた主犯格は勉強は全くできないから、近くのあの高校には入れないだろうし、多分もう大丈夫。
それに、近場の高校であれば彼女がいる可能性もある。


そういえば名前も、年齢すら聞いたことがなかった。

学校の話はしていたし、同い年くらいではあると思っているけど。