福岡に引っ越して、二カ月ぐらい経ったころ。
 僕は慣れない環境に、合わせるのに苦労していた。

 だが、クラスの同じ班になっている森盛さんが、よく話しかけてくれるから、「あれ、イケちゃう?」とテンション爆上げで通学していた。

 いらない情報だが、僕の髪質は天然パーマだ。
 家族はみんな天パー。
 そして、ボンバーヘアだ。

 正直、この天然パーマには悩まされた。
 なにかってと、すぐに「あの天パー、イカ臭い」とか言われる。
 コンプレックスだった。
 だから、ストレートヘアに憧れていた。

 ある日、森盛さんが、いつものように僕に話しかけてくる。

「ねぇねぇ、童貞くんってさ。その頭……」
 言いかけて、すぐに察した。
 どうせ、森盛さんも僕の頭をけなすんだ。
「そうだよ。だから、なに?」
 ちょっとすねて見る。
「すごく柔らかそうっちゃ! 触ってもよか?」
「え……」
 僕の予想と反して、彼女は目をキラキラと輝かせてる。

「ね、よかやろ?」
「う、うん……」

 そっと頭を差し出すと、彼女の小さな手が優しく触れる。

「うわぁ、思った通り、フワフワで柔らか~いっちゃ!」
「そ、そう?」
「うん、バリ気持ちよかぁ~」

 その間、僕はずっと頭を撫で回される。
 たぶん5分間ぐらい触られた。
 
 森盛さんは嬉しそうに「柔らかい、柔らかい」と言っていたが……。

 机の下で、僕の股間はギッチギチに硬くなってしまう。

「どうやったら、こんなに柔らかくなると?」
「う、さあ……」

 必要以上なまでのボディタッチ……いやヘッドタッチ。
 触るなら、下のヘッドにして欲しいものだ。

 この子、僕に惚れているどころか、初めてを捧げる覚悟だな!?