理央がそう言ったのなら仕方ない。理央にも何か理由があったはずだと、理央のお母さんから手紙を受け取った。

何が書いてあるだろう。理央は僕に何を残してくれたのだろう。


真っ白な便箋に厚みはなかった。

そうだよな、あの理央が手紙を書くなんて想像もつかない。


長々と書くのも何だか苦手そうだし、

不器用な理央なりにちゃんと短くても伝わるように書いてくれたのだろう。



「響くん、その手紙を読む前に少し、私たちに時間をくれないかしら」


「はい、何ですか」


理央の両親は僕と向かい合わせにあるソファにゆっくりと腰かけた。


「理央との思い出を聞かせてほしいの」


「え、理央との話ですか?」


「いつも響くんとどんな話をしているのって聞いてもね、理央ったら恥ずかしがって教えてくれなくて。だから聞きたいなって」


「……そうですか。でも大して面白くないですよ」


「良いの。理央と響くんのことを知りたいだけだもの」