「お前を見た時、明らかに他の奴らが俺を見てくる目とは違った。俺の制服を羨ましそうに見てた、きらきら目を輝かせてさ」
「そんなわけ、ないだろ」
「本当はスカート、はきたいんだろ?」
ああ、まただ。
また彼女の瞳に吸い込まれそうになる。
嫌だな。
僕の全てを見透かされているようなその瞳が。少しでも、スカートをはいてみたいと思う僕の心が。
気持ち悪い。
そうやって彼女も僕のことを避けるんだろう。
絶対に言わない。言いたくない。
相手を傷つけて自分を見失うのも、自分が傷ついて相手が嘲るのも、僕は絶対に嫌だ。
今まで関わってきた相手の本当の顔を僕は知りたくない。
「興味ないよ、そんなの」
本当は僕のことを見下して、笑って、気持ち悪がっていたのか、なんて、
そんなの、知りたくないに決まってるじゃないか。