あれからまもなく蓮は私の隣から消えた。

今日は卒業式。

会場で名前を呼ばれるのを待った

「桜井 華夏。」

「はい」

私は卒業証書を校長先生から受け取った

その時に卒業するんだって感じた。

あぁ長かったな…

その後はあっという間に卒業式が終わった。

教室で最後のHRが終わり、

皆で外で写真とりが始まった。

「華夏ー!4人で写真撮ろう!」

瑠菜に誘われて私は写真を撮った

「このあとどこか行く?」

瑠菜が聞いたけど2人共彼氏と予定があるって

そのままどこかに行った。

「華夏は?」

「私、彼氏いないよ?」

「蓮くんの……お墓にいきなよ」

私はその時、東校舎が頭に浮かんだ。

文化祭以降、東校舎には足を踏み入れてない。

後で帰りに寄って行こうかな。

私は1人で歩いて帰った。

なんかいつも東校舎に行くときは走ってたな…

今じゃ懐かしい…

私は1人で東校舎に行った

屋上まで一段一段階段をゆっくり上がった。

屋上のドアを開けて外に出た

「ここは…変わらないな…」

私は腕を広げて風を感じた

だいぶあったかくなったね…

私は悲しくなりそうだったから

すぐに出ようとした。

ドアを開けた。そこには

「あら、もしかして華夏さん?」

清掃員の方がいた。

「あ、どーも。」

「あ、そーだ!
 これ、蓮くんが俺がしばらくここに
 来てなかったら華夏ちゃんに
 渡してって言われたの。
 もう1年以上きてないから。渡すわね」

私は両手で受け取った

「ありがとうございます」

私は屋上にもう一度でて受け取ったものを見た。

それは蓮からの手紙だった。

【拝啓。1年後の華夏へ

 これを華夏が持って、読んでるってことは、

 まぁ、俺は華夏の隣にいれてないんだな。

 バカだよな。でもなんか寂しいよ。

 俺は今こうやって華夏に手紙を書いてる。

 けどこれを読む頃には俺はいないんだもんな。

 中学の頃未来のお前が来た事実には驚いた。

 これもなにかの運命なんじゃないかって…

 事故の日、

 記憶がなくなるだけですむのかなって

 どこか思った。

 でもそんな世の中あまくないよな。

 通院して、いつもどおり病院行った時

 すぐ余命宣告だもんな

 笑っちゃうよ。

 いつか笑い話にでもしろよ。

 なぁ華夏。

 華夏、俺さ、自由探したんだけど

 華夏といる時以外の自由が見つからなかった。

 あのときの俺は本当に自由で幸せだった。

 その幸せを次は華夏が感じて。

 華夏はこれからどんな男と出会うんだろうか。

 正直、お前騙されやすいから怖いよ。

 余計なお世話か?

 華夏。俺からの本当に最後のお願いだ。

 またお前と変なことで笑いたいんだよ。

 だから俺がまたお前の前に現れるまで

 誰かと幸せになったりするなよ。

 何年かけてでも
 
 同じ姿で現れる。

 お前が卒業式の日。屋上にこいよ。

 その日に俺も屋上にいるから。

 そこではしっかり口で言いたい。

 【華夏が好き】

 言ってあげられなくて本当に申し訳ないよ。

 だからその日、必ずきて。

 それまで笑顔でいろよ。

 幸せにな。

 最後までばかな蓮より。】

その封筒の中には

蓮が書いた私がいた。

「うっ…うぅ……」

私は声にならない悲鳴をずっとあげた。

「蓮……来たよ……
 約束…守れよ…
 蓮……
 お願いだよ……」

さ…さ…さ…

誰かが歩く音がした

私は振り返った

そこには蓮がいた

「蓮…どうして…?」

私は蓮に触った。触れた。

「華夏が未来から来れたんだ。
 俺は過去から来たんだよ。」

「ふふ…
 蓮…私に言えなかったこと、言ってみてよ。」

「お前と幸せになりたかった
 華夏大好き。
 もう離さないから。」

それだけを言うと蓮は消えていった

私は空に目をやった

「蓮。
 私は信じてるよ。
 蓮が願ったことも、記憶も。
 ううん…忘れないから。大好き」

その日の空は雲一つない晴れだった。