ここは地下第二階層の未開拓通路。
 あれからエルとシルフィアとログスとララファは、各階層の魔物などを倒しながらここまでくる。

 そして現在エル達は、シルフィアの持つダグル迷宮の地図プレートをみていた。

 「なんか前よりも、未開拓の場所が減ってないか?」
 「確かにそうね。誰かが、開拓してくれたのかも」

 そう言いシルフィアは、エルをみる。

 「それじゃあ、探す場所が減ったんだよね?」
 「ララファ、そうなる。だが、減ったとしても……危険なのは変わらない」
 「ああ、エル。俺とララファは、既に覚悟ができてる。二人の足を引っ張らないように、この二週間……ララファと一緒に特訓したんだからな」

 それを聞きエルは、ニヤッと笑みを浮かべた。

 「そうらしいな。そのことは、グリモエステルスから聞いている」
 「そうなのね。私は、聞いてなかったから驚いたわ。それに……ここにくるまで、ログスとララファの戦い方をみていたけど……納得ね」

 そう言いシルフィアは、ニコリと笑みを浮かべた。

 「じゃあ、行こうか」

 エルはそう言いながら、背後の気配を探る。そう、自分たちをみてる気配を感じたからだ。

 (……二人か? セルギガの仲間……それとも眷属。とりあえずは、様子をみた方がいいな)

 そう思いエルは、用心のためグリモエステルスに頼み三人と意識を繋いでもらった。

 (誰か後ろにいる……だけど、振り返るなよ)
 (分かったわ。……様子をみるの?)
 (ああ……相手の出方をみる。それにセルギガの仲間が、二人だけとは限らないからな)

 そうエルが言うと三人は頷く。
 その後エル達は、お互い意識を繋いだまま未開拓の通路へ向かう。
 あとをつけていたセルギガの二人の眷属は、間合いを取りつつエル達を追いかける。


 ――場所は移り、倉庫街――

 ここは倉庫街と市場の境目だ。
 あれからラクドサスとキキョウは、ここまでくるもセルギガの仲間三人により囲まれた。

 「フッ……お前たちは何者だ?」

 そう言いラクドサスは、目の前にいる樽体系の男を睨んだ。

 「お前が、ラクドサスだな?」

 樽体系の男にそう問いかけられラクドサスは頷いた。

 「ああ、そうだ。だが俺は、お前たちに対して何者かと聞いている」
 「何者でも構わねぇだろっ! どうせここで、お前は死ぬんだからな」

 そう言い樽体系の男は、ラクドサスとキキョウとの間合いを詰める。他の二人も、ラクドサスとキキョウへと近寄っていった。

 (キキョウ……この三人は、眷属じゃないみたいだ。という事は、俺がオーパーツ所持者だと気づいていない)
 (そうみたいですね。じゃあここは、ワタシに任せて)
 (そうだな……その方がいい。キキョウ、済んだらすぐにこい!)

 それを聞き頷くとキキョウは、目の前に両手を翳す。

 「来てっ! セイントウィップ!!」

 そう叫ぶと翳した両手の前に眩く発光する鞭が現れる。その鞭を、すかさず持ち構えた。
 その間ラクドサスは、眼前の樽体系の男へと向かい駆けだす。
 それをみた樽体系の男は短剣を構えた。そして、向かいくるラクドサスを短剣で刺そうとする。
 するとラクドサスは、樽体系の男の眼前で消えた。
 樽体系の男は、目の前に居たラクドサスが消え混乱している。
 勿論、他の二人も困惑していた。
 消えたラクドサスはと云うと、一メートル先に現れる。その後、後ろを振り向かずそのままダグル迷宮へとむかった。

 「行ったわね。じゃあ貴方たちは、ワタシが相手してあげるわ……感謝しなさい」

 そう言うとキキョウは、鞭を地面に叩きつける。そしてその後、目の前の樽体系の男を睨みつけた。