――約二週間後。

 ここはダグル迷宮。その出入口の外側付近だ。
 ここにはエルとシルフィアとログスとララファがいる。

 あれからシルフィアは、一週間後に医療施設をでた。勿論キキョウも、同じ日に施設をでる。
 シルフィアが医療施設にいる間、エルとログスとララファは毎日のように見舞いに来ていた。
 退院後シルフィアは、まだ療養が必要だろうという事になる。そのため、一週間後にダグル迷宮に行くことにした。
 その間ラクドサスとキキョウは、地下二階層に行きログスとララファの兄を探し歩く。しかし、昨日まで探していたがみつからなかった。
 因みにエル達は、このことについて全く知らないのである。

 そして現在エル達は、迷宮に入る前に確認をしていた。

 「……ログスにララファ、遅くなって……ごめんね」
 「シルフィアさん、仕方ないですよ……怪我してたんだし」
 「うん、ログスの言う通り。確かに兄さんのこと心配だけど……ね」

 そう言いララファは、ニコリと笑みを浮かべる。

 「本当にありがとう。だけど、私がいなくても三人で行ってくれてもよかったのに」
 「いや、本当はそうしようと思った。だけど、ログスとララファがシルフィアも一緒にってな」
 「エル、そっかぁ。ハァー……じゃあ、今日からロスした分を挽回しないと」

 それを聞きエルとログスとララファは、コクッと頷いた。

 「そういう事だ……じゃあ、そろそろ行くか」

 そう言いエルはダグル迷宮の中へと向かい歩みを進める。
 それをみた三人は、エルのあとを追った。


 ――場所は、倉庫街の奥にある酒場へと移る――

 ここは酒場の二階にあるセルギガのための部屋。
 セルギガは窓際に立ち外を眺めていた。

 (エルが動いたと連絡があった。やっとダグル迷宮に入ってくれたか。このために眷属を集めたんだからな)

 そう思いながら不敵な笑みを浮かべる。

 (仲間に張らせるも、なかなか迷宮に向かう様子がなかった。……何があったか調べさせたが、まさかのシルフィアの怪我。まあいい……計画は遅れたが、今日決行する)

 そう言いセルギガは、机に向かい座った。
 そして眷属や仲間に連絡をする。


 ――場面は変わり、デスナイトメアキメラのアジト――

 ここにはラクドサスとキキョウがいた。
 ラクドサスは豪華な椅子に座り、キキョウと話をしている。

 「ダスカが抜けたらしいな」
 「そうみたいね。ダスカとつるんでた数名も抜けたみたいよ」
 「ああ……ダスカは、構わない。だが、有能なヤツまでつれていくとは……」

 そう言いラクドサスは、キッと無作為に睨んだ。

 「そういえば、ダスカはどこに引き抜かれたか分かったのか?」
 「ええ、それなんだけど……バッドスコーピオンの者たちと歩いてるのをみかけたわ」
 「……そういう事か。二週間前にエルが狙われた理由……。ダスカがセルギガに教えたようだな」

 それを聞きキキョウは頷いた。

 「なあキキョウ……セルギガは諦めると思うか?」
 「そうねぇ……恐らく諦めないでしょうね」
 「確かにな。そういえばエル達が迷宮に向かうのって、今日だったか?」

 そう問われキキョウは、どうだっただろうと考える。

 「……多分そうかも」
 「もしかしたら……迷宮で……」

 そう言いかけラクドサスは、慌てて立ち上がった。

 「キキョウ……俺たちも行くぞ」

 ラクドサスはそう言うと走り出しアジトをでる。そのあとをキキョウが追う。
 そしてラクドサスとキキョウは、ダグル迷宮へと急ぎ向かったのだった。