ここはエルの家。
 現在ここには、エルとシルフィアとラクドサスとキキョウがいる。

 因みにキキョウとは、デスナイトメアキメラのメンバーでラクドサスの眷属だ。
 キキョウ・ヤマノ、三十歳。長い黒髪を斜め上で纏めて結っている。左目に泣きボクロがあり、綺麗なお姉さまだ。
 そして、いつも着物と洋服を合わせたような服を着ている。

 四人は床に座っていた。
 そんな中ラクドサスは、ムスッとしている。

 「なんでこの俺が床に座らなければいけない!?」
 「ラクドサス、俺はまだこの町に来たばかりなんだから仕方ないだろっ!」
 「ハァー……まあいい。それと、この家全体に結界を張らせてもらった」

 それを聞きエルは頷いた。

 「で、なんでこの人……俺にべったりくっ付いてるんだ?」

 そう言いエルは、自分の体に磁石のようにくっ付いてるキキョウを指差す。
 その光景をみてシルフィアは、ムッとしている。

 「キキョウ、いい加減にしろ!」
 「んー……だってぇ、可愛いんだもん」

 それを聞きエルは、ハァーっと溜息をついた。

 「すみません……話がしづらいので、離れてくれませんか?」
 「そうねぇ。それなら……隣にいてもいいかしら?」

 そう言いキキョウは、エルをみつめる。

 「あ、うん……そのぐらいなら」

 エルはそう言いながらシルフィアの方をみた。それと同時に、身を震わせる。
 そうシルフィアの顔が鬼のようにみえたからだ。

 「……エル、俺の仲間を取るなよな」
 「いや、そんなつもりはない」

 そう言いエルは、ブンブンと顔を横に振る。

 「フッ、まあよい。さてと、本題に入るか」
 「ああ……そうだな」

 そう言うと部屋の中の空気が一変し重くなった。

 「俺のことは、どこまで気づいている?」
 「神のオーパーツ所持者だってことまでだ。それで、俺のことは?」
 「なるほどな。お前が、オーパーツ所持者ってことぐらいだが。なんでバッドスコーピオンのリーダー……いや、悪魔のオーパーツ所持者と揉めていた?」

 そう聞かれエルは、言いそうになるも堪えた。

 「……その前にラクドサスの方が先なんじゃないのか」
 「フッ、そう簡単に誘導にはのらんか」

 そう言いラクドサスは、エルを睨みみる。
 エルもまたラクドサスを睨みつけていた。

 ◆◇◆◇◆◇

 ここはグリモエステルスが創り出した空間である。
 エル達四人が話をしている間グリモエステルスは、ラクドサスのオーパーツをここに招いていた。
 それに気づいたラクドサスのオーパーツは、まずいと思い逃げようと試みる。だが、逃げられる訳もなく。目の前に現れたグリモエステルスに怯えていた。

 「やあ、久しいのう……元気じゃったか」
 「言葉と態度が違うようだな。そんなに、儂に会いたくなかったのか?」
 「いや……そうではない。いきなりここに招かれ動揺しただけじゃ」

 そう言い冷や汗をかいている。

 「まあいい……セイントチェーン。まさか貴方が……ラクドサスのオーパーツだったとは驚きだ」
 「それはこちらも同じ……エルのオーパーツが、グリモエステルスだとはのう」

 セイントチェーンはそう言い一歩後退した。

 「なんで、下がるんだい?」
 「いや……なんとなく条件反射じゃ。それはそうと……何か用があって私を呼んだのじゃろ?」
 「ああ……色々と聞きたくてね」

 それを聞きセイントチェーンは、球体の姿を青くする。
 そしてグリモエステルスはセイントチェーンから話を、いやほぼ脅しに近い方法で聞いていたのだった。