エルとシルフィアとログスとララファは、グリモエステルスの返答を待っている。

 (返答がくるまで依頼書をみてないか?)
 (エル……今の心境で、落ち着いて依頼書なんかみれないわ)
 (うん、シルフィアさんの言う通りだと思う。俺も……気になって無理だ)

 そう言いログスは俯いた。

 (アタシも無理……エルのことを考えると、余計にだよ)
 (みんな……ごめん巻き込んで)

 エルはつらくなり三人から目を逸らす。

 (巻き込まれたなんて思ってないわよ。ただ……エルのことが心配なだけ)
 (シルフィア……ありがとう。ううん、ログスにララファもな)

 そうエルに言われシルフィアとログスとララファは首を横に振る。

 (ありがとうは、俺の方だ。どんな形でも、兄貴を探すのを手伝ってくれた)
 (うん、アタシもログスと同じ……それに仲間にしてくれた)
 (そうだね……エルは、誰とも関係を持ちたくないと思っているかもしれない。でも、本心は違うよね……誰よりも人と関係を持ちたいと思っている)

 そう三人に言われエルは、泣きそうになった。

 (ああ……自分でも、ここまで人と関わりたいと思ってたなんて気づかなかった)
 (そうなのね……エル、私たちは貴方の眷属であって仲間。だから、なんでも話してって言わないけど……溜め込まないで)

 そう言われエルは頷く。

 “待たせたね……どう話すか考えていた。それでエル、君は洞窟で捕まった”
 (ああ、捕まって父さんとソイツと戦った。そのあと父さんは……)
 “うむ、だがエルムスはその戦いで死んだのではない”

 それを聞きエルは、不思議に思い首を傾げる。

 (じゃあ、どうして……何が原因で)
 “エルムスが戦った相手は、オーパーツ所持者だった。その意味が分かるかい?”
 (そうなると……エルムスは、そのオーパーツの所有者を倒したことになる。じゃあ、戦いのあと二体のオーパーツを所持していたってことなの?)

 そう言いシルフィアは思考を巡らせた。

 “そういう事だ”
 (んーだけどなんで、それが原因なんだ?)

 エルはグリモエステルスが言ってることを、いまいち理解できず困惑する。

 (そうよね……二体のオーパーツを所持したからって、死ぬ原因にならないはず)
 ”うむ、普通ならな。もし二体のオーパーツの相性が悪かったらどうなると思う?”
 (それって……最悪、所持者に影響がおよぶわ。じゃあ、エルムスの死因って……)

 そう言いシルフィアは俯いた。

 (だけど、俺があの洞窟に行かなければ……)

 エルはそう言いテーブルの一点をみつめる。

 ”いや、エルムスは喜んでいたらしい……エルの成長をね”
 (どういうことだ? それに、なんでそんなことが分かるんだ!)
 ”それは、バスターへルギアに聞いたからだよ。エルムスの遺言としてな。本来なら、バスターへルギアが君に伝えるはずだったことだ”

 それを聞きエルは首を傾げた。

 (父さんの遺言?)
 ”ああ、そういう事だ。君があの洞窟に行ったことは褒められることではない。でもそれ以上に、あの泣き虫のエルが一人でやったことを褒めていたそうだよ”

 そう言われエルは泣きそうになっている。

 ”それと、これも言っておいた方がいいね。本来なら魔剣バスターへルギアの正当な権利者は、エル……君だ。だが、今はその権利は別の者へと移行しているけどな”

 そう言われエルは驚いた。