ここはミライゼル冒険者ギルド商会。その建物内のカウンターの前には、エルとシルフィアとログスとララファが居て話をしている。
 あれからシルフィアはパーティーの退会処理を終えるとエル達の所に戻ってきた。

 そして現在、エル達はカルシャが持って来た依頼書を手分けしてみている。

 「思ってたよりも、パーティーでやれるクエストが多い」

 そう言いエルは、数枚の依頼書を交互にみた。

 「そうですね……あんなことが遭ったあとですので、皆さん警戒して依頼を受けてくれないのです」
 「カルシャさん、さっきも言ったけど。地下二階層で亡くなってた人たち……」

 その時の光景を思い出してしまいシルフィアは、つらくなり俯く。

 「そのことは他の者に伝えましたので、対処してもらえるはずです」

 そう言うもカルシャも、つらそうだ。

 「これ以上、犠牲者を増やさないように早く地図を完成させないと」
 「そうね……でも、前にも言ったけど……ランダムで魔物や魔獣や怪物が出現する」
 「シルフィア、それだけど……出現する怪物が違うだけで部屋は変化しないよな?」

 そうエルが言うとシルフィアは頷いた。

 「多分そうだと思う……全部の部屋をみた訳じゃないから」

 そうシルフィアに言われエルは考える。

 「んーそれなら、ランダムに出現しない部屋もあるかもしれない。それに、あの亡骸があった部屋はセーフポイントみたいだったよな?」
 「あーそういえば! でも、なんであんなに広かったのかな?」

 そう聞かれエルは思考を巡らせた。

 (確かにセーフポイントにしては広すぎる。それに罠も仕掛けられていなかったし……。なんなんだ……なんかシックリこない。何か見過ごしてないか?)

 そう考えるもエルは、何も思い浮かばない。

 (どういう事かな……なんかあるような気がする。それに、あそこには亡骸が沢山あった。そもそも……どうやってあの部屋に入ったの?)

 そうシルフィアは思考を巡らせるが無理なようだ。

 “二人共、何を悩んでおる?”
 (あの亡骸があった部屋ってなんだったのか……どうしても、分からない)
 (エルも同じこと考えてたんだね。本当に、あそこってなんだったのかな?)

 そう二人は言い再び考え始める。

 ”お前たちは、何をみてきた? なんであの場に亡骸が沢山あったのだ。よく考えれば分かること”
 (それが分からないから、悩んでいるんだ)
 ”なるほど……まあお前たちは、偶々運が良かったと頭を切り替えたらどうだ”

 そうグリモエステルスに言われ二人は、更に思考を巡らせた。

 (それもしかして、魔物とか怪物の餌の保管庫とかですか?)
 ”ログス、その通りだ。うむ、思ったよりも頭が柔らかいようだな”

 そう言われログスは照れる。

 (まさか、ログスとララファの意識も繋いだのか?)
 ”ああ、その方が話がし易いだろう”
 (ウンウン、アタシもそう思います)

 それを聞きエルは溜息をついた。

 (まあ……そうだな。そうか……じゃあ、そのことを伝えないと)

 そう言うとエルは急ぎカルシャにそのことを伝える。
 そうこうエル達がしているとギルドの扉が開いた。

 「ここにエル・ラルギエってヤツはいるか!?」

 そう大声で叫びラクドサスは建物内に入ってくる。
 ギルド内にいる者たちがザワツキ始めた。
 その声を聞いたシルフィアとログスとララファの顔は青ざめる。
 呼ばれたのでエルは、ラクドサスの方を向いた。

 「はい、俺ですけど」

 そう言いエルは、ラクドサスの方へと向かう。
 それをみたラクドサスは、自分の方に向かってくるエルを見据えた。