エルは叫びながら一軒一軒、家を覗き生存者を探し歩く。

「誰か、居たら返事してください!!」

 そう言うも誰の返事もない。

(やっぱり、無理なのか……)

 そう思うも全ての家を探し歩く。だが、やはり生存者は居なかった。
 火は段々に消える。だけど、殆どの家が焼け落ちた。
 エルは焼け落ちた民家を見渡す。

「なぜだ……なんで、こんなことに……」

 ガクッと膝をつき両手を地面につけた。そして、大声で泣き叫んだ。

「うぁぁあああああ――」

 泣きながら母親のマルセのことや、村のみんなのことが脳裏に浮かぶ。そして、泣きながら自問自答し始める。

(誰がこんな酷いことを……いったい、何が遭ったって言うんだ。そもそも、なんで俺だけが……。
 俺が古魔製品店(あの店)に寄らなければ……いや、もし間に合ったとしても何ができた? 恐らく、何もできず死んでたよな)

 そう考えながら涙を拭った。エルは更に思考を巡らせる。

(だけど、誰がこんなことを? 村の誰かが……ううん、あり得ない……)

 そう思いながら立ち上がった。

(じゃあ、誰が村のみんなを……)

 思考を巡らせながら、周囲を見渡してみる。エルは村の出入口の方を向くと、あることを思い出した。
 そう、村に数人の冒険者が入って行ったことをだ。

(そういえば、冒険者が村に……。だけど、そうだとしても……何もないこんな村を襲ったんだ? それも、皆殺しって……)

 再び涙が出てくる。それを手で拭った。

(ううん……その冒険者たちが、やったとは限らない。でも、何か知っているかもしれないよな)

 そう思うとエルは、マルセが居る方を向く。

(どうなる訳でもないけど……それに、探し出せるか分からない。でも、一人の顔は覚えてる。顔に大きな傷があったから、それを頼りに探せば……)

 エルはそう思考を巡らせながら、マルセの方へ向かい歩き出す。涙を流しながら……。

(そうだ……探求者、ううん……そっちじゃない。今、必要なのは……あのグリモエステルス(魔導書)の方だ!
 あれを手に入れて強くなる。それに今なら、あの魔導書を開く覚悟もあるしな)

 そう考えがまとまると涙を全て拭い、キッと前を見据える。そして、気持ちを切り替えるとマルセのもとに駆け出した。
 マルセのそばまでくると片膝をつきみる。

「母さん、みつかるか分からないけど……ううん、どんなことがあっても探し出すよ絶対に……。だけど、そのあとどうするかは分からない。でも……必ず……」

 そう誓う。その後、マルセに別れを告げ埋葬した。
 村のみんなも同じく別れを告げ埋葬する。

「これでいいかな。改めて母さん、みんな……行ってくる」

 そう言うとエルは、マルセと村の者たちの墓に背を向け歩き出す。
 そして村を出るとエルは、サリドデの町の【古魔製品店】に向かったのだった。