ここはシルフィアが居る場所。シルフィアは約三メートル以上ある五つ目の怪物と対峙していた。
　だがシルフィアの攻撃は、その怪物に効いていない。それだけじゃなく苦戦していて、攻撃を受け傷だらけである。
　地べたを這いシルフィアは、五つ目の怪物を見上げ睨みつけていた。

　「どうやって、こんな怪物を倒せっていうのよ。ハッキリいって、無理……」

　そう言いながらもシルフィアは、なんとか倒さないとと思い立とうとする。だが、思うように立つことができない。
　それを五つ目の怪物が、ただみてる分けもなく。シルフィアを踏みつぶそうとしていた。

　「クッ、立たないと。踏みつぶされる!?」

　そう言い立とうとする。だけど、やはり思うように体が動かない。
　五つ目の怪物の足がシルフィアの目の前まできた。
　それをみたシルフィアは、もう駄目だと死を覚悟する。とその時どこからともなく、回転しながら漆黒の大剣が現れシルフィアを踏みつけようとしている五つ目の怪物の左足に直撃した。
　大剣は回転しながら五つ目の怪物の左足を切断する。

　――グオォォオオオ……――

　すると五つ目の怪物は途轍もない雄叫びを辺りに響かせ、ドサッと背中から地面に倒れた。
　シルフィアは、いったい何が起きたのかと放心状態である。そんなシルフィアの体には、五つ目の怪物のであろう緑色の血が至る所に付着していた。
　コツコツコツと足音が聞こえてくる。
　その足音を聞きシルフィアは、ふと我に返った。その後、その足音のする方を向く。
　それと同時に、もの凄い速さで人影がシルフィアの頭上を飛び越える。
　その人影は、即座に大剣を握り五つ目の怪物を睨み見据えた。

　「誰？」

　そう言いシルフィアは、その人影が誰なのかと視線を向ける。

　「エル!?」

　シルフィアは驚き叫んだ。

　「……今は騒ぐな。それに邪魔だから、どこかに行っててくれないか」
　「えっと……邪魔って。ちょっと待って、本当にエルなの？」
　「ああ……だが今は、説明してる余裕なんかない。この怪物、再生してるみたいだからな」

　そう言いエルは、シルフィアに背を向けたまま五つ目の怪物をみている。

　「そうなのね。だけど……動けないのよ」
　「マジか……クソッ、仕方ねぇな」

　エルは背中を向けたままの体勢で、シルフィアに向け左手を翳した。

　《エステルス・ヒールケリム!!》

　そう唱えるとエルの左手に魔法陣が展開される。その魔法陣から光が放たれ、シルフィアを覆い包んだ。
　するとシルフィアは、徐々に回復していった。

　「これって……回復魔法？　それも徐々に回復してる」
　「本当は、一気に回復してやりたいが……魔力を温存しときたいからな」
　「あ、うん……それはいいんだけど。……ありがとう。そうだね……今は、聞かないでおく。あとで、ちゃんと教えてもらうからね」

　そう言いシルフィアは、立ち上がる。

　「ああ、分かった。それよりも、ここから早く遠ざかれ」

　そう言われシルフィアは、頷きエルが来た方角へと遠ざかった。
　それを確認するとエルは大剣を構え直し、深い溜息をつく。
　そしてその後エルは、面倒くさそうな表情で五つ目の怪物をみた。

　（サッサと片づけるか……）