エルは大剣を構え直し切っ先をドラゴホースに向ける。即座に右に体を捻りながら、大剣を右斜め上に後ろへ引いた。そしてドラゴホースに視線を向ける。
 ドラゴホースは魔法陣を展開し終えた。するとドラゴホースを中心に激しく揺れる。

 「クッ、ただの地揺れ? いや、それだけじゃない。まだ魔法陣が光ってる」

 激しく揺れているせいでエルは、体勢を崩しよろけた。

 「これじゃ、戦いづらい。どう戦う? 迷ってる暇はないな」

 そう言いエルは体勢を整えると、大剣を持ち直し身構える。だが揺れているため足の位置が定まらない。

 (……足元が……狙いが定まらない。この揺れをどうにかしないと……)

 エルは焦る。攻撃したい。揺れのせいで狙えず。それでも、なんとか体勢を保っていた。

 (早く攻撃しないと、次がくる!)

 額に汗をかきながら、狙いやすそうなドラゴホースの弱点を見据える。
 揺れは更に激しくなってきた。と、その時……ドラゴホースの真下に大きな魔法陣が現れ激しく発光する。
 すると今とは比べものにならない程に揺れた。それと同時に、エルの真下から尖った大きな岩が突き出る。それを察知しエルは、後ろに避けた。

 「ハッ!?」

 地面に着地すると尖った岩が突き出てきた。
 それも避ける。しかし避けて地面に着地する度、尖った岩が現れ逃げるだけでも必死だ。時折、大剣で尖った岩を破壊していった。

 (避けるだけで、攻撃できない。クソッ、やっぱり能力を使わないと駄目なのか。でも……まだだ。他の方法を探さないと。できるだけ、あの能力は使いたくないからな。体力もだけど……)

 そう考えながら尖った岩を避けている。

 (魔法……いや、それも駄目だ。技の斬撃でなんとかなるか? それをやるにも、狙いを定められない)

 そう思考を巡らせながらエルは、尖った岩を破壊して避けた。

 「やっぱ、この体勢で技を使うしかないか。外れてもいいように、何回もできるヤツがいいよな」

 エルは尖った岩を避けながら剣を構える。かなりやりづらそうだ。
 ピョンピョン跳びはねながら柄をギュッと握りしめた。

 《メテオバースト・スラッシュっ!!》

 そう言い放つとエルは、大剣を左から右へ振り切る。それと同時に、剣身から漆黒の刃が放たれた。その攻撃を四、五回繰り出す。
 漆黒の刃は、ドラゴホースに全て当たり爆発する。だが上手く弱点に当たっておらず、ほぼ傷一つ負っていない。
 その攻撃でドラゴホースの表情が一変した。そう無表情だったのが怒ったのである。

 ――ガオォォオオオーン……――

 そう途轍もなく大きな雄叫びを周囲に響かせた。
 エルはその鳴き声を聞き耳を塞いだ。

 (嘘だろう……これ、どうすんだよ。クッ……嫌だけど、能力を使うしかないのか)

 そう思いエルは、ドラゴホースを睨みみる。
 地揺れはやみ尖った岩の攻撃も治まった。するとドラゴホースの目が、ピカッと赤く光る。
 それに気づいたエルは、考えている暇がないと諦め能力を使うことにした。
 するとバッグから魔導書を取り出すとエルは、ドラゴホースの方へ視線を向ける。
 そしてエルは、魔導書の上に左手を翳した。

 (……下手をすれば、シルフィアにバレる。でも、仕方ないよな……この状況をどうにかしないとならないし)