ドラゴホースは、魔法陣を展開させていく。
 それを警戒しエルは、大剣を構え直した。

 「魔法を放たれる前に……」

 そう言いエルは、ギュッと大剣の柄を握りしめドラゴホースへと駆け出す。

 (魔導書には、弱点が書いてなかった。どういう事なんだ? 自分で調べろって、か。それとも、グリモエステルスでも分からない?)

 そうこう考えていると……。

 “そのぐらい分かっとるわっ!! 儂は、そこまでお人好しじゃない。という事で、自分で調べるんだな。お前がくたばったら、喰らってやるから安心しろ。クククククッ……検討を祈る”

 グリモエステルスがそうエルの意識に話しかける。

 (グリモエステルス、待て!? まだ俺の命を狙って……って、返事がない。交信が途絶えたか……云いたいことだけ言っていきやがった。クソッ、やればいいんだろっ!)

 交信が切れてエルは、半分やけくそになった。
 そうこう思いながらエルは、大剣を振り翳しながら跳び上がる。すかさずドラゴホースに目掛け大剣を振り下ろした。

 ――カーアァァアアアーン〜……――

 そう周囲に響き渡る。
 大剣をドラゴホースの体に当てるもエルは、天井の岩壁に弾き飛ばされた。そして地面へと、バサッと落ちる。

 「グハッ!? フゥー、そう簡単には倒せる訳ないか」

 落ちた拍子にエルは、口の中を切り血を吐いた。だが、大した傷は負っておらずその程度だ。
 エルは立ち上がり、キッとドラゴホースを睨みみる。
 その最中でもドラゴホースは魔法を展開させていた。
 それをみてエルは、即座に大剣を右手で持ち左手をドラゴホースへと向ける。

 (最初っから、これをやれば良かったんだよな。何やってんだ俺は……)

 そう思うと魔法を唱えた。

 《エステルス・ウィークネスサーチっ!!》

 そう言い放つと、翳した左手の前に魔法陣が展開され発光する。その後、魔法陣から光が放たれた。その光はドラゴホースに当たり覆い包む。
 すると数ヶ所、小さな点が現れ紫色に発光する。

 (アレが弱点、か。ってことは、恐らく核だよな。ここからみえる範囲で五個か? いや、点が動いてる! そうなると……クソッ、アレをどう破壊しろって?
 いくらなんでも無理だ……だけど、やらないと先には進めない。それに俺は、ここで死ぬ訳にいかないんだ。まだ、あの冒険者たちをみつけられてないんだからな)

 そう思いエルは、ドラゴホースを鋭い眼光で睨んだ。

 (やるか……できるかどうか、分からないが。弱点は、みえてる。もし駄目でも……いざという時は、能力を使えばいい。
 だが能力を使えば、かなり体力を消耗するんだよなぁ。でも、そんなこと言ってられないし)

 そう考えがまとまるとエルは、大剣を構えドラゴホースを見据える。
 そうしてる間にもドラゴホースは、未だに魔法陣を展開させていたのだった。