今日の夜はやけに明るいと思って空を見上げたら、まん丸になりかけのお月様がいた。

私の目は暗闇の中でも光を捉えられるようにできているから、月の光が強いと、少しだけ眩しく感じる。

おまけに光を反射しやすいようになっていて、角度によっては目がきらりと光って見えるらしい。だから夜は、できるだけほかの人と目を合わせないようしないといけない。

私は猫のお母さんと人間のお父さんの間に生まれた。

見た目は人間だけど、頭には三角の耳があるし、お尻に尻尾も付いている。全身毛むくじゃらではないけれど、猫として存在するパーツには、お母さんから受け継いだ真っ黒で艶のある毛が生え揃っている。

完全な人間になり切れていない私は、この身体にコンプレックスを抱いている。だから外に出る時はいつもベレー帽を深く被り、長めのコートを着たり、ロングスカートを履いたりして尻尾が目立たないようにしている。

普段から極力目立たないように視線を下げて過ごし、なるべく尻尾も動かないように気持ちを落ち着かせて毎日をやり過ごす。それが本当に窮屈で、何年経っても慣れやしない。

でも今なら大丈夫。周りには誰もいない。