♢♦♢
~デバレージョ町~
ユリマから聞かされた驚くべき話。
突拍子も無い上にスケールの幅があり過ぎてまるで現実味がなかった。
「貴方達が戸惑うのも無理はありません。直ぐに受け入れる方が難しいでしょう。
ですが、これは全て事実であり、これから起ころうとしている世界の未来なのです」
ユリマの話を聞いていた俺達は、もう信じる信じないというレベルを超えただただ1つずつこの話を整理していく事しか出来なかった。
「幾つか疑問があるが、そもそもその3神柱とやらは何故俺達を選んだ?」
「神々が視た未来で、世界を救う運命にあるのが貴方達だったからです」
「じゃあ俺達のこの力は、当たり前に誰もが与えられるこのスキルというのは、深淵の世界のアビスとかいう神の力なのか?」
「ええ、その通りです。リューティス王国はアビスに力を求め、アビスはその見返りにこの世界を求めました。今我々が当たり前の様に使っているこの力は、言わば闇の力とでも言うべきでしょうか……。
使ったからには代償を払わなければなりません。そしてそれが今まさに起こっている。だからこそ、3神柱は選ばれし貴方達に運命を託したのです」
話せば話す程理解に苦しむ。
フーリンは恐らくもう上の空。聞いてるフリして絶対理解出来てないなアイツ。3神柱自体知らないだろ。まぁ俺も名前以外知らないけど。
「ユリマさん、やはりこの世界の始まりは3神柱だったんですね。でも3神柱の神々でも封印するのが限界だった相手を、私なんかがどうにか出来るんでしょうか……?」
「大丈夫ですよ。貴方達は3神柱の神々と共に世界を救う運命なのですから」
「そんな肝心の3神柱とやらが確かに存在していたのにさ、前もエミリアが言っていたけど、今その3神柱の存在ってほぼ知られていないよな?」
そう。
俺がエミリアと出会ったばかりの頃、この3神柱とやらはもう存在が知られていなかった。エミリアも話を聞いた事があるだけで、今は殆どの人達が女神を信仰していると。
「ええ。3神柱の存在は今や知る者の方が少ないでしょう。深淵神アビスは“そこまで”計算していたのです」
「「!?」」
「召喚されたアビスは、直ぐに3神柱の存在に気が付いていた。そして3神柱が人々の祈りによってこの地に舞い降りるという事も全て。
だからアビスは私達にスキルという力を与え、リューティス王国の民がずっとこのアビスの力を依存し、当たり前となり、その長い月日を掛けて全ての民が3神柱から自分を信仰するように仕組んだのです。
ここまで全てがアビスの思惑通り。
今ではほぼ全ての者が3神柱の存在を知らず、自分に当然の如くスキルや武器を与えてくれる“女神”というアビスの呪いの代償を拝めてしまっているのです。
当然、祈る民が減れば減る程アビスを封印していた3神柱の力は弱まり、逆に深淵神アビスの力が確実に強くなっています。
その結果が今に繋がっているのです――」
成程。
どうやら思っていた以上に大変な運命を背負わされているらしいな俺達は。それにまさかこのスキルがそんな危ない神の力だったなんてな。
「話は少しずつ分かってきた。最終的な結論を言えば、全てを終わらせるにはその深淵神アビスとかいう奴を倒さなきゃいけないって事だよな?」
「その通りです。アビスを倒さなければ、この世界は本当に終焉を迎える事になります」
「そんな……」
エミリアが不安そうな表情を浮かべたかと思いきや、ここにきてフーリンが突如会話に入り込んできた。
「どうやらが話しがまとまった様だな。小難しい話はどうも苦手でさっぱり理解出来なかったが、やっと俺にも分かる話になった。
要は深淵神アビスという強者と手合わせして、俺が勝てばいいという事だろう」
まさかのタイミングで入ってきたフーリンは何故かドヤ顔。ツッコミ所しかないけどまぁいい。結論そういう事になるからな。
「フフフ。そうですよフーリン。深淵神アビスは世界最強の強者かもしれませんが、それでもアビスとの手合わせを望みますか?」
「無論だ」
ある意味真っ直ぐと言うか潔いと言うか。前向きに気持ちを切り替えられるっていい事だよな。逆にエミリアはずっと不安げな様子だ。
「どうやらフーリンの言う通り、その深淵神アビスとかいう奴と俺達は戦わないといけないらしい。だけど1番の問題はまさにそこ。
ユリマ、さっき言っていた俺達の本当の力って何なんだ? その力を覚醒させる“3神柱の神器”とやらもまるで聞いた事がないぞ」
神器という存在は当然知っている。
リューティス王国でもユリマやヴィルを始めとした七聖天が持っている最強の武器の事。先の戦いでラグナレク相手に使ったドミナトルも滅神器と呼ばれる神器である事をユリマから聞いた。それ以外にもまだ神器があるのか……。
「3神柱の神器は名の通り、3神柱が神の力を宿した唯一無二の武器。
『恵杖イェルメス』
『天槍ゲインヴォルグ』
『双樹剣セフィロト』
この3つがそれぞれ貴方達の真の力を呼び起こす鍵となっているのです。
民の祈りが減り、力が弱まってしまった3神柱は最後の力をこの神器に込めたのです。そして我々が幼少の時に必ず受ける“洗礼の儀”――女神が貴方達にスキルを与えたあの日、3神柱は女神に気付かれない様その洗礼の儀で貴方達3人に己の力を託したのです」
このユリマの言葉を聞いた瞬間、ずっと俺の中にあったモヤモヤが一蹴された。
洗礼の儀のあの日。
5歳の頃の記憶だから時が経てば経つ程鮮明に思い出しづらくなっていたが、遠い記憶の片隅で、確かに俺は女神と少しだけ妙なやり取りをしていた。
なんて事はない。ただの普通の会話。
あの時、確か女神は「あら?」と一言だけ声を漏らした。
剣のスキルが欲しかった俺は祈る様に目を瞑っていて、その何気なく聞こえた女神の声で目を開けたんだ。
でもそれは一瞬の事。
何事もなかったかのように洗礼の儀は進んだし、スキルも俺が望んでいた剣を与えられたからただただ純粋に喜んでいた。だが何気ないその一瞬が、何故か俺はずっと心の何処かで残っていたんだ。
勿論理由なんてない。
ただうっすらと覚えていた幼少の時の1つの記憶というだけ。
強いて言えば、スキルが覚醒せずに家族にも王国にも見捨てられた事や、辺境の森で死にそうになった事、その後の自分の不運不遇な辛い人生の結果を、自分のせいではなく誰かのせいにしたかったんだろう。きっと俺のそんな腐った心の向いた矛先が、何でもないあの時の記憶の1つだったんだ。
その証拠に、昔は何で俺がこんな目に遭うんだと何でもかんでも理由をこじつけていたが、スキルが覚醒し死に物狂いで実力を付ける内に、いつの間にかそんな事を考える事も無くなっていた。
あの時の俺はただ自分に実力も余裕もなかっただけ。
それだけの事だったんだ。
なのに、まさかこんなところで思いがけない事態となったな。
何故だろう?
ユリマの今の言葉によって、俺の中で全てが腑に落ち、スッと体の何処からともなく余分な力が抜けていった――。
「って事は、俺達の力はアビスによるスキルの力ではなく、3神柱の力?」
「そうですね。正確に言うと、アビスのスキルは貴方達に与えられています。少なからずその力を逆手に取れば、アビスを倒す為の貴重な力になりますからね。
ただ、アビスの力はスキルと武器が2つ合わせて初めてその個人の能力を引き出すのです。アビスが召喚されたばかりの頃はこれだけでも十分な力でしたが、当時の激しい戦乱を生き抜こうと己の力を高めた者達が更にこの力の限界を突破し、それが後に“スキル覚醒者”と呼ばれる様になりました。
スキルが覚醒した者達はより強い武器扱える様になり、更には祖の王国との戦いでピンチになったリューティス王国に、アビスが強力な深淵の力を纏った神器を与えてしまったのです。
ここからはもう言うまでもありません……。何百年と経った今でもそれらは続いています。しかし、そこに最後の希望を見出したのが3神柱であり、その神々に運命を託されたのが貴方達なのですよグリム。
今の貴方達はアビスの深淵の力をただ蓄えているだけに過ぎない。
3神柱は女神が貴方達に与える武器を阻止したのです。
だから貴方達は本来の力をまだ発揮出来ずにいる挙句、生まれ持ったそのポテンシャルの高さが中途半端にスキルだけを覚醒してしまったのですよ。貴方達が一定の武器しか使えないのはそれが原因です。
皆は貴方達のその世にも珍しい不可解な力を目の当たりにし、呪われた世代と嘲笑する様になったのです。
貴方達3人のその力が、この世界を救う力である事を誰1人として知らずにね――」
俺達の力にそんなカラクリがあったとは。
「後にも先にも、もう深淵神アビスを倒すには、貴方達と3神柱の力を合わせる他ありません。
国王や七聖天、それに騎士魔法団の者達は全員己の力でこの終焉を終わらせようとしていますが、話を聞いた貴方達ならもうお分かりですよね?
七聖天、騎士魔法団、神器。
これら全ての力の源は深淵神アビスから生まれたアビスによる力。だとすれば、当然その力でアビスを倒す事など不可能なのです。寧ろ神器は本来アビスの武器であると言っても過言ではありません。
ですが、現国王はこの事実を知った上で深淵神アビスを倒そうとしているのです」
「国王が? この話を知っているのに何でそんな結論になるんだ」
「スキルや神器の力はリューティス王国の源でもあります。王国最大の“武力”を失えば、ここまで築き上げたリューティス王国という大国が壊滅してしまうと国王は恐れているのです。
だから国王はその力で深淵神アビスを倒そうと本気で考えてますが、残念ながら国王のこの考えは王国の終わりへと向かってしまいます。
民の信仰が無くなって3神柱の力が弱まってしまった今、次に動くのは貴方達しかいないのです。
これが全ての運命。そういう事で宜しいですよね? “ハク”――。
いや、3神柱の神……“獣天シシガミ”よ――」
~デバレージョ町~
ユリマから聞かされた驚くべき話。
突拍子も無い上にスケールの幅があり過ぎてまるで現実味がなかった。
「貴方達が戸惑うのも無理はありません。直ぐに受け入れる方が難しいでしょう。
ですが、これは全て事実であり、これから起ころうとしている世界の未来なのです」
ユリマの話を聞いていた俺達は、もう信じる信じないというレベルを超えただただ1つずつこの話を整理していく事しか出来なかった。
「幾つか疑問があるが、そもそもその3神柱とやらは何故俺達を選んだ?」
「神々が視た未来で、世界を救う運命にあるのが貴方達だったからです」
「じゃあ俺達のこの力は、当たり前に誰もが与えられるこのスキルというのは、深淵の世界のアビスとかいう神の力なのか?」
「ええ、その通りです。リューティス王国はアビスに力を求め、アビスはその見返りにこの世界を求めました。今我々が当たり前の様に使っているこの力は、言わば闇の力とでも言うべきでしょうか……。
使ったからには代償を払わなければなりません。そしてそれが今まさに起こっている。だからこそ、3神柱は選ばれし貴方達に運命を託したのです」
話せば話す程理解に苦しむ。
フーリンは恐らくもう上の空。聞いてるフリして絶対理解出来てないなアイツ。3神柱自体知らないだろ。まぁ俺も名前以外知らないけど。
「ユリマさん、やはりこの世界の始まりは3神柱だったんですね。でも3神柱の神々でも封印するのが限界だった相手を、私なんかがどうにか出来るんでしょうか……?」
「大丈夫ですよ。貴方達は3神柱の神々と共に世界を救う運命なのですから」
「そんな肝心の3神柱とやらが確かに存在していたのにさ、前もエミリアが言っていたけど、今その3神柱の存在ってほぼ知られていないよな?」
そう。
俺がエミリアと出会ったばかりの頃、この3神柱とやらはもう存在が知られていなかった。エミリアも話を聞いた事があるだけで、今は殆どの人達が女神を信仰していると。
「ええ。3神柱の存在は今や知る者の方が少ないでしょう。深淵神アビスは“そこまで”計算していたのです」
「「!?」」
「召喚されたアビスは、直ぐに3神柱の存在に気が付いていた。そして3神柱が人々の祈りによってこの地に舞い降りるという事も全て。
だからアビスは私達にスキルという力を与え、リューティス王国の民がずっとこのアビスの力を依存し、当たり前となり、その長い月日を掛けて全ての民が3神柱から自分を信仰するように仕組んだのです。
ここまで全てがアビスの思惑通り。
今ではほぼ全ての者が3神柱の存在を知らず、自分に当然の如くスキルや武器を与えてくれる“女神”というアビスの呪いの代償を拝めてしまっているのです。
当然、祈る民が減れば減る程アビスを封印していた3神柱の力は弱まり、逆に深淵神アビスの力が確実に強くなっています。
その結果が今に繋がっているのです――」
成程。
どうやら思っていた以上に大変な運命を背負わされているらしいな俺達は。それにまさかこのスキルがそんな危ない神の力だったなんてな。
「話は少しずつ分かってきた。最終的な結論を言えば、全てを終わらせるにはその深淵神アビスとかいう奴を倒さなきゃいけないって事だよな?」
「その通りです。アビスを倒さなければ、この世界は本当に終焉を迎える事になります」
「そんな……」
エミリアが不安そうな表情を浮かべたかと思いきや、ここにきてフーリンが突如会話に入り込んできた。
「どうやらが話しがまとまった様だな。小難しい話はどうも苦手でさっぱり理解出来なかったが、やっと俺にも分かる話になった。
要は深淵神アビスという強者と手合わせして、俺が勝てばいいという事だろう」
まさかのタイミングで入ってきたフーリンは何故かドヤ顔。ツッコミ所しかないけどまぁいい。結論そういう事になるからな。
「フフフ。そうですよフーリン。深淵神アビスは世界最強の強者かもしれませんが、それでもアビスとの手合わせを望みますか?」
「無論だ」
ある意味真っ直ぐと言うか潔いと言うか。前向きに気持ちを切り替えられるっていい事だよな。逆にエミリアはずっと不安げな様子だ。
「どうやらフーリンの言う通り、その深淵神アビスとかいう奴と俺達は戦わないといけないらしい。だけど1番の問題はまさにそこ。
ユリマ、さっき言っていた俺達の本当の力って何なんだ? その力を覚醒させる“3神柱の神器”とやらもまるで聞いた事がないぞ」
神器という存在は当然知っている。
リューティス王国でもユリマやヴィルを始めとした七聖天が持っている最強の武器の事。先の戦いでラグナレク相手に使ったドミナトルも滅神器と呼ばれる神器である事をユリマから聞いた。それ以外にもまだ神器があるのか……。
「3神柱の神器は名の通り、3神柱が神の力を宿した唯一無二の武器。
『恵杖イェルメス』
『天槍ゲインヴォルグ』
『双樹剣セフィロト』
この3つがそれぞれ貴方達の真の力を呼び起こす鍵となっているのです。
民の祈りが減り、力が弱まってしまった3神柱は最後の力をこの神器に込めたのです。そして我々が幼少の時に必ず受ける“洗礼の儀”――女神が貴方達にスキルを与えたあの日、3神柱は女神に気付かれない様その洗礼の儀で貴方達3人に己の力を託したのです」
このユリマの言葉を聞いた瞬間、ずっと俺の中にあったモヤモヤが一蹴された。
洗礼の儀のあの日。
5歳の頃の記憶だから時が経てば経つ程鮮明に思い出しづらくなっていたが、遠い記憶の片隅で、確かに俺は女神と少しだけ妙なやり取りをしていた。
なんて事はない。ただの普通の会話。
あの時、確か女神は「あら?」と一言だけ声を漏らした。
剣のスキルが欲しかった俺は祈る様に目を瞑っていて、その何気なく聞こえた女神の声で目を開けたんだ。
でもそれは一瞬の事。
何事もなかったかのように洗礼の儀は進んだし、スキルも俺が望んでいた剣を与えられたからただただ純粋に喜んでいた。だが何気ないその一瞬が、何故か俺はずっと心の何処かで残っていたんだ。
勿論理由なんてない。
ただうっすらと覚えていた幼少の時の1つの記憶というだけ。
強いて言えば、スキルが覚醒せずに家族にも王国にも見捨てられた事や、辺境の森で死にそうになった事、その後の自分の不運不遇な辛い人生の結果を、自分のせいではなく誰かのせいにしたかったんだろう。きっと俺のそんな腐った心の向いた矛先が、何でもないあの時の記憶の1つだったんだ。
その証拠に、昔は何で俺がこんな目に遭うんだと何でもかんでも理由をこじつけていたが、スキルが覚醒し死に物狂いで実力を付ける内に、いつの間にかそんな事を考える事も無くなっていた。
あの時の俺はただ自分に実力も余裕もなかっただけ。
それだけの事だったんだ。
なのに、まさかこんなところで思いがけない事態となったな。
何故だろう?
ユリマの今の言葉によって、俺の中で全てが腑に落ち、スッと体の何処からともなく余分な力が抜けていった――。
「って事は、俺達の力はアビスによるスキルの力ではなく、3神柱の力?」
「そうですね。正確に言うと、アビスのスキルは貴方達に与えられています。少なからずその力を逆手に取れば、アビスを倒す為の貴重な力になりますからね。
ただ、アビスの力はスキルと武器が2つ合わせて初めてその個人の能力を引き出すのです。アビスが召喚されたばかりの頃はこれだけでも十分な力でしたが、当時の激しい戦乱を生き抜こうと己の力を高めた者達が更にこの力の限界を突破し、それが後に“スキル覚醒者”と呼ばれる様になりました。
スキルが覚醒した者達はより強い武器扱える様になり、更には祖の王国との戦いでピンチになったリューティス王国に、アビスが強力な深淵の力を纏った神器を与えてしまったのです。
ここからはもう言うまでもありません……。何百年と経った今でもそれらは続いています。しかし、そこに最後の希望を見出したのが3神柱であり、その神々に運命を託されたのが貴方達なのですよグリム。
今の貴方達はアビスの深淵の力をただ蓄えているだけに過ぎない。
3神柱は女神が貴方達に与える武器を阻止したのです。
だから貴方達は本来の力をまだ発揮出来ずにいる挙句、生まれ持ったそのポテンシャルの高さが中途半端にスキルだけを覚醒してしまったのですよ。貴方達が一定の武器しか使えないのはそれが原因です。
皆は貴方達のその世にも珍しい不可解な力を目の当たりにし、呪われた世代と嘲笑する様になったのです。
貴方達3人のその力が、この世界を救う力である事を誰1人として知らずにね――」
俺達の力にそんなカラクリがあったとは。
「後にも先にも、もう深淵神アビスを倒すには、貴方達と3神柱の力を合わせる他ありません。
国王や七聖天、それに騎士魔法団の者達は全員己の力でこの終焉を終わらせようとしていますが、話を聞いた貴方達ならもうお分かりですよね?
七聖天、騎士魔法団、神器。
これら全ての力の源は深淵神アビスから生まれたアビスによる力。だとすれば、当然その力でアビスを倒す事など不可能なのです。寧ろ神器は本来アビスの武器であると言っても過言ではありません。
ですが、現国王はこの事実を知った上で深淵神アビスを倒そうとしているのです」
「国王が? この話を知っているのに何でそんな結論になるんだ」
「スキルや神器の力はリューティス王国の源でもあります。王国最大の“武力”を失えば、ここまで築き上げたリューティス王国という大国が壊滅してしまうと国王は恐れているのです。
だから国王はその力で深淵神アビスを倒そうと本気で考えてますが、残念ながら国王のこの考えは王国の終わりへと向かってしまいます。
民の信仰が無くなって3神柱の力が弱まってしまった今、次に動くのは貴方達しかいないのです。
これが全ての運命。そういう事で宜しいですよね? “ハク”――。
いや、3神柱の神……“獣天シシガミ”よ――」