「大変お待たせしました、ただ今よりお店を開きます! 店内はそれほど広くありませんので、店内への入場制限をさせていただきますので、従業員の指示に従ってください。何かありましたら、この黒い服を着ている従業員にまで、お気軽にお声をおかけください」
さて、いよいよお店のオープンである。さすがに店内に何十人も入りきらないので、15人くらいでいったん区切らせてもらい、ひとり退店したらひとり入店するようにさせてもらった。
「みなさん、押さないでくださいね〜! はいごめんね、ここで少しだけ待っててね」
お店の入り口でお客さんを順番に入れるのはランジェさんにお願いした。
ランジェさんは今日がお店で接客をする初日だから、いきなりこの数のお客さんのお会計を相手にするのは難しい。夕方くらいになって、お客さんの数が減ったら会計を任せてみるつもりだ。
先週言っていたように、新商品の販売を始めるこの数日は忙しくなるので、ランジェさんにも手伝ってもらっている。
昨日と一昨日の休日で俺とリリアでランジェさんに接客を教えた。言葉遣いは少し軽いかんじだが、ランジェさんの明るい雰囲気に合っているので、お客さんもそれほど気にはしないだろう。
「待っている間に何か質問があったら答えるからね! このお店の商品のことから、冒険者についてでも質問があったら遠慮なく聞いてよね!」
「あ、あの。さっきの棒状ラーメンなんですけれど……」
「はいはい。えっとそれはねえ……」
そう、そしてランジェさんはこの街には数少ないBランク冒険者だ。知名度はこの街で駆け出し冒険者のために活動していたリリアよりもないかもしれないが、その実力は冒険者ギルドマスターのライザックさんも認めている。
そんな冒険者のランジェさんにいろいろと話を聞くことができるため、待っているお客さんも有意義な時間を過ごせるだろう。
通常営業の時も、リリアのアドバイス目的でお店に来てなにか買ってくれるお客さんもいるからな。珍しいエルフの高ランク冒険者に話を聞ける機会なんてそうそうないし、ランジェさんは美形だから、女性冒険者にも人気が出そうだ。現に今話している女冒険者の人なんか顔が真っ赤である。……ちっ。
「はい、お待たせしました。銅貨3枚のお釣りになります!」
「銀貨2枚と銅貨1枚のお釣りだ。またのご利用をお待ちしております!」
店の中ではフィアちゃんとドルファに会計を任せている。ドルファもだいぶお店での仕事に慣れてきて、計算もだいぶ早くなったし、言葉遣いも丁寧になってきている。
「こちらの棒状ラーメンはお湯で少し茹でて、お湯に付属の木筒に入っている粉を入れるだけで完成するぞ。お湯の量は麺が浸かるぐらいだが、こっちのシェラカップという物があれば、正確な量が計れるようになっている。そのまま火にかけたりもできるし便利だぞ」
「なるほど。リリアさん、ありがとうございます」
リリアは店内を回って、お客さんの質問を受けたり、商品が少なくなってきたら補充をしたり、怪しい人物がいないかを見回ってもらっている。
新しい商品についても詳しい説明ができるし、別の商品を勧めてくれたりと完璧な接客である。リリアの冒険者のころを知らないが、今の接客の仕事のほうが天職だと思ってしまうな。
そして俺は店を見回って会計をしたり、お客さん対応をしたり、店の外のランジェさんの様子を見たりと店全体を見ている感じだ。ひとりずつ休憩する時も空いた仕事を交代していく。
「さっき試食で食べた棒状ラーメンってのはいくらするんだ?」
「はい、5回分がセットになって銀貨3枚となっております。次回以降に木筒と入れ物を返却してくれれば、銀貨2枚となります」
「てことは次からは一食あたり……銅貨4枚ってわけか。量にもよるけれど、それくらいであのうまさなら十分安いな!」
棒状ラーメンはアウトドアショップで一人前銅貨2枚で購入できる。約200円だから元の世界で買うより少し割高なようだ。
それを5人分で銀貨1枚。木でできた入れ物と粉末スープを入れるための小さな木筒が合わせて銀貨1枚、銀貨1枚が利益というわけだ。
「量は少し少ないかもしれませんね。野菜を入れたり、1.5人分くらいにしたほうがいいかもしれません」
棒状ラーメンは普通の男性が食べると少し足りないかもしれない。冒険者として行動するなら、なおのこと一食分では足りないかもしれないな。
「なるほどな。もうひとつの栄養食品ってやつはいくらだ?」
「こっちは10本セットで銀貨1枚です。入れ物は別売りとなっていますね」
栄養食品は2本で銅貨1枚、10本で銅貨5枚の仕入れ値だ。元の世界では4本入りで150円くらいだったかな。こちらは木の入れ物ではなく、こちらの世界で使っている抗菌作用があるらしい包みに入れている。
「こっちも安いな。一本くらいじゃ腹一杯にはならなそうだけれど、軽くつまめそうでいいかもしれない。それに甘くてうまかったから、いいおやつにもなりそうだ。1セットもらうよ」
「ありがとうございます」
ようかんやチョコレートバーと比べればそこまで甘くないが、こちらの世界では十分なお菓子になるようだ。
今週は棒状ラーメンと栄養食品とシェラカップを新しく販売する。他にもレベルアップしたことにより販売できる商品はたくさんあるが、すべての商品を一気に販売すると、お客さんだけでなく俺達がパンクしてしまう。
これから時間を空けつつ、少しずつ新商品を販売していく予定である。
さて、いよいよお店のオープンである。さすがに店内に何十人も入りきらないので、15人くらいでいったん区切らせてもらい、ひとり退店したらひとり入店するようにさせてもらった。
「みなさん、押さないでくださいね〜! はいごめんね、ここで少しだけ待っててね」
お店の入り口でお客さんを順番に入れるのはランジェさんにお願いした。
ランジェさんは今日がお店で接客をする初日だから、いきなりこの数のお客さんのお会計を相手にするのは難しい。夕方くらいになって、お客さんの数が減ったら会計を任せてみるつもりだ。
先週言っていたように、新商品の販売を始めるこの数日は忙しくなるので、ランジェさんにも手伝ってもらっている。
昨日と一昨日の休日で俺とリリアでランジェさんに接客を教えた。言葉遣いは少し軽いかんじだが、ランジェさんの明るい雰囲気に合っているので、お客さんもそれほど気にはしないだろう。
「待っている間に何か質問があったら答えるからね! このお店の商品のことから、冒険者についてでも質問があったら遠慮なく聞いてよね!」
「あ、あの。さっきの棒状ラーメンなんですけれど……」
「はいはい。えっとそれはねえ……」
そう、そしてランジェさんはこの街には数少ないBランク冒険者だ。知名度はこの街で駆け出し冒険者のために活動していたリリアよりもないかもしれないが、その実力は冒険者ギルドマスターのライザックさんも認めている。
そんな冒険者のランジェさんにいろいろと話を聞くことができるため、待っているお客さんも有意義な時間を過ごせるだろう。
通常営業の時も、リリアのアドバイス目的でお店に来てなにか買ってくれるお客さんもいるからな。珍しいエルフの高ランク冒険者に話を聞ける機会なんてそうそうないし、ランジェさんは美形だから、女性冒険者にも人気が出そうだ。現に今話している女冒険者の人なんか顔が真っ赤である。……ちっ。
「はい、お待たせしました。銅貨3枚のお釣りになります!」
「銀貨2枚と銅貨1枚のお釣りだ。またのご利用をお待ちしております!」
店の中ではフィアちゃんとドルファに会計を任せている。ドルファもだいぶお店での仕事に慣れてきて、計算もだいぶ早くなったし、言葉遣いも丁寧になってきている。
「こちらの棒状ラーメンはお湯で少し茹でて、お湯に付属の木筒に入っている粉を入れるだけで完成するぞ。お湯の量は麺が浸かるぐらいだが、こっちのシェラカップという物があれば、正確な量が計れるようになっている。そのまま火にかけたりもできるし便利だぞ」
「なるほど。リリアさん、ありがとうございます」
リリアは店内を回って、お客さんの質問を受けたり、商品が少なくなってきたら補充をしたり、怪しい人物がいないかを見回ってもらっている。
新しい商品についても詳しい説明ができるし、別の商品を勧めてくれたりと完璧な接客である。リリアの冒険者のころを知らないが、今の接客の仕事のほうが天職だと思ってしまうな。
そして俺は店を見回って会計をしたり、お客さん対応をしたり、店の外のランジェさんの様子を見たりと店全体を見ている感じだ。ひとりずつ休憩する時も空いた仕事を交代していく。
「さっき試食で食べた棒状ラーメンってのはいくらするんだ?」
「はい、5回分がセットになって銀貨3枚となっております。次回以降に木筒と入れ物を返却してくれれば、銀貨2枚となります」
「てことは次からは一食あたり……銅貨4枚ってわけか。量にもよるけれど、それくらいであのうまさなら十分安いな!」
棒状ラーメンはアウトドアショップで一人前銅貨2枚で購入できる。約200円だから元の世界で買うより少し割高なようだ。
それを5人分で銀貨1枚。木でできた入れ物と粉末スープを入れるための小さな木筒が合わせて銀貨1枚、銀貨1枚が利益というわけだ。
「量は少し少ないかもしれませんね。野菜を入れたり、1.5人分くらいにしたほうがいいかもしれません」
棒状ラーメンは普通の男性が食べると少し足りないかもしれない。冒険者として行動するなら、なおのこと一食分では足りないかもしれないな。
「なるほどな。もうひとつの栄養食品ってやつはいくらだ?」
「こっちは10本セットで銀貨1枚です。入れ物は別売りとなっていますね」
栄養食品は2本で銅貨1枚、10本で銅貨5枚の仕入れ値だ。元の世界では4本入りで150円くらいだったかな。こちらは木の入れ物ではなく、こちらの世界で使っている抗菌作用があるらしい包みに入れている。
「こっちも安いな。一本くらいじゃ腹一杯にはならなそうだけれど、軽くつまめそうでいいかもしれない。それに甘くてうまかったから、いいおやつにもなりそうだ。1セットもらうよ」
「ありがとうございます」
ようかんやチョコレートバーと比べればそこまで甘くないが、こちらの世界では十分なお菓子になるようだ。
今週は棒状ラーメンと栄養食品とシェラカップを新しく販売する。他にもレベルアップしたことにより販売できる商品はたくさんあるが、すべての商品を一気に販売すると、お客さんだけでなく俺達がパンクしてしまう。
これから時間を空けつつ、少しずつ新商品を販売していく予定である。