「う〜ん、今日は良い依頼がないなあ」
「いつも通り、森に行って狩りと採取でいいんじゃない?」
「ああ、それでいいと思うぞ」
ここはアレフレアの街の冒険者ギルドだ。いつも通り朝早く依頼を受けにきているけれど、あまり良い依頼はない。基本的にこの街には駆け出し冒険者が多く集まる街だから、薬草の採取やゴブリンの駆除、角ウサギやワイルドボアの肉や素材の買取は常時行われている。
依頼ボードには緊急性の高いものや、早急に素材が必要な場合に、冒険者ギルドの買取額よりも高い報酬で貼り出される。あとは本当に駆け出しの駆け出しのために、危険性のない街での掃除やドブさらいなどの依頼が貼られている。あとはDランク以上の冒険者が受けられる依頼くらいだ。
ランクが一番下のEランク冒険者の俺達はコツコツと討伐依頼を受けて実績を積んでDランクを目指していく。もちろん上位のモンスターの討伐をすればするほどランク昇格は早くなるが、あまり危険を冒すつもりはない。
「よし、それじゃあ森へ行こうぜ」
一緒にパーティを組んでいるニコレとファルと森へ向かう。
「……ふう薬草も採れたし、ゴブリンも結構狩れたな」
「そうね、いったん休憩しましょうよ」
「ああ、賛成だ」
午前中で薬草も結構採れたし、5体のゴブリンを倒した。ゴブリンのほうは耳を冒険者ギルドへ持っていけば討伐の証になる。残りの死骸は穴を掘って地中深くに埋める。
これだけ駆け出し冒険者がいて、毎日ゴブリンを狩っているのにまったくいなくならないなんて、とてつもない繁殖力だよな……そのうえしばらく放っておくと大量発生してゴブリンの緊急討伐依頼なんかも出てくるから困るよ。
「それじゃあ川のほうに移動しようぜ」
「ああ、それじゃあ方位磁石で……こっちの方角だな」
「それにしても、この方位磁石は本当に便利よね」
「本当だよな」
1月ほど前にたまたまこの森で助けた遠い国からやってきたという商人のテツヤ。そのテツヤからもらったこの方位磁石という道具は水平にすると常に同じ方向を指し示す道具だ。この道具のおかげで、アレフレアの街から少し離れたこの広い森で迷うことはなくなった。
こちらの赤い針は森の奥の方向を指し示し、反対の針の方向へ進めば、確実に森から出ることができる。この森で迷う冒険者の大半が、来た方向が分からなくなり、知らず知らずのうちに森の奥へと進んでしまうからだ。
だけど、この方位磁石があれば、もう迷うことはない。唯一怖いのが、モンスターとの戦闘でこの方位磁石が壊れてしまうことだから、最近では予備の方位磁石を買って、2つ持っている冒険者も多い。
そして俺達がいつも通っているこの道から見て、赤い針の左側のほうへ進めば、大きな川へ出ることができるわけだ。
「それじゃあ火を起こすぜ」
「ええ、私は川の水を汲んでくるわね」
「俺は近場でもう少し枯れ木を拾ってくる」
方位磁石のおかげで無事に川までやってきた。前までは休憩といっても、固くて臭いの強い干し肉を齧るくらいだったな。
だが、このファイヤースターターという火を起こす道具のおかげで簡単に火を起こすことができるようになった。この干し肉は火で炙れば、多少柔らかくなって臭いもマシになるけれど、毎回火を起こすなんて面倒なことはできなかった。火魔法を使える魔法使いがパーティにいれば楽なんだけれど、なかなかそうはいかないもんな。
「よし、火が付いたぞ」
「川の水も汲んできたよ」
「枯れ木もこれだけあれば十分だろ」
麻紐をほぐしたものを火口として使い、そこにファイヤースターターの棒を削っていき、ある程度黒い粉がたまったところで強く擦ると火花が出て黒い粉に着火して麻紐へと燃え移る。
火打ち石も使ったことはあるけれど、あっちは火をつけるのが難しいんだよな。こっちのほうは不器用な俺でもすぐに火をつけられるようになった。
「今日は何味にする?」
「やっぱりコンソメじゃないか?」
「昨日はたまごスープだったから、コンソメでいいと思うわ」
「オッケー、コンソメだな」
鍋に川の水を入れて火にかけお湯を沸かす。お湯が沸いたところで、木筒に入ったインスタントスープを取り出す。このインスタントスープは最近テツヤの店で売り始めた新商品だ。沸かしたお湯にこれを入れるだけで、めちゃくちゃうまいスープになる。
それに味も4種類あるから、毎日別の味を楽しめるのもありがたいんだ。購入制限があって、ひとり2種類しか買えないけれど、俺達はパーティだからみんなで共有できる。まあソロの冒険者も翌日も買いに行って、4種類常備しているやつの方が多いけどな。
「それじゃあ干し肉も入れちゃうわよ」
鍋の沸かしたお湯に、木筒の蓋を目安にして3人分の量のコンソメのインスタントスープを入れ、さらに干し肉を入れる。干し肉はこのスープに入れると、うまいと感じられるくらいにまでなるんだ。
「最後にアウトドアスパイスをかけて……はい、できあがり!」
「サンキュー」
「いい匂いだな」
干し肉がスープを吸って柔らかくなったところで3人分の器に取り分け、仕上げにテツヤからもらったアウトドアスパイスを振りかけて完成だ。
このアウトドアスパイスという調味料はテツヤから貰ったもので、焼いた肉や魚に振りかけると一気に味が美味くなる魔法みたいな調味料だ。
最近俺達が考えたインスタントスープに干し肉を加えて、仕上げにアウトドアスパイスを少し振って出来たスープの完成だ。
「「「いただきます!」」」
「いつも通り、森に行って狩りと採取でいいんじゃない?」
「ああ、それでいいと思うぞ」
ここはアレフレアの街の冒険者ギルドだ。いつも通り朝早く依頼を受けにきているけれど、あまり良い依頼はない。基本的にこの街には駆け出し冒険者が多く集まる街だから、薬草の採取やゴブリンの駆除、角ウサギやワイルドボアの肉や素材の買取は常時行われている。
依頼ボードには緊急性の高いものや、早急に素材が必要な場合に、冒険者ギルドの買取額よりも高い報酬で貼り出される。あとは本当に駆け出しの駆け出しのために、危険性のない街での掃除やドブさらいなどの依頼が貼られている。あとはDランク以上の冒険者が受けられる依頼くらいだ。
ランクが一番下のEランク冒険者の俺達はコツコツと討伐依頼を受けて実績を積んでDランクを目指していく。もちろん上位のモンスターの討伐をすればするほどランク昇格は早くなるが、あまり危険を冒すつもりはない。
「よし、それじゃあ森へ行こうぜ」
一緒にパーティを組んでいるニコレとファルと森へ向かう。
「……ふう薬草も採れたし、ゴブリンも結構狩れたな」
「そうね、いったん休憩しましょうよ」
「ああ、賛成だ」
午前中で薬草も結構採れたし、5体のゴブリンを倒した。ゴブリンのほうは耳を冒険者ギルドへ持っていけば討伐の証になる。残りの死骸は穴を掘って地中深くに埋める。
これだけ駆け出し冒険者がいて、毎日ゴブリンを狩っているのにまったくいなくならないなんて、とてつもない繁殖力だよな……そのうえしばらく放っておくと大量発生してゴブリンの緊急討伐依頼なんかも出てくるから困るよ。
「それじゃあ川のほうに移動しようぜ」
「ああ、それじゃあ方位磁石で……こっちの方角だな」
「それにしても、この方位磁石は本当に便利よね」
「本当だよな」
1月ほど前にたまたまこの森で助けた遠い国からやってきたという商人のテツヤ。そのテツヤからもらったこの方位磁石という道具は水平にすると常に同じ方向を指し示す道具だ。この道具のおかげで、アレフレアの街から少し離れたこの広い森で迷うことはなくなった。
こちらの赤い針は森の奥の方向を指し示し、反対の針の方向へ進めば、確実に森から出ることができる。この森で迷う冒険者の大半が、来た方向が分からなくなり、知らず知らずのうちに森の奥へと進んでしまうからだ。
だけど、この方位磁石があれば、もう迷うことはない。唯一怖いのが、モンスターとの戦闘でこの方位磁石が壊れてしまうことだから、最近では予備の方位磁石を買って、2つ持っている冒険者も多い。
そして俺達がいつも通っているこの道から見て、赤い針の左側のほうへ進めば、大きな川へ出ることができるわけだ。
「それじゃあ火を起こすぜ」
「ええ、私は川の水を汲んでくるわね」
「俺は近場でもう少し枯れ木を拾ってくる」
方位磁石のおかげで無事に川までやってきた。前までは休憩といっても、固くて臭いの強い干し肉を齧るくらいだったな。
だが、このファイヤースターターという火を起こす道具のおかげで簡単に火を起こすことができるようになった。この干し肉は火で炙れば、多少柔らかくなって臭いもマシになるけれど、毎回火を起こすなんて面倒なことはできなかった。火魔法を使える魔法使いがパーティにいれば楽なんだけれど、なかなかそうはいかないもんな。
「よし、火が付いたぞ」
「川の水も汲んできたよ」
「枯れ木もこれだけあれば十分だろ」
麻紐をほぐしたものを火口として使い、そこにファイヤースターターの棒を削っていき、ある程度黒い粉がたまったところで強く擦ると火花が出て黒い粉に着火して麻紐へと燃え移る。
火打ち石も使ったことはあるけれど、あっちは火をつけるのが難しいんだよな。こっちのほうは不器用な俺でもすぐに火をつけられるようになった。
「今日は何味にする?」
「やっぱりコンソメじゃないか?」
「昨日はたまごスープだったから、コンソメでいいと思うわ」
「オッケー、コンソメだな」
鍋に川の水を入れて火にかけお湯を沸かす。お湯が沸いたところで、木筒に入ったインスタントスープを取り出す。このインスタントスープは最近テツヤの店で売り始めた新商品だ。沸かしたお湯にこれを入れるだけで、めちゃくちゃうまいスープになる。
それに味も4種類あるから、毎日別の味を楽しめるのもありがたいんだ。購入制限があって、ひとり2種類しか買えないけれど、俺達はパーティだからみんなで共有できる。まあソロの冒険者も翌日も買いに行って、4種類常備しているやつの方が多いけどな。
「それじゃあ干し肉も入れちゃうわよ」
鍋の沸かしたお湯に、木筒の蓋を目安にして3人分の量のコンソメのインスタントスープを入れ、さらに干し肉を入れる。干し肉はこのスープに入れると、うまいと感じられるくらいにまでなるんだ。
「最後にアウトドアスパイスをかけて……はい、できあがり!」
「サンキュー」
「いい匂いだな」
干し肉がスープを吸って柔らかくなったところで3人分の器に取り分け、仕上げにテツヤからもらったアウトドアスパイスを振りかけて完成だ。
このアウトドアスパイスという調味料はテツヤから貰ったもので、焼いた肉や魚に振りかけると一気に味が美味くなる魔法みたいな調味料だ。
最近俺達が考えたインスタントスープに干し肉を加えて、仕上げにアウトドアスパイスを少し振って出来たスープの完成だ。
「「「いただきます!」」」