ライザックさんから開店祝いでもらった高級肉をみんなで楽しんだあと、あまり遅くなるとよくないので、先にリリアと一緒にフィアちゃんを家まで送っていく。
俺まで一緒に行く必要はないのだが、万が一その間に強盗が来たら俺ひとりでは対処できないから俺もついていくことにした。最悪空き巣が入っても、アウトドアショップの能力で今日の売上金はチャージしてあるから、店には最低限の商品とお金くらいしかない。
そう考えるとリリアに四六時中お店に張り付いてもらうわけにはいかないから、リリア以外にもうひとりくらい護衛のできる従業員を雇ったほうがいいかもしれないな。
「よし、明日の準備はこんなもんで大丈夫だろ。リリアもありがとうね」
「これぐらいお安い御用だぞ」
フィアちゃんを家に送ったあとはリリアと一緒に明日の準備をした。具体的には店を掃除したり、商品をアウトドアショップから補充して、商品の棚へと並べてたり、倉庫へと運んでいく。今はそれほど重いような商品は取り扱っていないので、それほど時間は掛からなかった。
「今はまだ大丈夫だけど、数日後から回収したインスタントスープの容器を洗う作業も増えるんだよなあ。実際にお店を開いてみてわかったけれど、多少お店が落ち着いきてても、まだ従業員が足りない気がするんだ。リリアはどう思う?」
「そうだな。オープン初日の今日人手が足りていないのは当然として、多少お客さんが落ち着いたとしても、もう1人か2人はいたほうがいいな。今の3人ではなにかあった時に対処ができないと思う」
「そうだよね。3人だとトラブルが起きた時に対処できない。早い話、誰かが体調を崩したらその時点でお店を開けないもんな。よし、明日朝一で従業員募集の求人を商業ギルドに出しておこう。それと店内にも従業員募集中の張り紙を貼っておくか」
「うむ。希望者が集まるまでに多少時間はかかるだろうからな。次の休みの日に面接をすればいいのではないか?」
「そうだね、それでいこう」
確か従業員の求人は商業ギルドでできるはずだ。明日お店が開く前に行ってこよう。それにアウトドアショップの能力のこともあるから、面接でちゃんと秘密を守れそうかを重視して見ないといけない。
「それとこの街では難しいかもしれないけれど、可能なら護衛もできるくらい強い人を雇いたいかな」
「な……に……」
「ちょっとリリア、どうしたの!?」
なぜかリリアがいきなり崩れ落ちた。
「いや、いいんだ。確かに護衛が私1人では不満があって当然だ。テツヤが私の他に護衛ができる者を雇いたいと思うのは当然だ……」
「いやいや、何を言っているの! 護衛としてのリリアの力は信用しているから!」
「……本当なのか?」
「もちろんだよ! リリアの力はこの目で見ているし、冒険者ギルドマスターのライザックさんからも一目置かれている。リリアがこの店にいてくれて本当によかったと思っているよ。
どちらかと言うとその人にはリリアの補佐をお願いしたいんだ。さっきみたいにフィアちゃんを家まで送ってもらう時に店を空っぽにしておきたくないし、リリアが体調を崩したり、休んだりしている時に俺とフィアちゃんじゃ対処できないからさ」
「そ、そうなのだな。う、うむ、それなら問題ない」
顔を真っ赤にしながらそっぽを向くリリア。どうやら照れているらしい。普段から凛としているリリアがこういった仕草をするとドキッとしてしまう。……いかん、いかん。ふたりきりだからって、変な気を起こさないようにしなければ!
「それじゃあ今日はお疲れさま。明日もよろしくね!」
「ああ。こちらこそよろしく頼む!」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
そして営業2日目。今日も朝から大勢のお客さんがお店へと来てくれていた。昨日と同じで店内への入場規制をしている。
「お釣りの銅貨5枚になります。ありがとうございました」
「どうもありがとうございました。」
「ありがとう。せっかくだから、この便利そうなインスタントスープってものを全種類試してみたかったんだけどなあ」
「申し訳ありません。ここでしか売っていない商品なので、転売されないようにしたいんです。それと人気もありますので、大勢のお客さんが購入できるようにしておきたいんですよね」
「なるほどね。それじゃあ、これがなくなったらまた来るよ」
「はい、おまちしております。ありがとうございました!」
予想通りインスタントスープは非常に人気があり、これだけを求めてお店まで来てくれるお客さんも大勢いた。昨日はコンソメスープとコーンクリームスープは売り切れてしまった。そのため、昨日売り切れで買えなかった人達も朝から来てくれているようだ。
味噌汁のほうは商品の棚に独特な味と香りのするスープと書いてあるので、昨日はインスタントスープの中では一番売れていなかった。しかし他の味を試したお客さんや、売り切れで買えなかったお客さんが、今後は少しずつ買ってくれると思っている。
「ふう……忙しいなあ……」
「昨日と同じくらいお客さんがいるね」
「昨日この店で商品を買ったお客さんがいろいろ宣伝してくれたのかもしれないね。やっぱり今週中は忙しそうだ」
入場規制をしているから良いが、それでもお客さんが常に店内に大勢いるのでなかなか忙しい。
「やめろよな!」
「ああん! なんだ、やんのか!」
店内でレジをしていると、店の外でお客さん同士の言い争いが聞こえた。なんだかトラブルの予感がする……
俺まで一緒に行く必要はないのだが、万が一その間に強盗が来たら俺ひとりでは対処できないから俺もついていくことにした。最悪空き巣が入っても、アウトドアショップの能力で今日の売上金はチャージしてあるから、店には最低限の商品とお金くらいしかない。
そう考えるとリリアに四六時中お店に張り付いてもらうわけにはいかないから、リリア以外にもうひとりくらい護衛のできる従業員を雇ったほうがいいかもしれないな。
「よし、明日の準備はこんなもんで大丈夫だろ。リリアもありがとうね」
「これぐらいお安い御用だぞ」
フィアちゃんを家に送ったあとはリリアと一緒に明日の準備をした。具体的には店を掃除したり、商品をアウトドアショップから補充して、商品の棚へと並べてたり、倉庫へと運んでいく。今はそれほど重いような商品は取り扱っていないので、それほど時間は掛からなかった。
「今はまだ大丈夫だけど、数日後から回収したインスタントスープの容器を洗う作業も増えるんだよなあ。実際にお店を開いてみてわかったけれど、多少お店が落ち着いきてても、まだ従業員が足りない気がするんだ。リリアはどう思う?」
「そうだな。オープン初日の今日人手が足りていないのは当然として、多少お客さんが落ち着いたとしても、もう1人か2人はいたほうがいいな。今の3人ではなにかあった時に対処ができないと思う」
「そうだよね。3人だとトラブルが起きた時に対処できない。早い話、誰かが体調を崩したらその時点でお店を開けないもんな。よし、明日朝一で従業員募集の求人を商業ギルドに出しておこう。それと店内にも従業員募集中の張り紙を貼っておくか」
「うむ。希望者が集まるまでに多少時間はかかるだろうからな。次の休みの日に面接をすればいいのではないか?」
「そうだね、それでいこう」
確か従業員の求人は商業ギルドでできるはずだ。明日お店が開く前に行ってこよう。それにアウトドアショップの能力のこともあるから、面接でちゃんと秘密を守れそうかを重視して見ないといけない。
「それとこの街では難しいかもしれないけれど、可能なら護衛もできるくらい強い人を雇いたいかな」
「な……に……」
「ちょっとリリア、どうしたの!?」
なぜかリリアがいきなり崩れ落ちた。
「いや、いいんだ。確かに護衛が私1人では不満があって当然だ。テツヤが私の他に護衛ができる者を雇いたいと思うのは当然だ……」
「いやいや、何を言っているの! 護衛としてのリリアの力は信用しているから!」
「……本当なのか?」
「もちろんだよ! リリアの力はこの目で見ているし、冒険者ギルドマスターのライザックさんからも一目置かれている。リリアがこの店にいてくれて本当によかったと思っているよ。
どちらかと言うとその人にはリリアの補佐をお願いしたいんだ。さっきみたいにフィアちゃんを家まで送ってもらう時に店を空っぽにしておきたくないし、リリアが体調を崩したり、休んだりしている時に俺とフィアちゃんじゃ対処できないからさ」
「そ、そうなのだな。う、うむ、それなら問題ない」
顔を真っ赤にしながらそっぽを向くリリア。どうやら照れているらしい。普段から凛としているリリアがこういった仕草をするとドキッとしてしまう。……いかん、いかん。ふたりきりだからって、変な気を起こさないようにしなければ!
「それじゃあ今日はお疲れさま。明日もよろしくね!」
「ああ。こちらこそよろしく頼む!」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
そして営業2日目。今日も朝から大勢のお客さんがお店へと来てくれていた。昨日と同じで店内への入場規制をしている。
「お釣りの銅貨5枚になります。ありがとうございました」
「どうもありがとうございました。」
「ありがとう。せっかくだから、この便利そうなインスタントスープってものを全種類試してみたかったんだけどなあ」
「申し訳ありません。ここでしか売っていない商品なので、転売されないようにしたいんです。それと人気もありますので、大勢のお客さんが購入できるようにしておきたいんですよね」
「なるほどね。それじゃあ、これがなくなったらまた来るよ」
「はい、おまちしております。ありがとうございました!」
予想通りインスタントスープは非常に人気があり、これだけを求めてお店まで来てくれるお客さんも大勢いた。昨日はコンソメスープとコーンクリームスープは売り切れてしまった。そのため、昨日売り切れで買えなかった人達も朝から来てくれているようだ。
味噌汁のほうは商品の棚に独特な味と香りのするスープと書いてあるので、昨日はインスタントスープの中では一番売れていなかった。しかし他の味を試したお客さんや、売り切れで買えなかったお客さんが、今後は少しずつ買ってくれると思っている。
「ふう……忙しいなあ……」
「昨日と同じくらいお客さんがいるね」
「昨日この店で商品を買ったお客さんがいろいろ宣伝してくれたのかもしれないね。やっぱり今週中は忙しそうだ」
入場規制をしているから良いが、それでもお客さんが常に店内に大勢いるのでなかなか忙しい。
「やめろよな!」
「ああん! なんだ、やんのか!」
店内でレジをしていると、店の外でお客さん同士の言い争いが聞こえた。なんだかトラブルの予感がする……