俺はリュックに入っていたアウトドアスパイスと塩と胡椒を取り出して職員さんの前に置く。
「かしこまりました。それでは鑑定させていただきますね」
「はい、お願いします」
まずは思った通り。この世界では香辛料だからといって、それほど騒がれはしないみたいだ。元の世界でも昔は胡椒など、かなり高価な時代もあったからな。事前に市場調査をしてきた結果、香辛料もそこそこ高値で販売されていたが、金と同価値まではいかないことが判明した。
そりゃ一文無しだから高値で売れたほうがいいに決まっているが、あまり騒がれて目立ちたくもない。まだこの異世界がどんな世界なのかもよく分かっていないんだからな。そしてひとつだけ懸念していることがある……
「……これは素晴らしい品質です。こちらは塩、こちらは胡椒、こちらは様々な香辛料が混ぜ合わされておりますね」
よし、唯一懸念していたことも大丈夫そうだ。ロイヤ達の話によると、商業ギルドの職員さんの大半は鑑定魔法が使えるらしい。鑑定魔法は人には使えないが、物についての詳細な情報を知ることができるようだ。
そして俺が持ち込んだ香辛料は、元の世界から持ち込んだ香辛料だ。もしも鑑定魔法で塩(異世界産)とか結果が出たら大騒ぎになっていてもおかしくなかった。だが、今の職員さんの反応を見るに、その心配はないだろう。
「ここまで高品質なものはこの街にはなかなか持ち込まれません。そして何より素晴らしいのがこの容器です!」
「容器?」
「はい、とても素晴らしいガラスの瓶です! これほど整った形に加工されたものはなかなかないでしょう。失礼ですが、こちらの品物は定期的に手に入れることは可能でしょうか?」
そうか容器については、そこまで深く考えていなかった。この容器は100均で買ったものだが、確かに街の市場ではこんなに綺麗な円柱の形をしたガラスは見なかったな。
「……さすがにお目が高いですね! こちらのガラスの瓶は私の故郷の職人が作った一品になります。この最高品質の香辛料と合わせて買い取っていただければと思います。
ですが私の故郷はここからとても遠くにあって、もう一度帰れるかどうかも分からないので、こちらを買い取ってもらうのは今回限りになります」
「そうですか……申し訳ありません、とても貴重なお品でしたので、深いところまで聞いてしまいました。お教えいただいてありがとうございます。それでは査定額を計算させていただきますので、こちらで少々お待ちください」
ふう……なんとか切り抜けることができたみたいだ。それに持っている香辛料はこれがすべてだから、買い取ってもらうのは今回限りになる。今のところ故郷というか、元の世界に戻れるアテもないからなあ。
「大変お待たせしました。それでは査定額の説明をさせていただきます。まずこちらの塩が銀貨3枚、胡椒が金貨1枚、こちらの香辛料は金貨2枚になります。こちらのガラスの瓶がひとつ金貨10枚で合計金貨33枚と銀貨3枚でいかがでしょうか?」
おお、思ったよりもかなり高値になってくれた。というか大半が瓶の値段だ。あれだけ小さなガラスの瓶がこれほどの高値で売れるとは思っていなかったな。
ちなみに市場調査でわかったこの街で使っているお金の価値は、おおまかにだが銅貨1枚が100円、銀貨1枚が1000円、金貨1枚が10000円といったところだ。他にも金貨100枚分の価値がある白金貨という硬貨もあるらしい。
少なくともこれだけのお金があれば、当面の生活費にはなるだろう。
「はい、そちらでお願いします」
「かしこまりました、少々お待ちください」
「お待たせしました。金貨33枚と銀貨3枚になります。また何かございましたら、ぜひ商業ギルドをご利用ください」
「はい、ありがとうございました……って、うおおおっ!?」
「きゃっ! ど、どうかなさいました?」
「あ、いえ、大変失礼しました、大丈夫です。……あのこれって」
「え、えっと、何か不都合がございましたか?」
「いえ、なんでもありません! 買い取りありがとうございました! 何か売れそうなものがあったら、また持ってきますね!」
大慌てで出された金貨をリュックにしまい、急いで商業ギルドをあとにした。
「ああ〜ビックリした! いきなり何なんだよ、これは?」
先程買い取り金額を出されて、金貨を触った瞬間、目の前にいきなり半透明のウインドウが現れた。先程の職員さんの反応を見ると、彼女にはこのウインドウが見えていなかったみたいだ。というかあの美人な職員さんに、絶対変な人に思われたよな……くそう、まだ名前も聞いていなかったのに……
商業ギルドを出て近くにあるベンチに座り、改めてウインドウを見てみる。
「……これは元の世界のキャンプギアか? もしかしてここにあるやつを買うことができたりするのか?」
俺の目の前にあるウインドウ。そこには元の世界で見慣れていたキャンプギアがいくつか表示されている。そしてそのウインドウの一番左上には、アウトドアショップLV1と日本語で書かれていた。
「かしこまりました。それでは鑑定させていただきますね」
「はい、お願いします」
まずは思った通り。この世界では香辛料だからといって、それほど騒がれはしないみたいだ。元の世界でも昔は胡椒など、かなり高価な時代もあったからな。事前に市場調査をしてきた結果、香辛料もそこそこ高値で販売されていたが、金と同価値まではいかないことが判明した。
そりゃ一文無しだから高値で売れたほうがいいに決まっているが、あまり騒がれて目立ちたくもない。まだこの異世界がどんな世界なのかもよく分かっていないんだからな。そしてひとつだけ懸念していることがある……
「……これは素晴らしい品質です。こちらは塩、こちらは胡椒、こちらは様々な香辛料が混ぜ合わされておりますね」
よし、唯一懸念していたことも大丈夫そうだ。ロイヤ達の話によると、商業ギルドの職員さんの大半は鑑定魔法が使えるらしい。鑑定魔法は人には使えないが、物についての詳細な情報を知ることができるようだ。
そして俺が持ち込んだ香辛料は、元の世界から持ち込んだ香辛料だ。もしも鑑定魔法で塩(異世界産)とか結果が出たら大騒ぎになっていてもおかしくなかった。だが、今の職員さんの反応を見るに、その心配はないだろう。
「ここまで高品質なものはこの街にはなかなか持ち込まれません。そして何より素晴らしいのがこの容器です!」
「容器?」
「はい、とても素晴らしいガラスの瓶です! これほど整った形に加工されたものはなかなかないでしょう。失礼ですが、こちらの品物は定期的に手に入れることは可能でしょうか?」
そうか容器については、そこまで深く考えていなかった。この容器は100均で買ったものだが、確かに街の市場ではこんなに綺麗な円柱の形をしたガラスは見なかったな。
「……さすがにお目が高いですね! こちらのガラスの瓶は私の故郷の職人が作った一品になります。この最高品質の香辛料と合わせて買い取っていただければと思います。
ですが私の故郷はここからとても遠くにあって、もう一度帰れるかどうかも分からないので、こちらを買い取ってもらうのは今回限りになります」
「そうですか……申し訳ありません、とても貴重なお品でしたので、深いところまで聞いてしまいました。お教えいただいてありがとうございます。それでは査定額を計算させていただきますので、こちらで少々お待ちください」
ふう……なんとか切り抜けることができたみたいだ。それに持っている香辛料はこれがすべてだから、買い取ってもらうのは今回限りになる。今のところ故郷というか、元の世界に戻れるアテもないからなあ。
「大変お待たせしました。それでは査定額の説明をさせていただきます。まずこちらの塩が銀貨3枚、胡椒が金貨1枚、こちらの香辛料は金貨2枚になります。こちらのガラスの瓶がひとつ金貨10枚で合計金貨33枚と銀貨3枚でいかがでしょうか?」
おお、思ったよりもかなり高値になってくれた。というか大半が瓶の値段だ。あれだけ小さなガラスの瓶がこれほどの高値で売れるとは思っていなかったな。
ちなみに市場調査でわかったこの街で使っているお金の価値は、おおまかにだが銅貨1枚が100円、銀貨1枚が1000円、金貨1枚が10000円といったところだ。他にも金貨100枚分の価値がある白金貨という硬貨もあるらしい。
少なくともこれだけのお金があれば、当面の生活費にはなるだろう。
「はい、そちらでお願いします」
「かしこまりました、少々お待ちください」
「お待たせしました。金貨33枚と銀貨3枚になります。また何かございましたら、ぜひ商業ギルドをご利用ください」
「はい、ありがとうございました……って、うおおおっ!?」
「きゃっ! ど、どうかなさいました?」
「あ、いえ、大変失礼しました、大丈夫です。……あのこれって」
「え、えっと、何か不都合がございましたか?」
「いえ、なんでもありません! 買い取りありがとうございました! 何か売れそうなものがあったら、また持ってきますね!」
大慌てで出された金貨をリュックにしまい、急いで商業ギルドをあとにした。
「ああ〜ビックリした! いきなり何なんだよ、これは?」
先程買い取り金額を出されて、金貨を触った瞬間、目の前にいきなり半透明のウインドウが現れた。先程の職員さんの反応を見ると、彼女にはこのウインドウが見えていなかったみたいだ。というかあの美人な職員さんに、絶対変な人に思われたよな……くそう、まだ名前も聞いていなかったのに……
商業ギルドを出て近くにあるベンチに座り、改めてウインドウを見てみる。
「……これは元の世界のキャンプギアか? もしかしてここにあるやつを買うことができたりするのか?」
俺の目の前にあるウインドウ。そこには元の世界で見慣れていたキャンプギアがいくつか表示されている。そしてそのウインドウの一番左上には、アウトドアショップLV1と日本語で書かれていた。