「それじゃあフィアちゃんはお客さんへ商品の受け渡しをお願いするね。俺がお金を受け取ったら、商品を取ってお客さんに渡してあげてね」
「は、はい!」
「大きな店でもないから、そんなに緊張しないで大丈夫だよ。それにお客さんも見た目は怖くても、優しい人達ばかりだからね」
「はは、確かに見た目は俺も含めて恐ええやつらばっかりだな。だがそっちのほうが冒険者の箔がつくってもんだ!」
「この街は優しい人が多いですよね。おかげで商売を始める身にはありがたいばかりですよ」
「そうだな、この街は冒険者の始まりの街と呼ばれていてだいぶ居心地がいい。俺もそろそろ別の街に拠点を移さないといけないんだが、ついつい入り浸っちまう」
「なるほど、居心地が良すぎるのも難しいですね。あ、金貨2枚ありがとうございます。フィアちゃん、ファイヤースターターをお願い」
「は、はい! ファイヤースターターです、あ、ありがとうごじゃりました!」
「「「………………」」」
「あ、ありがとうございました!」
緊張しすぎて噛んでしまったようだ。あまりに微笑ましくて俺以外のお客さんも微笑ましく見ている。
「おう、ありがとうな、キツネのお嬢ちゃん」
「は、はい!」
「しばらくしたら新しい商品を仕入れる予定なんで、また来てくださいね!」
「おう、また寄らせてもらうぜ!」
「はい、ありがとうございました!」
先頭に並んでいた男性は昨日一通り買ってくれたから、今日はファイヤースターターを買って帰っていった。アウトドアショップの能力がレベルアップして、新しい商品が購入できるようになったら、またぜひ来てほしいところである。
「俺もファイヤースターターってやつを頼む。昨日ここで買ったやつに見せてもらったんだが、俺の持っている火打ち石より便利らしいな」
「ありがとうございます、金貨2枚になります。他にもいろいろな商品があるので、ぜひ見ていってくださいね。はい、金貨2枚ありがとうございます。フィアちゃん、ファイヤースターターをお願い」
「は、はい! ありがとうございました!」
「おう。お嬢ちゃん、あんがとな!」
うん、やっぱり男のお客さんなら、男の俺よりも可愛い女の子が商品を渡してくれたほうが嬉しいよな。適材適所というやつである。
「リリアさんから聞いてきたんだけど、方位磁石ってのはどれなんだ?」
「はい、こちらになります。この方位磁石を水平にすると常に赤い針が同じ方向を示します。近くの森に入る時はこの赤い針が森の奥を示すので、反対の針の方向へ進んでいけば、森から抜け出せることができます」
「へえ〜そいつは便利な道具だな。これを2つ頼む」
「はい、方位磁石2つで銀貨4枚になります。フィアちゃん、方位磁石2つをお願い」
「はい!」
「こっちのこの道具はどう使うんだ?」
「はい、これはカラビナといって……」
「お嬢ちゃん、こっちのスプーンとフォークとコップをセットで頼むよ」
「は、はい! え〜とえ〜と、3つセットで銀貨3枚と銅貨3枚になります!」
早速忙しくなってきたな。しかし今日はフィアちゃんがいることによって、俺がお客さんに商品の説明をしていても、お客さんを待たせなくてすむ。昨日は結構待たせてしまったお客さんもいるからな。
それにフィアちゃんはお店で働くのが今日初めてだと言っていたが、全然普通に働けているので本当に助かる。正直に言って、今日は教えることが多くて逆に俺の負担が増えると思っていたのだが、全然そんなことはなかった。もしフィアちゃんが大丈夫なら、明日からもこのお店で続けて働いてほしいところである。
「結構お客さんがいるみたいだな」
「あ、ロイヤ達、来てくれたんだな」
「やっほー、テツヤ。オープンおめでとう!」
「すまないな、テツヤ。昨日は受けた依頼が遅くまで掛かってしまい、来れなかったんだ」
店を開いてしばらくしたあと、ロイヤにニコレにファルが店までやって来てくれた。ちょっと先程まで依頼を受けていたのか、3人の防具は土で少し汚れている。
「いいって。それよりも来てくれただけで嬉しいよ。というかみんなにはもう一通り売ったと思ったんだけどな」
「方位磁石をひとつとカラビナを3つずつ頼むよ。方位磁石のほうは予備で持っておくに越した事はないし、カラビナのほうは部屋の中でも使えて便利だから、もう少しあってもいいんだ」
「……そうか。あんまり無理はしなくて大丈夫だからな。全部で銀貨5枚になります」
それほどお金に余裕があるわけじゃないのに、オープン祝いでわざわざ買いに来てくれたんだな。相変わらずいいやつらだ。
「方位磁石がひとつとカラビナが3つになります。ありがとうございました!」
「へえ〜もう店員を雇ったんだ」
「やだ〜なにこの子、可愛い! お名前はなんて言うの?」
「フィアっていいます。よ、よろしくお願いします!」
「きゃあ〜可愛い! ニコレよ、よろしくね。フィアちゃん!」
「は、はい、よろしくです。ニコレお姉ちゃん!」
「お姉ちゃん……はあ、はあ、なんて可愛いの!?」
「……おい、そろそろ止めておけって」
「すまないな、テツヤ。ニコレは可愛い物や女の子を見るとこうなるんだ」
「フィアちゃんも怖がっているからほどほどにな……」
うん、フィアちゃんが可愛いという気持ちは分かるのだが、みんな引いているからそのくらいにしておいてくれ。……俺もニコレみたいに通報5秒前のような、危うい表情にならないように気をつけるとしよう。
「は、はい!」
「大きな店でもないから、そんなに緊張しないで大丈夫だよ。それにお客さんも見た目は怖くても、優しい人達ばかりだからね」
「はは、確かに見た目は俺も含めて恐ええやつらばっかりだな。だがそっちのほうが冒険者の箔がつくってもんだ!」
「この街は優しい人が多いですよね。おかげで商売を始める身にはありがたいばかりですよ」
「そうだな、この街は冒険者の始まりの街と呼ばれていてだいぶ居心地がいい。俺もそろそろ別の街に拠点を移さないといけないんだが、ついつい入り浸っちまう」
「なるほど、居心地が良すぎるのも難しいですね。あ、金貨2枚ありがとうございます。フィアちゃん、ファイヤースターターをお願い」
「は、はい! ファイヤースターターです、あ、ありがとうごじゃりました!」
「「「………………」」」
「あ、ありがとうございました!」
緊張しすぎて噛んでしまったようだ。あまりに微笑ましくて俺以外のお客さんも微笑ましく見ている。
「おう、ありがとうな、キツネのお嬢ちゃん」
「は、はい!」
「しばらくしたら新しい商品を仕入れる予定なんで、また来てくださいね!」
「おう、また寄らせてもらうぜ!」
「はい、ありがとうございました!」
先頭に並んでいた男性は昨日一通り買ってくれたから、今日はファイヤースターターを買って帰っていった。アウトドアショップの能力がレベルアップして、新しい商品が購入できるようになったら、またぜひ来てほしいところである。
「俺もファイヤースターターってやつを頼む。昨日ここで買ったやつに見せてもらったんだが、俺の持っている火打ち石より便利らしいな」
「ありがとうございます、金貨2枚になります。他にもいろいろな商品があるので、ぜひ見ていってくださいね。はい、金貨2枚ありがとうございます。フィアちゃん、ファイヤースターターをお願い」
「は、はい! ありがとうございました!」
「おう。お嬢ちゃん、あんがとな!」
うん、やっぱり男のお客さんなら、男の俺よりも可愛い女の子が商品を渡してくれたほうが嬉しいよな。適材適所というやつである。
「リリアさんから聞いてきたんだけど、方位磁石ってのはどれなんだ?」
「はい、こちらになります。この方位磁石を水平にすると常に赤い針が同じ方向を示します。近くの森に入る時はこの赤い針が森の奥を示すので、反対の針の方向へ進んでいけば、森から抜け出せることができます」
「へえ〜そいつは便利な道具だな。これを2つ頼む」
「はい、方位磁石2つで銀貨4枚になります。フィアちゃん、方位磁石2つをお願い」
「はい!」
「こっちのこの道具はどう使うんだ?」
「はい、これはカラビナといって……」
「お嬢ちゃん、こっちのスプーンとフォークとコップをセットで頼むよ」
「は、はい! え〜とえ〜と、3つセットで銀貨3枚と銅貨3枚になります!」
早速忙しくなってきたな。しかし今日はフィアちゃんがいることによって、俺がお客さんに商品の説明をしていても、お客さんを待たせなくてすむ。昨日は結構待たせてしまったお客さんもいるからな。
それにフィアちゃんはお店で働くのが今日初めてだと言っていたが、全然普通に働けているので本当に助かる。正直に言って、今日は教えることが多くて逆に俺の負担が増えると思っていたのだが、全然そんなことはなかった。もしフィアちゃんが大丈夫なら、明日からもこのお店で続けて働いてほしいところである。
「結構お客さんがいるみたいだな」
「あ、ロイヤ達、来てくれたんだな」
「やっほー、テツヤ。オープンおめでとう!」
「すまないな、テツヤ。昨日は受けた依頼が遅くまで掛かってしまい、来れなかったんだ」
店を開いてしばらくしたあと、ロイヤにニコレにファルが店までやって来てくれた。ちょっと先程まで依頼を受けていたのか、3人の防具は土で少し汚れている。
「いいって。それよりも来てくれただけで嬉しいよ。というかみんなにはもう一通り売ったと思ったんだけどな」
「方位磁石をひとつとカラビナを3つずつ頼むよ。方位磁石のほうは予備で持っておくに越した事はないし、カラビナのほうは部屋の中でも使えて便利だから、もう少しあってもいいんだ」
「……そうか。あんまり無理はしなくて大丈夫だからな。全部で銀貨5枚になります」
それほどお金に余裕があるわけじゃないのに、オープン祝いでわざわざ買いに来てくれたんだな。相変わらずいいやつらだ。
「方位磁石がひとつとカラビナが3つになります。ありがとうございました!」
「へえ〜もう店員を雇ったんだ」
「やだ〜なにこの子、可愛い! お名前はなんて言うの?」
「フィアっていいます。よ、よろしくお願いします!」
「きゃあ〜可愛い! ニコレよ、よろしくね。フィアちゃん!」
「は、はい、よろしくです。ニコレお姉ちゃん!」
「お姉ちゃん……はあ、はあ、なんて可愛いの!?」
「……おい、そろそろ止めておけって」
「すまないな、テツヤ。ニコレは可愛い物や女の子を見るとこうなるんだ」
「フィアちゃんも怖がっているからほどほどにな……」
うん、フィアちゃんが可愛いという気持ちは分かるのだが、みんな引いているからそのくらいにしておいてくれ。……俺もニコレみたいに通報5秒前のような、危うい表情にならないように気をつけるとしよう。