「……ふあ~あ」
目を開けるとテントの中だった。そういえば王都へ向かうために馬車で移動していて、昨日は河原にテントを張って寝ていたんだっけな。同じテントの中にはドルファとランジェさんがいて、まだ眠っているようだ。
2人を起こさないようにこっそりとテントから出る。ちょうど朝日が昇り始めたらしく、とても眩しい。
「ワオン」
「おわっと!?」
危うく大きな声を出してしまいそうになった。テントの前には美しい銀色の毛並みをした普通の狼よりも大きな銀狼がいたからだ。
「びっくりした。おはよう、シルフ」
「ワオン!」
シルフはAランク冒険者であるフェリーさんが召喚魔法で呼び出したシルバーウルフだ。昨日のスレイプニルのスレプの時にも思ったけれど、フェリーさんの召喚獣への名前の付け方ってシンプルだよな。
まあ、召喚獣本人達も気にいっているみたいだし、スレプもシルフも人懐っこくて良い子達だ。昨日もフェリーさんにお願いして毛並みを触らせてもらったが、とても素晴らしい触り心地だった。
人懐っこい生き物を見ると、ペットを飼う人の気持ちが良くわかる。俺も一人暮らしで仕事から帰ってきたら誰もいない寂しい生活をしていたから、ペットのいる生活って憧れていたんだよね。
「見張りをありがとう。おかげさまでぐっすりと眠れたよ」
元の世界では毎週のようにキャンプをしていたが、こっちの世界に来てから外で寝たのは初めてだった。普通だったら夜中に盗賊や魔物を心配しなければいけないところだが、シルフが一晩中見張りをしてくれたおかげで、安心して眠ることができた。
「よし、朝ご飯を作るからちょっとだけ待っていてくれよな」
「ワオン!」
狼というよりは犬のように俺の側に寄ってきたので、頭をなでてあげた。モフモフとして柔らかく、艶のある毛並みの触り心地がとても素晴らしい。きっとシルフも一晩中見張りというのは寂しかったのだろうな。
さて、みんなもすぐに起きてくるだろうし、川で顔を洗って、朝食の準備を始めるとしよう。朝食の食材はすでに昨日フェリーさんの収納魔法から馬車のほうに移してある。
川の水はとても冷たくて、一瞬で目が覚めた。河原でのキャンプをする時はこれがいいんだよな。それにこの世界だと空気が澄んでいるせいか、夜中の夜空の星がとても綺麗に見えた。
大自然の中で焚火を見つめながら星空を見上げるのはとても気持ちが良い。やはりたまに外でキャンプをするのはとても楽しいな。とはいえ戦闘能力のない俺ではソロキャンなんて夢のまた夢だから、ベルナさんとフェリーさんがいる際にキャンプをできないか聞いてみるとするかな。
「とってもいい匂いですわ!」
「お腹が空いた……」
「おはようございます、もういつでも食べられますよ」
ベルナさんとフェリーさんも起きてきた。もうすでに他のみんなも起きてきて朝食の準備を手伝ってくれている。朝食の準備もほとんどできたし、リリアかアンジュに2人を起こしにいってもらうか迷っているところだった。
「とてもおいしそうですね。こちらはパンを焼いたものですか?」
「パンの焼けたいい匂い」
「ええ。ホットサンドと言います。パンの中に具材を入れて、外側のパンを少し焼いたものですね」
そういえば2人ともホットサンドは初めてか。俺やリリアやランジェさんはしょっちゅう朝食で食べているし、フィアちゃんとドルファとアンジュはアウトドアショップのお店の昼食のまかないで何度か食べたことがある。
「まあ、これはおいしいですね! 外側はカリッとしていて中にお肉とチーズと卵が入っています! この少し溶けたチーズが本当にたまりません!」
「こっちのは甘い果物のジャムが入っている。甘くて温かくておいしい!」
ベルナさんが食べているのは燻製肉とチーズとスクランブルエッグを入れたものである。燻製肉はアウトドアスパイスで濃い目に味を付けてあるものなので、味付けはさらにアウトドアスパイスを少し加えただけで十分にうまい。
フェリーさんが食べているのは街で売っていたイチゴのような果物を煮詰めたジャムを入れたものだ。実はジャムというものは冷たい時よりも温かいほうがおいしかったりする。ただホットサンドにするだけで、パンに冷たいジャムを塗ったものとは全然違う味になるんだよね。
実際のところ、アレフレアの街で入手できるパンの質はそれほど良くないので、普通に食べるよりもホットサンドにした方がうまいのである。
「こっちの野菜と甘辛い味付けをした肉のホットサンドもおすすめだぞ」
「こっちのお野菜とお肉のもおいしいよ!」
リリアが食べているホットサンドは焼肉のタレを使って焼いた肉にレタスと玉ねぎを入れたものだ。甘辛い肉とレタスと玉ねぎの歯ざわりがとてもよく合っている。
フィアちゃんが食べているのは燻製肉とほうれん草をバターと魚醤で炒めてホットサンドにしたものだ。基本的にはホットサンドにするものは味の濃いほうがおいしいんだよね。それにホットサンドにすると魚醤にあるほんの少しの生臭さがあまり感じられなくなるからな。
他にも芋とチーズのホットサンド、キノコのソテーのホットサンドの合計6種類のホットサンドを作ってみた。本当はこんなに種類を作る気もなかったんだけれど、俺が起きてからすぐにみんなも起きて手伝ってくれたから、ついつい作り過ぎてしまった。
余った分はフェリーさんの収納魔法に収納することもできるのはとても助かる。どちらにせよ王都までの道はまだ続くから、おやつとして食べたり、別の日の朝食に食べるとしよう。
目を開けるとテントの中だった。そういえば王都へ向かうために馬車で移動していて、昨日は河原にテントを張って寝ていたんだっけな。同じテントの中にはドルファとランジェさんがいて、まだ眠っているようだ。
2人を起こさないようにこっそりとテントから出る。ちょうど朝日が昇り始めたらしく、とても眩しい。
「ワオン」
「おわっと!?」
危うく大きな声を出してしまいそうになった。テントの前には美しい銀色の毛並みをした普通の狼よりも大きな銀狼がいたからだ。
「びっくりした。おはよう、シルフ」
「ワオン!」
シルフはAランク冒険者であるフェリーさんが召喚魔法で呼び出したシルバーウルフだ。昨日のスレイプニルのスレプの時にも思ったけれど、フェリーさんの召喚獣への名前の付け方ってシンプルだよな。
まあ、召喚獣本人達も気にいっているみたいだし、スレプもシルフも人懐っこくて良い子達だ。昨日もフェリーさんにお願いして毛並みを触らせてもらったが、とても素晴らしい触り心地だった。
人懐っこい生き物を見ると、ペットを飼う人の気持ちが良くわかる。俺も一人暮らしで仕事から帰ってきたら誰もいない寂しい生活をしていたから、ペットのいる生活って憧れていたんだよね。
「見張りをありがとう。おかげさまでぐっすりと眠れたよ」
元の世界では毎週のようにキャンプをしていたが、こっちの世界に来てから外で寝たのは初めてだった。普通だったら夜中に盗賊や魔物を心配しなければいけないところだが、シルフが一晩中見張りをしてくれたおかげで、安心して眠ることができた。
「よし、朝ご飯を作るからちょっとだけ待っていてくれよな」
「ワオン!」
狼というよりは犬のように俺の側に寄ってきたので、頭をなでてあげた。モフモフとして柔らかく、艶のある毛並みの触り心地がとても素晴らしい。きっとシルフも一晩中見張りというのは寂しかったのだろうな。
さて、みんなもすぐに起きてくるだろうし、川で顔を洗って、朝食の準備を始めるとしよう。朝食の食材はすでに昨日フェリーさんの収納魔法から馬車のほうに移してある。
川の水はとても冷たくて、一瞬で目が覚めた。河原でのキャンプをする時はこれがいいんだよな。それにこの世界だと空気が澄んでいるせいか、夜中の夜空の星がとても綺麗に見えた。
大自然の中で焚火を見つめながら星空を見上げるのはとても気持ちが良い。やはりたまに外でキャンプをするのはとても楽しいな。とはいえ戦闘能力のない俺ではソロキャンなんて夢のまた夢だから、ベルナさんとフェリーさんがいる際にキャンプをできないか聞いてみるとするかな。
「とってもいい匂いですわ!」
「お腹が空いた……」
「おはようございます、もういつでも食べられますよ」
ベルナさんとフェリーさんも起きてきた。もうすでに他のみんなも起きてきて朝食の準備を手伝ってくれている。朝食の準備もほとんどできたし、リリアかアンジュに2人を起こしにいってもらうか迷っているところだった。
「とてもおいしそうですね。こちらはパンを焼いたものですか?」
「パンの焼けたいい匂い」
「ええ。ホットサンドと言います。パンの中に具材を入れて、外側のパンを少し焼いたものですね」
そういえば2人ともホットサンドは初めてか。俺やリリアやランジェさんはしょっちゅう朝食で食べているし、フィアちゃんとドルファとアンジュはアウトドアショップのお店の昼食のまかないで何度か食べたことがある。
「まあ、これはおいしいですね! 外側はカリッとしていて中にお肉とチーズと卵が入っています! この少し溶けたチーズが本当にたまりません!」
「こっちのは甘い果物のジャムが入っている。甘くて温かくておいしい!」
ベルナさんが食べているのは燻製肉とチーズとスクランブルエッグを入れたものである。燻製肉はアウトドアスパイスで濃い目に味を付けてあるものなので、味付けはさらにアウトドアスパイスを少し加えただけで十分にうまい。
フェリーさんが食べているのは街で売っていたイチゴのような果物を煮詰めたジャムを入れたものだ。実はジャムというものは冷たい時よりも温かいほうがおいしかったりする。ただホットサンドにするだけで、パンに冷たいジャムを塗ったものとは全然違う味になるんだよね。
実際のところ、アレフレアの街で入手できるパンの質はそれほど良くないので、普通に食べるよりもホットサンドにした方がうまいのである。
「こっちの野菜と甘辛い味付けをした肉のホットサンドもおすすめだぞ」
「こっちのお野菜とお肉のもおいしいよ!」
リリアが食べているホットサンドは焼肉のタレを使って焼いた肉にレタスと玉ねぎを入れたものだ。甘辛い肉とレタスと玉ねぎの歯ざわりがとてもよく合っている。
フィアちゃんが食べているのは燻製肉とほうれん草をバターと魚醤で炒めてホットサンドにしたものだ。基本的にはホットサンドにするものは味の濃いほうがおいしいんだよね。それにホットサンドにすると魚醤にあるほんの少しの生臭さがあまり感じられなくなるからな。
他にも芋とチーズのホットサンド、キノコのソテーのホットサンドの合計6種類のホットサンドを作ってみた。本当はこんなに種類を作る気もなかったんだけれど、俺が起きてからすぐにみんなも起きて手伝ってくれたから、ついつい作り過ぎてしまった。
余った分はフェリーさんの収納魔法に収納することもできるのはとても助かる。どちらにせよ王都までの道はまだ続くから、おやつとして食べたり、別の日の朝食に食べるとしよう。