「よし、これで準備はオッケーだな」
アウトドアショップの前には大型の荷馬車が停めてあった。今日から1週間はアウトドアショップのお店を休んで従業員のみんなと一緒に王都へと旅行に行ってくる。
一応の名目としては、これからアウトドアショップで販売している商品の一部を王都とその間にあるいくつかの街の冒険者ギルドでも販売してもらうための挨拶となっている。まあ、お店の経営も順調なことだし、実際には従業員を連れての社員旅行だな。
よくよく考えてみると、この異世界に来てからしばらくの期間が経ったが、未だにこのアレフレアの街以外の街には訪れたことがないので、他の街や王都に行くのはとても楽しみである。
「楽しみだね、テツヤお兄ちゃん!」
「そうだね。俺もフィアちゃんと同じで、この街以外の街に行くのは初めてだから楽しみだよ!」
最初は半月ほどかかると思っていた王都への往復が、ありがたいことに1週間で済むという話になった。さらに王都でも有名なAランク冒険者の2人が同行するということで、フィアちゃんの母親のレーアさんからも許可が出て、フィアちゃんも王都まで行けるようになったのだ。
残念ながらレーアさんは仕事が休めなくて来られなかった。そのぶん王都でお土産をたくさん買ってくるとしよう。
「テツヤさん、よろしくお願いしますわ」
「テツヤ、よろしく」
「こちらこそよろしくお願いしますね。ベルナさん、フェリーさん」
真っ赤なロングヘアが特徴的なベルナさんと青い髪が特徴的な小柄なエルフの女の子であるフェリーさん。この2人は王都でも有名なAランク冒険者で、今回は王都まで俺達を護衛してくれる。
王都の冒険者ギルドからの正式な依頼なので、護衛の費用や滞在費などは王都の冒険者ギルドが出してくれる。さすがに従業員の分の滞在費はこちらで出すと伝えたのだが、それも向こうが出してくれることになった。
以前のダンジョン攻略の際に役に立った方位磁石を王都にも少しずつ卸すということは王都の冒険者ギルドにとってよほどありがたいことなのだろう。
「それにしても大きな荷馬車だね」
「ああ、これなら全員が余裕で乗れるだろうな」
「こんなに大きくて立派な馬車は始めて見ました」
ランジェさんやドルファやアンジュも王都まで同行してくれる。そしてリリアと俺も含めて合計8人の大所帯になるのだが、8人が乗ってもまったく問題ないくらい大きな荷馬車が目の前にある。
確かに駆け出し冒険者が集まるこのアレフレアの街で、これほど大きくて立派な馬車は見たことがない。
しかし肝心の荷馬車の前に馬車を引っ張るはずの馬がなぜかいない。そして王都までの道のりが通常の半分になるということから導き出される結論は……
「それじゃあフェリー頼むわ」
「うん。召喚、スレイプニル!」
フェリーさんが杖を目の前に掲げると、地面から大きな光り輝く魔法陣が浮かび上がり、そこから巨大な馬が現れた。
「ブルオオオオ!」
白く美しい毛並みをした巨大な馬。そしてその足は通常の馬とは異なり、8本もの脚があった。
「どうだ、すごいだろテツヤ! フェリーは攻撃魔法だけじゃなく、召喚魔法も使えるんだぞ!」
リリアが嬉しそうに話しながらスレイプニルに近付いていく。この世界に来てからいろんな魔法を見てきたが、召喚魔法は初めて見た。
「名前はスレプ。普通の馬よりも速いし力もある」
どうやら召喚したスレイプニルには名前があるらしい。この街で見たどの馬よりも巨大な体躯を持ち、長く太い8本の脚。
なるほど、これほど巨大な馬なら、これほど大きな荷馬車を引いて半分の時間で王都まで着くわけだ。
「うわあ~おっきい!」
「しかもこの召喚獣だけでも相当強そうだな。これがAランク冒険者の召喚魔法か」
普段うちの店の2階でご飯をおいしそうに食べている小柄なフェリーさんだが、凄腕の魔法使いなんだよな。
「店の戸締りもしたし、必要なものも荷馬車に積んである。さあ、それじゃあ出発しよう!」
店の戸締りはしてあるし、1週間休むという張り紙を店の前に貼ってある。必要な食材などは買い込んでフェリーさんとランジェさんの収納魔法にしまってもらっている。冒険者ギルドマスターのライザックさんにはすでに伝えてあるし、準備は万端だ。
いざ王都へ!
「……やっぱり馬車の振動はかなりあるんだな」
アレフレアの街を出て、王都までの道のりを進んでいく。街中はさすがにゆっくりと走っていたが、門を出てからのスピードは結構な速さだ。
馬車の前の席にはベルナさんとフェリーさんが座っており、後ろにはうちのお店の従業員が座っている。
「これでも少ないほうだと思うぞ。この馬車は大きくて立派だからな」
スレプのスピードが速いということと、舗装されていない道を走っているため、馬車の振動がなかなかすごい。このまま長時間座っていたら、絶対に身体中がバキバキになってしまうやつだ。
ここはストアのレベルが4になって購入できるようになっていたが、今まで需要がないと思い購入してこなかったこのアウトドア用マットの出番だな!
アウトドアショップの前には大型の荷馬車が停めてあった。今日から1週間はアウトドアショップのお店を休んで従業員のみんなと一緒に王都へと旅行に行ってくる。
一応の名目としては、これからアウトドアショップで販売している商品の一部を王都とその間にあるいくつかの街の冒険者ギルドでも販売してもらうための挨拶となっている。まあ、お店の経営も順調なことだし、実際には従業員を連れての社員旅行だな。
よくよく考えてみると、この異世界に来てからしばらくの期間が経ったが、未だにこのアレフレアの街以外の街には訪れたことがないので、他の街や王都に行くのはとても楽しみである。
「楽しみだね、テツヤお兄ちゃん!」
「そうだね。俺もフィアちゃんと同じで、この街以外の街に行くのは初めてだから楽しみだよ!」
最初は半月ほどかかると思っていた王都への往復が、ありがたいことに1週間で済むという話になった。さらに王都でも有名なAランク冒険者の2人が同行するということで、フィアちゃんの母親のレーアさんからも許可が出て、フィアちゃんも王都まで行けるようになったのだ。
残念ながらレーアさんは仕事が休めなくて来られなかった。そのぶん王都でお土産をたくさん買ってくるとしよう。
「テツヤさん、よろしくお願いしますわ」
「テツヤ、よろしく」
「こちらこそよろしくお願いしますね。ベルナさん、フェリーさん」
真っ赤なロングヘアが特徴的なベルナさんと青い髪が特徴的な小柄なエルフの女の子であるフェリーさん。この2人は王都でも有名なAランク冒険者で、今回は王都まで俺達を護衛してくれる。
王都の冒険者ギルドからの正式な依頼なので、護衛の費用や滞在費などは王都の冒険者ギルドが出してくれる。さすがに従業員の分の滞在費はこちらで出すと伝えたのだが、それも向こうが出してくれることになった。
以前のダンジョン攻略の際に役に立った方位磁石を王都にも少しずつ卸すということは王都の冒険者ギルドにとってよほどありがたいことなのだろう。
「それにしても大きな荷馬車だね」
「ああ、これなら全員が余裕で乗れるだろうな」
「こんなに大きくて立派な馬車は始めて見ました」
ランジェさんやドルファやアンジュも王都まで同行してくれる。そしてリリアと俺も含めて合計8人の大所帯になるのだが、8人が乗ってもまったく問題ないくらい大きな荷馬車が目の前にある。
確かに駆け出し冒険者が集まるこのアレフレアの街で、これほど大きくて立派な馬車は見たことがない。
しかし肝心の荷馬車の前に馬車を引っ張るはずの馬がなぜかいない。そして王都までの道のりが通常の半分になるということから導き出される結論は……
「それじゃあフェリー頼むわ」
「うん。召喚、スレイプニル!」
フェリーさんが杖を目の前に掲げると、地面から大きな光り輝く魔法陣が浮かび上がり、そこから巨大な馬が現れた。
「ブルオオオオ!」
白く美しい毛並みをした巨大な馬。そしてその足は通常の馬とは異なり、8本もの脚があった。
「どうだ、すごいだろテツヤ! フェリーは攻撃魔法だけじゃなく、召喚魔法も使えるんだぞ!」
リリアが嬉しそうに話しながらスレイプニルに近付いていく。この世界に来てからいろんな魔法を見てきたが、召喚魔法は初めて見た。
「名前はスレプ。普通の馬よりも速いし力もある」
どうやら召喚したスレイプニルには名前があるらしい。この街で見たどの馬よりも巨大な体躯を持ち、長く太い8本の脚。
なるほど、これほど巨大な馬なら、これほど大きな荷馬車を引いて半分の時間で王都まで着くわけだ。
「うわあ~おっきい!」
「しかもこの召喚獣だけでも相当強そうだな。これがAランク冒険者の召喚魔法か」
普段うちの店の2階でご飯をおいしそうに食べている小柄なフェリーさんだが、凄腕の魔法使いなんだよな。
「店の戸締りもしたし、必要なものも荷馬車に積んである。さあ、それじゃあ出発しよう!」
店の戸締りはしてあるし、1週間休むという張り紙を店の前に貼ってある。必要な食材などは買い込んでフェリーさんとランジェさんの収納魔法にしまってもらっている。冒険者ギルドマスターのライザックさんにはすでに伝えてあるし、準備は万端だ。
いざ王都へ!
「……やっぱり馬車の振動はかなりあるんだな」
アレフレアの街を出て、王都までの道のりを進んでいく。街中はさすがにゆっくりと走っていたが、門を出てからのスピードは結構な速さだ。
馬車の前の席にはベルナさんとフェリーさんが座っており、後ろにはうちのお店の従業員が座っている。
「これでも少ないほうだと思うぞ。この馬車は大きくて立派だからな」
スレプのスピードが速いということと、舗装されていない道を走っているため、馬車の振動がなかなかすごい。このまま長時間座っていたら、絶対に身体中がバキバキになってしまうやつだ。
ここはストアのレベルが4になって購入できるようになっていたが、今まで需要がないと思い購入してこなかったこのアウトドア用マットの出番だな!