「確かに干し肉やチーズは火を通すだけでだいぶうまくなるな」
ロイヤ達から少し干し肉やチーズをもらって、起こした火で炙ってから買ってきたパンに挟んで食べる。干し肉やチーズの代わりに俺のほうからはまだ残っていたジャムを提供した。
「それにしてもこいつも便利だ。火打ち石よりも楽に火をつけられるし、小さくて持ち運びもしやすい。これなら昼食を軽く温めるだけでも気楽に火をつけられるな。テツヤこれもあとで売ってほしい」
俺が火を起こしたあと、みんなでもちゃんと火がつけられるかを確認してもらったが、みんなすぐに火をつけられるようになった。まあ俺よりも力が強いんだし、慣れたら俺よりも早く火を付けることができるようになるだろう。
「ああ、もちろんだよ。値段のほうはどうしようかな……」
このファイヤースターターはアウトドアショップのLV2で買えるようになったキャンプギアで、銀貨3枚で買えた。麻紐はそこそこの長さで銀貨1枚だ。街で売っている火打ち石のセットが金貨3枚といっていたけれど、同じ金貨3枚で売ってしまうと、仕入れ値の10倍という超ボッタクリ価格になってしまう。
とはいえあんまり安くしすぎると、他の店の火打ち石がまったく売れなくなってしまいそうだ。目玉商品として金貨2枚で売る代わりに1日3個限定とかにしておくかな。それなら集客もできつつ、他の店をそこまで圧迫することはないだろう。
「よし、それではこれより森の中を探索していくぞ。森の中では朝に言った隊列を組んでいく」
休憩と昼食を取り終わって、いよいよこれから森の中に入る。
「このアレフレアの森はとてつもなく広いし、多くのモンスターが生息している。決して気を抜くなよ」
「「「はい」」」
「ロイヤ達はすでに知っていると思うが、テツヤはこの森で一度迷ったといっていたな。この森はとても広く、森の奥で迷ってしまうと遭難する可能性もある。実際に毎年数十人の遭難者は出てしまっている。
もし道に迷ってしまったら、所々の木に目印となる赤い布が巻かれているから、それを探すといい。赤い布は結び目のある方向が森の出口のほうを指しているからな」
いろいろと迷わないように対策はされているらしいが、それでも毎年遭難者が絶えないらしい。というのもこの森には大きな目印となるような物がないのだ。近くに大きな山や大きな川があれば、それを基準に考えることができるんだけどな。
「そんな時にはこれ、テレレテッテレ〜、『方位磁石』〜!」
「……方位磁石?」
さすがに3度目ともなると突っ込んではくれなくなった。ちょっと寂しい……
「これは方位磁石といって、常に同じ方向を示す道具なんだ。これさえあれば、方向を間違えて森の奥に進んでしまうことがなくなるはずだ」
「なに!? そんな便利な道具があるのか!」
惑星の内部にはマントルの下にある中心核でドロドロに溶けた状態の金属が高速で回転している。それにより惑星自体が巨大な磁力を帯びた磁石になる。その地磁気に反応して北と南を指し示すわけだ。
もちろんここは異世界で、地球とは異なっている可能性も大いにあったが、街や草原では正常に同じ方向を示し続けていた。
「ただひとつ気がかりなことがあって、街や草原では使えていたんだけど、稀に使えない場所があったりするんだよ。今回の依頼のメインはこの方位磁石がこの森でも使えるかを確かめる為なんだ」
元の世界でも磁気を帯びている溶岩が固まってできた岩や地面の周囲では磁気が乱れて方位磁石が正しい方角を示さなくなることがある。
それにここは異世界だ。そんな溶岩なんか目じゃないくらい磁気を発する謎物質があったとしてもおかしくはない。しかし、この森の中でも方位磁石が使えれば、森で迷う可能性が一気に減る。街でも方位磁石は売っていなかったし、お客さんを独占できる商品になるはずだ。
「本当だ、向きを変えてもすぐに同じ向きを向くぜ!」
「へえ〜面白い。これって魔道具なの?」
「いや、魔法とは関係ないよ」
科学と説明しても難しいだろうな。
「赤い方が北だから、森の中に入っても反対の南の方に進み続ければ、森を抜けられるはずだ。あとは森の中に入っても方向が狂わないか、時間を挟んで確認してみよう」
みんなにも方位磁石を渡す。いよいよこれから森の中に入るわけだ。キャンプをして目が覚めたら、いきなりこの森の中に放り出されたことを思い出すな……。今回はロイヤ達やリリアがいるとはいえ、油断せずに行くとしよう。
「基本的には森の中にある道に沿って進み、所々で道から離れて薬草を探すといった流れだな。森の中では視界もそれほど良くなく、モンスターも多く生息しているから全員で固まって動くぞ」
森の中には多くの人が歩いて踏み固められた道がある。基本的にはその道に沿って進むようだ。平原でもそうだったが、この森の入り口にも俺達以外に結構な人がいた。やはり冒険者の始まりの街ということで、駆け出し冒険者が多くいるのだろう。
リリアが教えてくれたように、森の中には所々の木に赤い布が結ばれていた。たまに道から外れて薬草を探し、方位磁石が示す方向が間違っていないかを確認して、元の道に戻るという探索を繰り返していった。
ロイヤ達から少し干し肉やチーズをもらって、起こした火で炙ってから買ってきたパンに挟んで食べる。干し肉やチーズの代わりに俺のほうからはまだ残っていたジャムを提供した。
「それにしてもこいつも便利だ。火打ち石よりも楽に火をつけられるし、小さくて持ち運びもしやすい。これなら昼食を軽く温めるだけでも気楽に火をつけられるな。テツヤこれもあとで売ってほしい」
俺が火を起こしたあと、みんなでもちゃんと火がつけられるかを確認してもらったが、みんなすぐに火をつけられるようになった。まあ俺よりも力が強いんだし、慣れたら俺よりも早く火を付けることができるようになるだろう。
「ああ、もちろんだよ。値段のほうはどうしようかな……」
このファイヤースターターはアウトドアショップのLV2で買えるようになったキャンプギアで、銀貨3枚で買えた。麻紐はそこそこの長さで銀貨1枚だ。街で売っている火打ち石のセットが金貨3枚といっていたけれど、同じ金貨3枚で売ってしまうと、仕入れ値の10倍という超ボッタクリ価格になってしまう。
とはいえあんまり安くしすぎると、他の店の火打ち石がまったく売れなくなってしまいそうだ。目玉商品として金貨2枚で売る代わりに1日3個限定とかにしておくかな。それなら集客もできつつ、他の店をそこまで圧迫することはないだろう。
「よし、それではこれより森の中を探索していくぞ。森の中では朝に言った隊列を組んでいく」
休憩と昼食を取り終わって、いよいよこれから森の中に入る。
「このアレフレアの森はとてつもなく広いし、多くのモンスターが生息している。決して気を抜くなよ」
「「「はい」」」
「ロイヤ達はすでに知っていると思うが、テツヤはこの森で一度迷ったといっていたな。この森はとても広く、森の奥で迷ってしまうと遭難する可能性もある。実際に毎年数十人の遭難者は出てしまっている。
もし道に迷ってしまったら、所々の木に目印となる赤い布が巻かれているから、それを探すといい。赤い布は結び目のある方向が森の出口のほうを指しているからな」
いろいろと迷わないように対策はされているらしいが、それでも毎年遭難者が絶えないらしい。というのもこの森には大きな目印となるような物がないのだ。近くに大きな山や大きな川があれば、それを基準に考えることができるんだけどな。
「そんな時にはこれ、テレレテッテレ〜、『方位磁石』〜!」
「……方位磁石?」
さすがに3度目ともなると突っ込んではくれなくなった。ちょっと寂しい……
「これは方位磁石といって、常に同じ方向を示す道具なんだ。これさえあれば、方向を間違えて森の奥に進んでしまうことがなくなるはずだ」
「なに!? そんな便利な道具があるのか!」
惑星の内部にはマントルの下にある中心核でドロドロに溶けた状態の金属が高速で回転している。それにより惑星自体が巨大な磁力を帯びた磁石になる。その地磁気に反応して北と南を指し示すわけだ。
もちろんここは異世界で、地球とは異なっている可能性も大いにあったが、街や草原では正常に同じ方向を示し続けていた。
「ただひとつ気がかりなことがあって、街や草原では使えていたんだけど、稀に使えない場所があったりするんだよ。今回の依頼のメインはこの方位磁石がこの森でも使えるかを確かめる為なんだ」
元の世界でも磁気を帯びている溶岩が固まってできた岩や地面の周囲では磁気が乱れて方位磁石が正しい方角を示さなくなることがある。
それにここは異世界だ。そんな溶岩なんか目じゃないくらい磁気を発する謎物質があったとしてもおかしくはない。しかし、この森の中でも方位磁石が使えれば、森で迷う可能性が一気に減る。街でも方位磁石は売っていなかったし、お客さんを独占できる商品になるはずだ。
「本当だ、向きを変えてもすぐに同じ向きを向くぜ!」
「へえ〜面白い。これって魔道具なの?」
「いや、魔法とは関係ないよ」
科学と説明しても難しいだろうな。
「赤い方が北だから、森の中に入っても反対の南の方に進み続ければ、森を抜けられるはずだ。あとは森の中に入っても方向が狂わないか、時間を挟んで確認してみよう」
みんなにも方位磁石を渡す。いよいよこれから森の中に入るわけだ。キャンプをして目が覚めたら、いきなりこの森の中に放り出されたことを思い出すな……。今回はロイヤ達やリリアがいるとはいえ、油断せずに行くとしよう。
「基本的には森の中にある道に沿って進み、所々で道から離れて薬草を探すといった流れだな。森の中では視界もそれほど良くなく、モンスターも多く生息しているから全員で固まって動くぞ」
森の中には多くの人が歩いて踏み固められた道がある。基本的にはその道に沿って進むようだ。平原でもそうだったが、この森の入り口にも俺達以外に結構な人がいた。やはり冒険者の始まりの街ということで、駆け出し冒険者が多くいるのだろう。
リリアが教えてくれたように、森の中には所々の木に赤い布が結ばれていた。たまに道から外れて薬草を探し、方位磁石が示す方向が間違っていないかを確認して、元の道に戻るという探索を繰り返していった。