「ごちそうさまでした」
「おいしかった」
「え、ええ。満足してくれたようでなによりです」
あれだけカツカレーを食べたうえに、よくチョコレートバーやようかんをあれほど食べられるものだ。
ようかんとか丸々一本ずつ食べていたからな……どこにあれだけの量が入るのだろう……
「そういえばフェリーさんとランジェさんに聞きたいんですけれど、収納魔法を使える人達って王都だと結構多いんですか?」
「そこそこはいると思う。リュックひとつ分くらいの容量ならそれほど難しい魔法じゃない」
「そうだね。ただ基本的に収納魔法の容量はその人の魔力によって決まるから、大きな容量を持っているのは僕達みたいなエルフが多いよ」
なるほど、ファンタジーの世界ではエルフという種族の魔力のほうが大きいのは定番だが、この世界でもそうらしい。
「ふむふむ。やっぱり収納魔法で大きな容量を収納できる人までいくと珍しいわけか。ちなみにこのアレフレアの街から王都まで馬車一台分くらいの荷物の運搬を依頼したい場合には冒険者ギルドに頼めばいいのかな?」
「そうだね。ただ、このアレフレアの街にはそれほどの容量を収納できる人はいないんじゃないかな。王都でもそこまでの収納魔法を使える人は少ないと思うよ。ちなみに僕は馬車の2/3くらいはいけるかな」
「ランジェさんでもそれくらいなんだ」
そうか普通の魔法使いだとリュックひとつ分くらいなのか。そうなると馬車半分くらいの収納魔法を使える人を2人くらい雇うほうがいいのかもしれない。う~ん、冒険者ギルドマスターのライザックさんに相談してみるか。
「テツヤ、何か王都に運ぶのなら僕が運ぼうか?」
「いや、ランジェさんには普段の仕入れをしてもらっているからね。それにこっちのほうは必須じゃないから、別に無理だった場合はそれでもいいんだ」
「テツヤ、何を頼むつもりだったんだ?」
「もしもレトルト食品やこのお菓子の長期保存が可能になったら、食品系の輸送を一月ごとに依頼しようと思っていたんだ。方位磁石や他の商品は輸送に時間がかかっても大丈夫だし、食品系と違って冒険者ギルドのほうが協力してくれるけれど、こっちは無理に王都で販売する必要性はないからね」
現在冒険者ギルドに卸している商品は方位磁石と浄水器のような冒険者の生存率を上げることができる商品だ。特に方位磁石はダンジョンでも使用できることが判明したわけだし、他の街でも間違いなく高い需要があるだろう。
しかし他の商品については冒険者の生存率を上げるというよりは、冒険者生活をより快適にするというだけだから、無理な場合には販売する必要はないと思っている。
一応冒険者ギルドとこのアウトドアショップは協力店という関係だから、輸送が可能な人を探す手伝いくらいはしてくれるだろう。
「私がやる!」
「えっ?」
なぜか突然フェリーさんが右腕を思いっきり上げた。
「私なら馬車の2台分は運べるから、王都までテツヤのお菓子を運ぶことができる」
……運んでもらうのはお菓子だけじゃないんだけどね。というか問題はそこじゃなかった。
「いや、さすがにAランク冒険者であるフェリーさん達にそんなことは頼めませんよ!」
できるできないかでいえば、馬車2台分行けるのなら収納魔法は問題ないだろう。正直に言うと最初はフェリーさんに駄目元で聞いてみようかとも思った。
しかし、話を聞くとそれだけの収納魔法の使い手なら、依頼料がとんでもない金額になることは間違いないし、なによりAランク冒険者であるフェリーさんに、初心者冒険者が集まるアレフレアの街から王都までの輸送を一月ごとにお願いするわけにはいかない。
「さすがにAランク冒険者に頼むような依頼じゃないですからね。それに一月ごとにこの街へ来てもらうなんて面倒な依頼を頼めませんから」
「問題ない。どちらにしろ定期的にリリアへ会いに来るつもりだった」
「……そうですわね。一月ごとでしたら、息抜きにちょうどいいかもしれません」
ベルナさんまで……
「いや、さすがにそういうわけには……」
「テツヤ、2人もそう言っていることだし、いいんじゃないか? ……それに2人には私へ会いに来る以外にも目的がありそうだからな」
……目的?
「……ええ~と、その。実は私達にもランジェさんのようにおいしい料理や先ほどのお菓子を定期的にいただければなあ……なんて」
「テツヤのご飯はとてもおいしい。報酬はそれでいい」
「……いや、それで本当にいいんですか? 料理やお菓子って……」
アウトドアショップの能力と元の世界の料理知識のおかげで、他の人が作れないような料理が作れるかもしれないけれど、料理やお菓子が報酬ってAランク冒険者としてそれでいいのか……
「冒険者をしたことがないテツヤには分からないかもしれないけれど、僕達みたいな冒険者にとって日々のご飯って本当に大事な楽しみなんだよ。特に高ランク冒険者になると数日かけて移動をしたり、長期間かけて依頼を受けることも多いからね」
「ランジェの言う通りだぞ。それにリュックひとつ分の収納魔法を使えるだけでもとても重宝されるんだ。特に駆け出し冒険者のころに食べていた安い保存食なんかは味が本当に酷いからな……ある程度お金に余裕が出たら日々の食事を真っ先に変えたいと思うのが普通だぞ」
ランジェさんとリリアの言葉にはものすごく熱が入っている。もしかしたら2人とも駆け出し冒険者のころは日々の食事に苦労していたのかもしれない。
どうやら、俺が思ったよりもこちらの世界の冒険者達はおいしい食事に飢えているらしかった。
「おいしかった」
「え、ええ。満足してくれたようでなによりです」
あれだけカツカレーを食べたうえに、よくチョコレートバーやようかんをあれほど食べられるものだ。
ようかんとか丸々一本ずつ食べていたからな……どこにあれだけの量が入るのだろう……
「そういえばフェリーさんとランジェさんに聞きたいんですけれど、収納魔法を使える人達って王都だと結構多いんですか?」
「そこそこはいると思う。リュックひとつ分くらいの容量ならそれほど難しい魔法じゃない」
「そうだね。ただ基本的に収納魔法の容量はその人の魔力によって決まるから、大きな容量を持っているのは僕達みたいなエルフが多いよ」
なるほど、ファンタジーの世界ではエルフという種族の魔力のほうが大きいのは定番だが、この世界でもそうらしい。
「ふむふむ。やっぱり収納魔法で大きな容量を収納できる人までいくと珍しいわけか。ちなみにこのアレフレアの街から王都まで馬車一台分くらいの荷物の運搬を依頼したい場合には冒険者ギルドに頼めばいいのかな?」
「そうだね。ただ、このアレフレアの街にはそれほどの容量を収納できる人はいないんじゃないかな。王都でもそこまでの収納魔法を使える人は少ないと思うよ。ちなみに僕は馬車の2/3くらいはいけるかな」
「ランジェさんでもそれくらいなんだ」
そうか普通の魔法使いだとリュックひとつ分くらいなのか。そうなると馬車半分くらいの収納魔法を使える人を2人くらい雇うほうがいいのかもしれない。う~ん、冒険者ギルドマスターのライザックさんに相談してみるか。
「テツヤ、何か王都に運ぶのなら僕が運ぼうか?」
「いや、ランジェさんには普段の仕入れをしてもらっているからね。それにこっちのほうは必須じゃないから、別に無理だった場合はそれでもいいんだ」
「テツヤ、何を頼むつもりだったんだ?」
「もしもレトルト食品やこのお菓子の長期保存が可能になったら、食品系の輸送を一月ごとに依頼しようと思っていたんだ。方位磁石や他の商品は輸送に時間がかかっても大丈夫だし、食品系と違って冒険者ギルドのほうが協力してくれるけれど、こっちは無理に王都で販売する必要性はないからね」
現在冒険者ギルドに卸している商品は方位磁石と浄水器のような冒険者の生存率を上げることができる商品だ。特に方位磁石はダンジョンでも使用できることが判明したわけだし、他の街でも間違いなく高い需要があるだろう。
しかし他の商品については冒険者の生存率を上げるというよりは、冒険者生活をより快適にするというだけだから、無理な場合には販売する必要はないと思っている。
一応冒険者ギルドとこのアウトドアショップは協力店という関係だから、輸送が可能な人を探す手伝いくらいはしてくれるだろう。
「私がやる!」
「えっ?」
なぜか突然フェリーさんが右腕を思いっきり上げた。
「私なら馬車の2台分は運べるから、王都までテツヤのお菓子を運ぶことができる」
……運んでもらうのはお菓子だけじゃないんだけどね。というか問題はそこじゃなかった。
「いや、さすがにAランク冒険者であるフェリーさん達にそんなことは頼めませんよ!」
できるできないかでいえば、馬車2台分行けるのなら収納魔法は問題ないだろう。正直に言うと最初はフェリーさんに駄目元で聞いてみようかとも思った。
しかし、話を聞くとそれだけの収納魔法の使い手なら、依頼料がとんでもない金額になることは間違いないし、なによりAランク冒険者であるフェリーさんに、初心者冒険者が集まるアレフレアの街から王都までの輸送を一月ごとにお願いするわけにはいかない。
「さすがにAランク冒険者に頼むような依頼じゃないですからね。それに一月ごとにこの街へ来てもらうなんて面倒な依頼を頼めませんから」
「問題ない。どちらにしろ定期的にリリアへ会いに来るつもりだった」
「……そうですわね。一月ごとでしたら、息抜きにちょうどいいかもしれません」
ベルナさんまで……
「いや、さすがにそういうわけには……」
「テツヤ、2人もそう言っていることだし、いいんじゃないか? ……それに2人には私へ会いに来る以外にも目的がありそうだからな」
……目的?
「……ええ~と、その。実は私達にもランジェさんのようにおいしい料理や先ほどのお菓子を定期的にいただければなあ……なんて」
「テツヤのご飯はとてもおいしい。報酬はそれでいい」
「……いや、それで本当にいいんですか? 料理やお菓子って……」
アウトドアショップの能力と元の世界の料理知識のおかげで、他の人が作れないような料理が作れるかもしれないけれど、料理やお菓子が報酬ってAランク冒険者としてそれでいいのか……
「冒険者をしたことがないテツヤには分からないかもしれないけれど、僕達みたいな冒険者にとって日々のご飯って本当に大事な楽しみなんだよ。特に高ランク冒険者になると数日かけて移動をしたり、長期間かけて依頼を受けることも多いからね」
「ランジェの言う通りだぞ。それにリュックひとつ分の収納魔法を使えるだけでもとても重宝されるんだ。特に駆け出し冒険者のころに食べていた安い保存食なんかは味が本当に酷いからな……ある程度お金に余裕が出たら日々の食事を真っ先に変えたいと思うのが普通だぞ」
ランジェさんとリリアの言葉にはものすごく熱が入っている。もしかしたら2人とも駆け出し冒険者のころは日々の食事に苦労していたのかもしれない。
どうやら、俺が思ったよりもこちらの世界の冒険者達はおいしい食事に飢えているらしかった。