「今週はのんびりとした感じだったな」
「そうだね。今週はランジェさんもいたし、新商品の防水リュックの売り上げはそこそこだし、なによりみんながうちの仕事に慣れてきてくれたのが一番かな」
今週は特に大きな問題もなく、無事に一週間の営業が終わった。今日の休みも昼に屋台の食べ歩きをしてのんびりと過ごしていた。
今週はランジェさんもいてくれて、何より従業員のみんながもうだいぶこの仕事に慣れてきてくれたので、お店はだいぶ余裕がある状態になっている。朝だけは棒状ラーメンを買いに来てくれるお客さんが並んでくれるが、それ以外は常に満員とかではないからな。
アンジュもお店の接客にはだいぶ慣れてくれたみたいだし、アンジュに彼氏がいると言う噂もだいぶ広まってきてくれたみたいで、アンジュをナンパするようなお客もいなくなった。
そのおかげでドルファもようやく普通の接客ができるようになってきたようだ。まあ、たまにアンジュの接客に顔を赤くしてたじろぐ男性客を睨んだりもするけれどな。でもそれくらいは許してあげてほしい……
「それでテツヤ、今日のご飯は何を作るんだ?」
「今日はカレーにしようと思っているんだけど、インスタントカレーだけじゃなくてちょっとしたトッピングもつけようかなと思っているんだ」
「おお、それはいい! あのカレーという料理は少し辛いが、あとを引くおもしろい味だからな!」
今はリリアと一緒に晩ご飯の買い出しで市場へ買い物に行っていたところだ。今日はランジェさんもいることだし、3人分の食材と来週分の食材も買ってきている。
インスタントカレーとアルファ米ではあるが、たまに無性に食べたくなるんだよね。こちらの世界の食事にもだいぶ慣れたが、ラーメンやカレーなどの元の世界の料理は料理で別物なんだよ。
「さて、店に戻ったらすぐに料理を始め……ってあれ、お店の前にいるのって?」
「ベルナ、フェリー!?」
だよねえ……
なぜかアウトドアショップの前にAランク冒険者であるベルナさんとフェリーさんがいた。
「リリア、テツヤさん、お久しぶりです!」
「……会いたかった」
いやまあ久しぶりと言っても、2人が王都に帰ってから、まだたった2週間しか経っていないんだけどな。
「ベルナさん、フェリーさん、お久しぶりです」
「2人ともどうしてここに? 王都のダンジョンで忙しかったのではなかったのか?」
「王都の近くにできたダンジョンは無事に踏破した」
「えっ、もう!?」
「まだ別れてから2週間も経っていないぞ!?」
俺とリリアの驚きの声が周囲に響き渡った。
だってまだ全然時間が経っていないぞ。確かそれまでだいぶ時間が経っても攻略が進んでいなかったから、わざわざ王都からうちの店までやって来て方位磁石を買いに来たんじゃなかったのか?
そもそも王都までの道のりでも何日かかかるはずだ。移動時間はAランク冒険者の2人ならもっと早い方法があるのかもしれないが、それでも早すぎる。
「ええ、無事にダンジョンを踏破できましたわ。これもテツヤさんのおかげです」
「えっと、とりあえずここではなんですので、まずは上がってください」
さすがにお店の外で話すような話ではないな。
ベルナさんとフェリーさんを連れて、アウトドアショップの2階の住居スペースへ2人を案内する。ランジェさんはまだ帰ってきてないようだった。とりあえずまずは2人にお茶を出して話を聞いた。
「テツヤさんからお預かりした方位磁石のおかげで、ダンジョン攻略は今までの数倍のスピードで進めることができるようになりました」
「正直、ダンジョン内のモンスター自体はそれほど強くなかったから、フロアの攻略が進めばこれくらいは当然」
ベルナさんとフェリーさんの話を聞くと、どうやらそのダンジョンのモンスターの強さ自体はそれほど強かったわけではなかったらしい。ただそれぞれのフロアがとても広く、入り組んでいるためマッピングが進まずに苦労していたようだ。
そんな中でうちのアウトドアショップが用意した方位磁石はかなりの活躍をしてくれたらしい。
しかしまさか方位磁石がダンジョン内でも使えるとはねえ……確かにゲームみたいにダンジョン内で常に一定の方向が分かれば相当便利だとは思うけれど。
「それにダンジョンの中でおいしい食事もとれて私達のやる気も全然違いましたからね! 一緒にいたみなさんにテツヤさんからいただいたお土産をほんの少しだけおすそ分けしましたが、みなさんとても喜んでいましたわ!」
「テツヤからもらったご飯超おいしかった。私も超頑張った!」
めちゃくちゃドヤ顔で胸を張るフェリーさん、なんだか可愛くて微笑ましい。思わず頭をなでたくなってしまうな。
「ふふ、そうですわね。フェリーもいつもより頑張ってくれましたわね」
「というわけでこちらが王都の冒険者ギルドからの書状になります。それとダンジョン踏破の報酬の一部がテツヤさんにも支払われますわ。しばらくしたら王都の冒険者ギルドからこちらの冒険者ギルドを通して支払われると思います」
「えっ!? うちの店が報酬を貰えるの?」
ベルナさんから受け取った王都の冒険者ギルドからの書状を読むと、どうやらダンジョン踏破に貢献したとして報酬の一部をもらえることになるらしい。
それも結構な額だ。もしかすると今後王都にもアウトドアショップで販売している商品を送る予定だと話していたから、それに期待しているという意味もあるかもしれない。
そもそもこのアレフレアの街の冒険者ギルドとは協力関係にあるわけだし、もらえるのならもらってもいいのかな。
「2人ともわざわざそのことを教えに来てくれたんだな。だが、それなら別に冒険者ギルド経由でもよかったのに」
「ええ~と、それはそうなのですが……」
「………………」
ああ、なるほどそういうことか。
「わざわざありがとうございます。そういえばそろそろ晩ご飯を作るのですが、よろしかったら2人もご一緒にどうですか?」
「そうだね。今週はランジェさんもいたし、新商品の防水リュックの売り上げはそこそこだし、なによりみんながうちの仕事に慣れてきてくれたのが一番かな」
今週は特に大きな問題もなく、無事に一週間の営業が終わった。今日の休みも昼に屋台の食べ歩きをしてのんびりと過ごしていた。
今週はランジェさんもいてくれて、何より従業員のみんながもうだいぶこの仕事に慣れてきてくれたので、お店はだいぶ余裕がある状態になっている。朝だけは棒状ラーメンを買いに来てくれるお客さんが並んでくれるが、それ以外は常に満員とかではないからな。
アンジュもお店の接客にはだいぶ慣れてくれたみたいだし、アンジュに彼氏がいると言う噂もだいぶ広まってきてくれたみたいで、アンジュをナンパするようなお客もいなくなった。
そのおかげでドルファもようやく普通の接客ができるようになってきたようだ。まあ、たまにアンジュの接客に顔を赤くしてたじろぐ男性客を睨んだりもするけれどな。でもそれくらいは許してあげてほしい……
「それでテツヤ、今日のご飯は何を作るんだ?」
「今日はカレーにしようと思っているんだけど、インスタントカレーだけじゃなくてちょっとしたトッピングもつけようかなと思っているんだ」
「おお、それはいい! あのカレーという料理は少し辛いが、あとを引くおもしろい味だからな!」
今はリリアと一緒に晩ご飯の買い出しで市場へ買い物に行っていたところだ。今日はランジェさんもいることだし、3人分の食材と来週分の食材も買ってきている。
インスタントカレーとアルファ米ではあるが、たまに無性に食べたくなるんだよね。こちらの世界の食事にもだいぶ慣れたが、ラーメンやカレーなどの元の世界の料理は料理で別物なんだよ。
「さて、店に戻ったらすぐに料理を始め……ってあれ、お店の前にいるのって?」
「ベルナ、フェリー!?」
だよねえ……
なぜかアウトドアショップの前にAランク冒険者であるベルナさんとフェリーさんがいた。
「リリア、テツヤさん、お久しぶりです!」
「……会いたかった」
いやまあ久しぶりと言っても、2人が王都に帰ってから、まだたった2週間しか経っていないんだけどな。
「ベルナさん、フェリーさん、お久しぶりです」
「2人ともどうしてここに? 王都のダンジョンで忙しかったのではなかったのか?」
「王都の近くにできたダンジョンは無事に踏破した」
「えっ、もう!?」
「まだ別れてから2週間も経っていないぞ!?」
俺とリリアの驚きの声が周囲に響き渡った。
だってまだ全然時間が経っていないぞ。確かそれまでだいぶ時間が経っても攻略が進んでいなかったから、わざわざ王都からうちの店までやって来て方位磁石を買いに来たんじゃなかったのか?
そもそも王都までの道のりでも何日かかかるはずだ。移動時間はAランク冒険者の2人ならもっと早い方法があるのかもしれないが、それでも早すぎる。
「ええ、無事にダンジョンを踏破できましたわ。これもテツヤさんのおかげです」
「えっと、とりあえずここではなんですので、まずは上がってください」
さすがにお店の外で話すような話ではないな。
ベルナさんとフェリーさんを連れて、アウトドアショップの2階の住居スペースへ2人を案内する。ランジェさんはまだ帰ってきてないようだった。とりあえずまずは2人にお茶を出して話を聞いた。
「テツヤさんからお預かりした方位磁石のおかげで、ダンジョン攻略は今までの数倍のスピードで進めることができるようになりました」
「正直、ダンジョン内のモンスター自体はそれほど強くなかったから、フロアの攻略が進めばこれくらいは当然」
ベルナさんとフェリーさんの話を聞くと、どうやらそのダンジョンのモンスターの強さ自体はそれほど強かったわけではなかったらしい。ただそれぞれのフロアがとても広く、入り組んでいるためマッピングが進まずに苦労していたようだ。
そんな中でうちのアウトドアショップが用意した方位磁石はかなりの活躍をしてくれたらしい。
しかしまさか方位磁石がダンジョン内でも使えるとはねえ……確かにゲームみたいにダンジョン内で常に一定の方向が分かれば相当便利だとは思うけれど。
「それにダンジョンの中でおいしい食事もとれて私達のやる気も全然違いましたからね! 一緒にいたみなさんにテツヤさんからいただいたお土産をほんの少しだけおすそ分けしましたが、みなさんとても喜んでいましたわ!」
「テツヤからもらったご飯超おいしかった。私も超頑張った!」
めちゃくちゃドヤ顔で胸を張るフェリーさん、なんだか可愛くて微笑ましい。思わず頭をなでたくなってしまうな。
「ふふ、そうですわね。フェリーもいつもより頑張ってくれましたわね」
「というわけでこちらが王都の冒険者ギルドからの書状になります。それとダンジョン踏破の報酬の一部がテツヤさんにも支払われますわ。しばらくしたら王都の冒険者ギルドからこちらの冒険者ギルドを通して支払われると思います」
「えっ!? うちの店が報酬を貰えるの?」
ベルナさんから受け取った王都の冒険者ギルドからの書状を読むと、どうやらダンジョン踏破に貢献したとして報酬の一部をもらえることになるらしい。
それも結構な額だ。もしかすると今後王都にもアウトドアショップで販売している商品を送る予定だと話していたから、それに期待しているという意味もあるかもしれない。
そもそもこのアレフレアの街の冒険者ギルドとは協力関係にあるわけだし、もらえるのならもらってもいいのかな。
「2人ともわざわざそのことを教えに来てくれたんだな。だが、それなら別に冒険者ギルド経由でもよかったのに」
「ええ~と、それはそうなのですが……」
「………………」
ああ、なるほどそういうことか。
「わざわざありがとうございます。そういえばそろそろ晩ご飯を作るのですが、よろしかったら2人もご一緒にどうですか?」