「「「ありがとうございました!」」」
バタンッ
本日最後のお客さんを従業員のみんなで見送る。
やはり新商品である防水リュックは食品系の商品みたいに爆発的な売れ方はしなかった。すでに持っているリュックもあるし、駆け出し冒険者にとってはそこまで安い金額ではないからな。
今後新しいリュックを買う時や口コミで防水リュックの使用感が広まってから少しずつ売れていくのだろうと推測している。
「ふう~みんなお疲れさま。アンジュ、また今週も忙しくなりそうだけれどよろしくね」
「お疲れさまです、テツヤさん。やっぱりこのお店はお客さんがとても多いですね」
「今日は新しい商品を販売し始めたからね。それに休み明けは普通の日よりも少しお客さんが多いんだ。あとはランジェさんもいないからね」
いつも休み明けは普段よりもお客さんが多い。休みの2日間で必要なものが出てくることも多いだろうから当然と言えば当然だ。
そして今週はランジェさんもいない。
先週は例のストーカーのこともあってお店にいてくれたが、とりあえずアンジュがこの店にきて1週間が無事に過ぎたため、今週はいつも通り冒険者としての活動をしつつ、このお店の仕入れをしているフリをしてくれている。
「ドルファも今日の接客は大丈夫そうだったね。これからもその調子でお願いするよ」
「そうか。そう言ってくれて少し安心した」
ドルファも今日はまともな接客をしてくれている。まだ多少はアンジェのことを気にしている様子だったが、最初のころよりもだいぶマシになってくれた。ドルファのほうも先週怒られたことを少し気にしていたようだ。
「2人がこのお店に来てくれてだいぶ楽になってきたな」
「このお店が始まった時は本当に忙しかったもんね!」
「リリアもフィアちゃんもその頃は本当にごめん! でも2人の言う通り、ドルファとアンジュがこの店で働いてくれるようになって、本当に助かっているよ。明日からもよろしくね」
このお店を開いた当初はお客さんが少なかったとはいえ、たったの3人でお店をまわしていたからな。
俺もみんなもお店での接客に慣れていなかったから、お客さんが何倍も増えている今よりも忙しかったことは間違いない。
それに比べたらひとりあたりの労力はだいぶ減ったはずだ。これでもうブラック企業なんて言わせないぞ。
「おう、テツヤ。いつも悪いな」
「テツヤさん、リリアさん、いつもわざわざありがとうございます」
「いえいえ。こちらこそいつもお世話になっています」
お店を閉めた後はリリアと一緒に冒険者ギルドへとやってきた。いつも通り方位磁石と浄水器を納めに来ているわけだ。
ライザックさんとパトリスさんからは、以前より冒険者ギルドからアウトドアショップまで商品を取りに来ると言われたのだが、そこまで遠い距離でもないし、冒険者ギルドにいる冒険者達の様子を直に見たいこともあって丁重にお断りさせてもらった。
実際に駆け出し冒険者達がうちのお店で購入した商品を使ってくれているのを見ると嬉しくなるからな。今日から販売を始めた防水リュックを早速使ってくれている冒険者もいた。
「そういえばベルナとフェリーから方位磁石を大量に買い取りたいという件は受けることにしたんだな。昨日の朝に2人から報告があったぞ」
どうやらベルナさんとフェリーさんは昨日の朝アレフレアの街から王都に向けて出発する前に、ここの冒険者ギルドに報告をしていたらしい。
「ベルナさんとフェリーさんは王都でも有名なAランク冒険者で、問題も起こしたことがない善良な冒険者でしたので、テツヤさんのお店の場所を教えたのですが問題ありませんでしたか?」
「ええ。ふたりとも常識的な人だったので全然問題なかったですよ。それに方位磁石が必要な理由も正当な理由だったので、とりあえず100個を販売しました」
そう、ベルナさんもフェリーさんもいい人達だったし、ふたりにまったく問題はなかった。ふたりにはな。
「それはよかったです。どうやら王都の冒険者ギルドでもダンジョンの対応が大変らしく、テツヤさんが方位磁石を販売してくれてとても助かったと思いますよ。話を聞くとリリアさんと知り合いのようでしたし、テツヤさんなら協力してくださると思っておりました」
「少し気になっていたが、この街の付近にはダンジョンはなくて検証もできなかったからな。これで王都付近にできたダンジョンも攻略されて、ギルドマスターもホッとするだろうよ」
どうやらライザックさん達は王都の冒険者ギルドマスターと知り合いらしい。ふむ、それなら今後に王都の冒険者ギルドからめちゃくちゃな要求が飛んでくることはなさそうだ。
「……それでライザック、私とテツヤが結婚しているという嘘をベルナとフェリーに吹き込んだ言い訳を聞こうか?」
いつの間にかライザックさんの後ろに一瞬で移動していたリリアからの一言。そう、今日はそれについてをライザックさんへ言及するために冒険者ギルドへやってきたわけでもある。
バタンッ
本日最後のお客さんを従業員のみんなで見送る。
やはり新商品である防水リュックは食品系の商品みたいに爆発的な売れ方はしなかった。すでに持っているリュックもあるし、駆け出し冒険者にとってはそこまで安い金額ではないからな。
今後新しいリュックを買う時や口コミで防水リュックの使用感が広まってから少しずつ売れていくのだろうと推測している。
「ふう~みんなお疲れさま。アンジュ、また今週も忙しくなりそうだけれどよろしくね」
「お疲れさまです、テツヤさん。やっぱりこのお店はお客さんがとても多いですね」
「今日は新しい商品を販売し始めたからね。それに休み明けは普通の日よりも少しお客さんが多いんだ。あとはランジェさんもいないからね」
いつも休み明けは普段よりもお客さんが多い。休みの2日間で必要なものが出てくることも多いだろうから当然と言えば当然だ。
そして今週はランジェさんもいない。
先週は例のストーカーのこともあってお店にいてくれたが、とりあえずアンジュがこの店にきて1週間が無事に過ぎたため、今週はいつも通り冒険者としての活動をしつつ、このお店の仕入れをしているフリをしてくれている。
「ドルファも今日の接客は大丈夫そうだったね。これからもその調子でお願いするよ」
「そうか。そう言ってくれて少し安心した」
ドルファも今日はまともな接客をしてくれている。まだ多少はアンジェのことを気にしている様子だったが、最初のころよりもだいぶマシになってくれた。ドルファのほうも先週怒られたことを少し気にしていたようだ。
「2人がこのお店に来てくれてだいぶ楽になってきたな」
「このお店が始まった時は本当に忙しかったもんね!」
「リリアもフィアちゃんもその頃は本当にごめん! でも2人の言う通り、ドルファとアンジュがこの店で働いてくれるようになって、本当に助かっているよ。明日からもよろしくね」
このお店を開いた当初はお客さんが少なかったとはいえ、たったの3人でお店をまわしていたからな。
俺もみんなもお店での接客に慣れていなかったから、お客さんが何倍も増えている今よりも忙しかったことは間違いない。
それに比べたらひとりあたりの労力はだいぶ減ったはずだ。これでもうブラック企業なんて言わせないぞ。
「おう、テツヤ。いつも悪いな」
「テツヤさん、リリアさん、いつもわざわざありがとうございます」
「いえいえ。こちらこそいつもお世話になっています」
お店を閉めた後はリリアと一緒に冒険者ギルドへとやってきた。いつも通り方位磁石と浄水器を納めに来ているわけだ。
ライザックさんとパトリスさんからは、以前より冒険者ギルドからアウトドアショップまで商品を取りに来ると言われたのだが、そこまで遠い距離でもないし、冒険者ギルドにいる冒険者達の様子を直に見たいこともあって丁重にお断りさせてもらった。
実際に駆け出し冒険者達がうちのお店で購入した商品を使ってくれているのを見ると嬉しくなるからな。今日から販売を始めた防水リュックを早速使ってくれている冒険者もいた。
「そういえばベルナとフェリーから方位磁石を大量に買い取りたいという件は受けることにしたんだな。昨日の朝に2人から報告があったぞ」
どうやらベルナさんとフェリーさんは昨日の朝アレフレアの街から王都に向けて出発する前に、ここの冒険者ギルドに報告をしていたらしい。
「ベルナさんとフェリーさんは王都でも有名なAランク冒険者で、問題も起こしたことがない善良な冒険者でしたので、テツヤさんのお店の場所を教えたのですが問題ありませんでしたか?」
「ええ。ふたりとも常識的な人だったので全然問題なかったですよ。それに方位磁石が必要な理由も正当な理由だったので、とりあえず100個を販売しました」
そう、ベルナさんもフェリーさんもいい人達だったし、ふたりにまったく問題はなかった。ふたりにはな。
「それはよかったです。どうやら王都の冒険者ギルドでもダンジョンの対応が大変らしく、テツヤさんが方位磁石を販売してくれてとても助かったと思いますよ。話を聞くとリリアさんと知り合いのようでしたし、テツヤさんなら協力してくださると思っておりました」
「少し気になっていたが、この街の付近にはダンジョンはなくて検証もできなかったからな。これで王都付近にできたダンジョンも攻略されて、ギルドマスターもホッとするだろうよ」
どうやらライザックさん達は王都の冒険者ギルドマスターと知り合いらしい。ふむ、それなら今後に王都の冒険者ギルドからめちゃくちゃな要求が飛んでくることはなさそうだ。
「……それでライザック、私とテツヤが結婚しているという嘘をベルナとフェリーに吹き込んだ言い訳を聞こうか?」
いつの間にかライザックさんの後ろに一瞬で移動していたリリアからの一言。そう、今日はそれについてをライザックさんへ言及するために冒険者ギルドへやってきたわけでもある。