「この辺りがよく依頼を受けて来る草原だ」
「おお〜、本当に広い草原なんだな」
「これくらいの草原ならどこにでもあるじゃない。テツヤったら、おおげさよね」
元の世界の都会っ子なんてそんなものだぞ。というか日本だったら、こんなに広い草原は北海道くらいにしかないイメージなんだよな。
目の前には緑いっぱいの草原が広がっている。ここまでの距離は街から30分、一本道なので街からは迷う可能性はなさそうだ。
「このあたりだと角ウサギ、ライガー鳥などが狩れれば運がいい。どちらも肉はうまいし、角ウサギの毛皮は素材として売れるからな。それに向こうから攻撃してくることはないから安全だ」
さすが始まりの街と言われるだけあって、ここにはそれほど危険なモンスターは出ないみたいだ。
「たまに出てくるスライムだけは向こうから攻撃してくるけど、核を刺せばすぐに倒せるし、動きが遅いからすぐに逃げられるわよ」
「なるほど」
角うさぎにライガー鳥か……見たこともないような生物の名前が出てくるな。スライムだけは知っているが、この異世界では弱いモンスターのようだ。
「草原に来るのは、角ウサギやライガー鳥の狩猟依頼が出た時くらいだ。基本的に森の依頼のほうが金になることが多い。その分少し危険度は増すけどな」
なるほど、基本的に草原のほうは駆け出し中の駆け出し冒険者が多いんだな。危険なモンスターもいないから、ここで経験を積んで森へ進んでいくといった流れか。
「それじゃあ、この辺りで二手に分かれて依頼の薬草を探すとしよう」
ロイヤとニコレ、俺とリリアとファルの二手に分かれて薬草を探していく。
「おっ、こっちにあったぞ、来てくれ」
「へえ〜これが薬草なんだ」
ファルの声に呼ばれた方へ行くと、そこにはヨモギを大きくしたような草が生えていた。
「薬草を見たことがないなんて今時珍しいな。薬草は生命力が高く、森や草原ではどこにでもある。その割にいろいろと使えるから需要があるんだ」
リリアが薬草について説明してくれる。
「こうやって根本から千切るように採取すれば、またそこから新しい薬草が生えてくる」
……おう、雑草並に逞しいな。
そんな感じでしばらくの間、薬草を採取してロイヤ達と合流した。
「よし、薬草も依頼の1/3ほど採取できた。それではここから森へ移動するぞ」
「「「はい」」」
1時間ほどかけて、結構な量の薬草を採取することができた。結局一度もモンスターとは遭遇することはなかった。やはりこの草原はかなり安全のようだ。そしてここからはさらに30分ほどかけて森へ移動していく。
「森に入る前に30分ほど休息を取ろう」
朝から動きっぱなしだからな。最近運動していない俺はもうすでにバテかけている。それに対して、みんなはまったく疲れてないようだ。やはり冒険者は体力があるらしい。
「ロイヤ達の食べているのはなんなんだ?」
「ああ、前にテツヤも食べてた干し肉だよ。パンやチーズと一緒に食べるんだけど、どれも固いんだ。軽く火で炙るとマシになるんだけど火を起こすのは面倒だからな」
「普段火を起こす時はどうするんだ?」
「火魔法を使える魔法使いがいるのなら楽なんだけど、そんなにはいないからね。普通は木を擦って火をつけるのよ」
どうやらこの異世界では火の魔法を使える魔法使いはそこまでいないらしい。しかし、魔法か……そういえばこの世界に来てから、まだ魔法が使われているところを見ていない。やはり異世界といえば魔法だからな、いつか見てみたいものである。
「あとはこの火打ち石で火をつけることもできるが、多少コツもいるし、何より安くても金貨3枚はするからな。なかなか駆け出し冒険者が気軽に買えるものでもない」
金貨3枚だとちょっと高いのかな? 火花を散らすための石英などの石が、あまり採れない世界だったりするのかもしれない。
リリアがこの世界で使われている火打ち石を見せてくれた。江戸時代のドラマとかで見た火打ち石と同じで、大きめの石と火打ち金がセットになっている。隻腕のリリアだと、片足で石を固定して右腕で火打ち金を打ち下ろすらしいが、かなり手間がかかるらしい。
「そんな時にはこれ、テレレテッテレ〜、『ファイヤースターター』と『麻紐』〜!」
「テレレ……?」
「相変わらずそっちはスルーしてくれ」
形式美というやつである。
「これはファイヤースターターといって火打ち石の小さいバージョンだな。ちょっと枯葉と枝を集めるのを手伝ってくれ」
森の入り口で枯葉や枝をみんなで集める。
「この麻紐という繊維が細い紐をほぐして火口にするんだ。ナイフとかで擦っていくといい感じでほぐれてくれる。こんな感じでフワフワになったら、このロッドと呼ばれる金属の棒を、こっちのストライカーで削っていく。
始めのうちはこれくらい多く削ったほうが火がつきやすいんだ。そして削った金属の粉を集めて、最後にその粉を目掛けて力強くロッドを擦る!」
「「「おお!!」」」
無事に数回擦ったところで麻紐に火が付いてくれた。ファイヤースターターは、マグネシウムやフェロセリウムといった粉末にすると発火温度が低い金属を削っていき、最後におもいっきりロッドをストライカーで擦って火花を散らし、その粉末に着火させるという仕組みになっている。
うまく火を付けるコツは、火がつきやすいように麻紐をしっかりと細かくほぐすことと、ロッドは多めに削り、着火する際にはロッドをしっかりと押さえて思いっきり擦る感じだな。
「おお〜、本当に広い草原なんだな」
「これくらいの草原ならどこにでもあるじゃない。テツヤったら、おおげさよね」
元の世界の都会っ子なんてそんなものだぞ。というか日本だったら、こんなに広い草原は北海道くらいにしかないイメージなんだよな。
目の前には緑いっぱいの草原が広がっている。ここまでの距離は街から30分、一本道なので街からは迷う可能性はなさそうだ。
「このあたりだと角ウサギ、ライガー鳥などが狩れれば運がいい。どちらも肉はうまいし、角ウサギの毛皮は素材として売れるからな。それに向こうから攻撃してくることはないから安全だ」
さすが始まりの街と言われるだけあって、ここにはそれほど危険なモンスターは出ないみたいだ。
「たまに出てくるスライムだけは向こうから攻撃してくるけど、核を刺せばすぐに倒せるし、動きが遅いからすぐに逃げられるわよ」
「なるほど」
角うさぎにライガー鳥か……見たこともないような生物の名前が出てくるな。スライムだけは知っているが、この異世界では弱いモンスターのようだ。
「草原に来るのは、角ウサギやライガー鳥の狩猟依頼が出た時くらいだ。基本的に森の依頼のほうが金になることが多い。その分少し危険度は増すけどな」
なるほど、基本的に草原のほうは駆け出し中の駆け出し冒険者が多いんだな。危険なモンスターもいないから、ここで経験を積んで森へ進んでいくといった流れか。
「それじゃあ、この辺りで二手に分かれて依頼の薬草を探すとしよう」
ロイヤとニコレ、俺とリリアとファルの二手に分かれて薬草を探していく。
「おっ、こっちにあったぞ、来てくれ」
「へえ〜これが薬草なんだ」
ファルの声に呼ばれた方へ行くと、そこにはヨモギを大きくしたような草が生えていた。
「薬草を見たことがないなんて今時珍しいな。薬草は生命力が高く、森や草原ではどこにでもある。その割にいろいろと使えるから需要があるんだ」
リリアが薬草について説明してくれる。
「こうやって根本から千切るように採取すれば、またそこから新しい薬草が生えてくる」
……おう、雑草並に逞しいな。
そんな感じでしばらくの間、薬草を採取してロイヤ達と合流した。
「よし、薬草も依頼の1/3ほど採取できた。それではここから森へ移動するぞ」
「「「はい」」」
1時間ほどかけて、結構な量の薬草を採取することができた。結局一度もモンスターとは遭遇することはなかった。やはりこの草原はかなり安全のようだ。そしてここからはさらに30分ほどかけて森へ移動していく。
「森に入る前に30分ほど休息を取ろう」
朝から動きっぱなしだからな。最近運動していない俺はもうすでにバテかけている。それに対して、みんなはまったく疲れてないようだ。やはり冒険者は体力があるらしい。
「ロイヤ達の食べているのはなんなんだ?」
「ああ、前にテツヤも食べてた干し肉だよ。パンやチーズと一緒に食べるんだけど、どれも固いんだ。軽く火で炙るとマシになるんだけど火を起こすのは面倒だからな」
「普段火を起こす時はどうするんだ?」
「火魔法を使える魔法使いがいるのなら楽なんだけど、そんなにはいないからね。普通は木を擦って火をつけるのよ」
どうやらこの異世界では火の魔法を使える魔法使いはそこまでいないらしい。しかし、魔法か……そういえばこの世界に来てから、まだ魔法が使われているところを見ていない。やはり異世界といえば魔法だからな、いつか見てみたいものである。
「あとはこの火打ち石で火をつけることもできるが、多少コツもいるし、何より安くても金貨3枚はするからな。なかなか駆け出し冒険者が気軽に買えるものでもない」
金貨3枚だとちょっと高いのかな? 火花を散らすための石英などの石が、あまり採れない世界だったりするのかもしれない。
リリアがこの世界で使われている火打ち石を見せてくれた。江戸時代のドラマとかで見た火打ち石と同じで、大きめの石と火打ち金がセットになっている。隻腕のリリアだと、片足で石を固定して右腕で火打ち金を打ち下ろすらしいが、かなり手間がかかるらしい。
「そんな時にはこれ、テレレテッテレ〜、『ファイヤースターター』と『麻紐』〜!」
「テレレ……?」
「相変わらずそっちはスルーしてくれ」
形式美というやつである。
「これはファイヤースターターといって火打ち石の小さいバージョンだな。ちょっと枯葉と枝を集めるのを手伝ってくれ」
森の入り口で枯葉や枝をみんなで集める。
「この麻紐という繊維が細い紐をほぐして火口にするんだ。ナイフとかで擦っていくといい感じでほぐれてくれる。こんな感じでフワフワになったら、このロッドと呼ばれる金属の棒を、こっちのストライカーで削っていく。
始めのうちはこれくらい多く削ったほうが火がつきやすいんだ。そして削った金属の粉を集めて、最後にその粉を目掛けて力強くロッドを擦る!」
「「「おお!!」」」
無事に数回擦ったところで麻紐に火が付いてくれた。ファイヤースターターは、マグネシウムやフェロセリウムといった粉末にすると発火温度が低い金属を削っていき、最後におもいっきりロッドをストライカーで擦って火花を散らし、その粉末に着火させるという仕組みになっている。
うまく火を付けるコツは、火がつきやすいように麻紐をしっかりと細かくほぐすことと、ロッドは多めに削り、着火する際にはロッドをしっかりと押さえて思いっきり擦る感じだな。