ここはサイアル城内。そしてバイゼグフ王子の部屋だ。
泪は現在、ここで起きていることをみている。
ここにはバイゼグフ王子と大臣ベンデア・グリューンが居て話をしていた。
因みにベンデアは三十四歳で女性だ。
ベンデアは机の前に立ち椅子に座るバイゼグフをみている。
「戴冠式までには時間がある。だが、それまでに早く兄上をみつけて殺せと言ったはずだ」
「バイゼグフ様、手配はしたのですが依頼した者と音信不通になってしまったらしく……申し訳ありません。ですが、他の手段も考えております」
「それならよい。しかし兄上を押す者が、このまま黙っているとも思えん」
それを聞きベンデアは不敵な笑みを浮かべた。
「それならば監視役を強化いたしましょう」
「うむ、そうだな……その方がよいだろう」
「では……手筈を整えて参りますので」
そう言いベンデアは一礼をすると部屋をでる。
それを確認するとバイゼグフは机上の一点をみつめた。
(国民は未だに兄上のことを支持している。クソッ……なぜだ! 私と何が違う? ただ年齢が上か下かの違いじゃないか)
そう言いバイゼグフは、ドンと机上を思いっきり両拳で叩く。
その後バイゼグフは机上の書類を嫌々目を通していた。
▼△★△▼☆▼△
場所は変わり、ここは司と美咲の屋敷の庭だ。
「ねぇ、そろそろ……書き始めたいんだけど」
「そうだな……美咲のやる内職も決まったし家の中に入るか」
そう言うと司は立ち上がり依頼書の束を持った。
美咲も依頼書と泪が入っている籠を持ち立ち上がる。
「待って……私も一緒に行くっ!」
それを聞き司は立ちどまり振り返った。
「慌てなくても置いていく訳ないだろ」
「そ、そうかもしれないけど……なんか不安になって」
「そうか……でも、俺が美咲を好きだって知ってるよな」
そう言われ美咲は頷き顔を赤らめる。
泪はその言葉を聞き自分のことのように恥ずかしくなった。
(司さん……前から思ってたけど、超ストレートに言っちゃうんだよね。それも……爽やかな笑顔で……。
私もグレイに言われたい……ん? なんでムドルさんの顔が浮かんだの? んーこう云うところって……ムドルさんに似ているからかな)
そう思い泪は、マジマジと司をみる。
その後、司と美咲は屋敷の中に入っていった。
▼△★△▼☆▼△
そして場所は、セフィルディの屋敷にある書斎に移る。
勿論ここで起きていることも泪はみているのだ。
この場所には、セフィルディとドルムスが居てソファに座り話をしていた。
「……本当に私が王位につかねばならんのか」
「今更、何をおっしゃっているのです。ことは着々と進んでいるのですよ」
「セフィルディ……それでも私でなければ駄目なのか?」
そう言われセフィルディは頭を抱える。
「いい加減にしてください。ドルムス様でなければバイゼグフ様が王位についてしまう。そうなれば……この国は終わってしまいます」
「そうだな……だが、やはり王になるのは嫌だ。バイゼグフ以外の誰かに譲ることは無理なのか?」
「ハァー……呆れましたね。それほどまでに王になりたくないとは……。ですが……ないことはありませんが……」
それを聞きドルムスは身を乗り出した。そしてセフィルディの顔の近くまでよる。
「あるんだなっ! それはどんな方法なんだ?」
「ええ……ですが、それをやると恐らく本人たちが怒るかと」
「と、いう事は……見知った者か。それは誰なんだ?」
そう問われセフィルディは説明した。それをドルムスが聞いている。
――……それらのことが泪の頭の中へ流れ込んできた。そのため泪の顔は一瞬で青ざめる。
(これが本当に行われたなら……でも、これって成功したの? 成功したとしたなら……グレイが、なぜログロス村で産まれて育ったのかな?
なんか……よく分からない。それに、このことを知ったら恐らく依頼を断ると思うよ。
ううん……それよりも知らないまま行われたとしたら絶対に怒る。でも……まさか流石に、こんなことしないよね)
そう思考を巡らせながら泪は美咲をみたあと司へ視線を向けた。
泪は現在、ここで起きていることをみている。
ここにはバイゼグフ王子と大臣ベンデア・グリューンが居て話をしていた。
因みにベンデアは三十四歳で女性だ。
ベンデアは机の前に立ち椅子に座るバイゼグフをみている。
「戴冠式までには時間がある。だが、それまでに早く兄上をみつけて殺せと言ったはずだ」
「バイゼグフ様、手配はしたのですが依頼した者と音信不通になってしまったらしく……申し訳ありません。ですが、他の手段も考えております」
「それならよい。しかし兄上を押す者が、このまま黙っているとも思えん」
それを聞きベンデアは不敵な笑みを浮かべた。
「それならば監視役を強化いたしましょう」
「うむ、そうだな……その方がよいだろう」
「では……手筈を整えて参りますので」
そう言いベンデアは一礼をすると部屋をでる。
それを確認するとバイゼグフは机上の一点をみつめた。
(国民は未だに兄上のことを支持している。クソッ……なぜだ! 私と何が違う? ただ年齢が上か下かの違いじゃないか)
そう言いバイゼグフは、ドンと机上を思いっきり両拳で叩く。
その後バイゼグフは机上の書類を嫌々目を通していた。
▼△★△▼☆▼△
場所は変わり、ここは司と美咲の屋敷の庭だ。
「ねぇ、そろそろ……書き始めたいんだけど」
「そうだな……美咲のやる内職も決まったし家の中に入るか」
そう言うと司は立ち上がり依頼書の束を持った。
美咲も依頼書と泪が入っている籠を持ち立ち上がる。
「待って……私も一緒に行くっ!」
それを聞き司は立ちどまり振り返った。
「慌てなくても置いていく訳ないだろ」
「そ、そうかもしれないけど……なんか不安になって」
「そうか……でも、俺が美咲を好きだって知ってるよな」
そう言われ美咲は頷き顔を赤らめる。
泪はその言葉を聞き自分のことのように恥ずかしくなった。
(司さん……前から思ってたけど、超ストレートに言っちゃうんだよね。それも……爽やかな笑顔で……。
私もグレイに言われたい……ん? なんでムドルさんの顔が浮かんだの? んーこう云うところって……ムドルさんに似ているからかな)
そう思い泪は、マジマジと司をみる。
その後、司と美咲は屋敷の中に入っていった。
▼△★△▼☆▼△
そして場所は、セフィルディの屋敷にある書斎に移る。
勿論ここで起きていることも泪はみているのだ。
この場所には、セフィルディとドルムスが居てソファに座り話をしていた。
「……本当に私が王位につかねばならんのか」
「今更、何をおっしゃっているのです。ことは着々と進んでいるのですよ」
「セフィルディ……それでも私でなければ駄目なのか?」
そう言われセフィルディは頭を抱える。
「いい加減にしてください。ドルムス様でなければバイゼグフ様が王位についてしまう。そうなれば……この国は終わってしまいます」
「そうだな……だが、やはり王になるのは嫌だ。バイゼグフ以外の誰かに譲ることは無理なのか?」
「ハァー……呆れましたね。それほどまでに王になりたくないとは……。ですが……ないことはありませんが……」
それを聞きドルムスは身を乗り出した。そしてセフィルディの顔の近くまでよる。
「あるんだなっ! それはどんな方法なんだ?」
「ええ……ですが、それをやると恐らく本人たちが怒るかと」
「と、いう事は……見知った者か。それは誰なんだ?」
そう問われセフィルディは説明した。それをドルムスが聞いている。
――……それらのことが泪の頭の中へ流れ込んできた。そのため泪の顔は一瞬で青ざめる。
(これが本当に行われたなら……でも、これって成功したの? 成功したとしたなら……グレイが、なぜログロス村で産まれて育ったのかな?
なんか……よく分からない。それに、このことを知ったら恐らく依頼を断ると思うよ。
ううん……それよりも知らないまま行われたとしたら絶対に怒る。でも……まさか流石に、こんなことしないよね)
そう思考を巡らせながら泪は美咲をみたあと司へ視線を向けた。