ここはカリスワイブ大陸のラファストル国の王都ファスリア。

 そしてファスリア城の中庭には、清美とフウルリスクとサクリスがいる。

 三人は、テーブルを囲み椅子に座って話をしていた。

 「あれから二ヶ月も経ってしまったのね。いつまでもここに居る訳にはいかないし」

 「キヨミ、貴女の気持ちは分かります。ですが、今は自身の能力を使い熟せるようにならないと」

 「そうだな。オレもそうだが。もう少し力をつけてからの方がいい」

 そう言われ清美は悲しそうに遠くをみつめる。

 「いつになったら泪を探しに行けるんだろう」

 「つらいかもしれませんが、今は堪えてください」

 「うん、そうだね。それに、ここには聖女や勇者にまつわる文献が残ってる。それも調べないと」

 そう清美が言うとフウルリスクは頷き微笑む。

 「そうですね。ああ、そういえば! やっと竜の里から返事が返って来たらしいですよ」

 「それは本当なの!? それで返事はなんて?」

 そう言い清美は身を乗り出した。

 「龍神がキヨミに会いたいと言っているらしいです」

 「キヨミに? ってことは……」

 「サクリス。手紙を読み、キヨミを聖女と認めたのか。そうじゃなければ……。まだ信用していないが、聖女かどうかを確認するためかもしれません」

 そう言いながらフウルリスクは清美をみつめる。

 「そうかもしれません。ですが、会えるのであれば……」

 「そうですね。いつ会えるのか、恐らく手紙に書いてあるかもしれません。ですので、このことは詳しく聞いた方がいいでしょう」

 「ええ……そうですね」

 清美がそう言い、それを聞きフウルリスクは頷いた。

 その後、三人はそのことを聞くためこの城の大臣ギヴェルのもとへと向かう。



 ――場所は移り、タータム草原――


 ここはタルキニアの町に近いタータム草原。

 その道沿いには、ララファルがいる。それと、なぜかユウムとビスガスも一緒だ。

 そうララファルは、あれから魔法を使いタータム草原に転移してきた。そして、グレイフェズを探すべくタータム草原付近の村を転々とする。

 その後、タルキニアの町に来て調べ歩いた。

 その時、冒険者ギルドをみつけ依頼をする。

 そう白銀の髪の男性を探して欲しいと……。

 その依頼書をみたギルドマスター……ドルバドスは、グレイフェズのことかもしれないと思う。

 そのためなんのために探しているのかと、ララファルを問い詰める。

 ララファルは自分の正体と事情を説明した。

 それを聞きドルバドスは、依頼書を少し書き直させたあと受理する。

 そしてドルバトスは、この依頼に最も適任と思われる二人に声をかけた。そうユウムとビスガスだ。

 ユウムとビスガスはその依頼を喜んで引き受けた。


 そして現在、三人はアクロマスグの町に向かうためタータム草原を歩いている。

 「この辺でいいかな」

 「なぁ、ララ。本当に転移するのか? 普通に旅を楽しんだ方がいい気もするけど」

 「ユウム、そんな悠長なこと言ってられない。それじゃなくても、二ヶ月もかかってるし」

 そう言いララファルは、ユウムとビスガスへ視線を向けた。

 「そうだな。依頼人は、ララだ。ちょっと不満だけど、そうする」

 それを聞きララファルは、ニコリと笑いユウムをみる。

 そしてその後、三人はアクロマスグの近くの草原へと転移した。