「じゃあさ、これからはあたしといっしょに練習しようよ!」
 あたしの提案に、遥ちゃんは目を丸くする。
「聖良ちゃんと?」
「うんっ! サッカーとダンス、ジャンルは全然ちがうけど、あたしたち、ひとりで練習してる者同士じゃん? いっしょに練習すれば、より楽しくできるようになるかなって。一生けん命がんばってるのに、イヤなこと言われるツラさもよく分かるし……って、あたしなんかといっしょにされても困るかな???」
 遥ちゃんは一瞬驚いていたけど、
「どうもありがとう! さそってもらえてとってもうれしい。聖良ちゃん、いっしょにがんばろう!」
 と、すぐに花が咲いたような笑顔になったんだ。

 それから、あたしと遥ちゃんは毎週この運動公園に集まって、おたがいの練習に一生けん命打ちこんだ。
 話をしているうちにおんなじ小学五年生ってことも分かって、ますます仲良くなった。
「ね、ね。遥ちゃんみたいにすばやく足を動かすにはどうしたらいいの?」
「それなら、おすすめのトレーニング動画があるよ。一日十分でできるやつ」
「わたし、長時間動くのが苦手なんだ。聖良ちゃんはどうやって体力アップしてる?」
「あたしはねー、よくツナ缶食べてるよ。サラダとかに入れてマメに摂ると疲れにくくなるよ」
 やってることはちがうけど、共通の悩みについて情報交換なんかもしたりして。
 いろんな音楽に合わせて自由に踊る遥ちゃんを見てると、不思議とこっちも元気になってきて、ますます練習に身が入った。
 遥ちゃんもあたしのドリフト練習を見て、
「わぁー、あざやか! カッコいい」
 なんてほめてくれて。
 ひとりで練習していたときよりも、楽しさは何倍にも大きくなった。