きっと、約束だからね――。
 木々がすっかりオレンジ色に変わりはじめた秋の運動公園。
 くっきりと、雲ひとつない青空。
 あたしは、ドキドキとはやる胸をおさえた。

 運動公園の中央にある野外ステージには、多くの観客が集まっている。
『高校生ストリートダンス選手権 県大会』
 ストリートダンスの学生サークルが一堂に集まり、全国大会へのチケットを争う一大イベント。
 あたしは、その最前列に並んで大会の様子を見守っていた。
 県大会とあって、どのチームもレベルが高い。
「うわぁ……」
 そのなかでひときわ目立つ男子がいた。 
 キラキラと風になびく長めの金髪、モデルみたいに背が高く、ハッとするほど端正な目鼻立ち。 
 長い手足を駆使して華麗にステップを踏んでいる。
 まるで風みたいに軽やかだ。思わずその姿にググッと引きつけられる。
 ポーッと見ていたあたしに気づいたのか、その男子はあたしと目が合うと、ニカッとまぶしいくらいの笑顔を浮かべた。
 アイドルみたいにステキな笑顔に魅了されそうになるけれど。
 ちがうちがう!
 今日はイケメンハントなんかに来たんじゃないもん!
 あたしはプイッ! と、そっぽを向いて冷静さを取り戻す。

 今日は、あたしにとってとっても大事な日。
 大切な友だちに会いに来たんだ。