テレーゼは特に涙を流すでもなく、表情を変えるでもなくただ淡々と両親の死を伝えた。
「もう爵位を返上して田舎暮らしをしようというときでした。私が今までお世話になった学友たちに挨拶を兼ねて最後のお茶会に参加した日に、両親は自宅で自殺していたそうです」
「テレーゼ……」
「当時のメイドたちが気を遣ってその現場は見せないようにと、計らってくれました。最後に見た両親の顔はなんとも忘れられません」
コルネリアはその話を聞き、ゆっくりとテレーゼに歩み寄ると、そのまま彼女の背中に両腕を回した。
「コルネリア様?」
「テレーゼ、ごめんなさい。ひどいことを思い出させてしまった。ごめんなさい……」
目をぎゅっとつぶりながら彼女の胸元に顔をうずめて謝るコルネリアに、テレーゼは優しい顔で微笑んで、そしてコルネリアの背中に自らの手を当てた。
「大丈夫です、私はそれからこの家に拾われて、救われました。レオンハルト様たち、この屋敷の皆様に救われました。だから、コルネリア様がレオンハルト様のために、というお気持ちも痛いほどわかります」
「もう爵位を返上して田舎暮らしをしようというときでした。私が今までお世話になった学友たちに挨拶を兼ねて最後のお茶会に参加した日に、両親は自宅で自殺していたそうです」
「テレーゼ……」
「当時のメイドたちが気を遣ってその現場は見せないようにと、計らってくれました。最後に見た両親の顔はなんとも忘れられません」
コルネリアはその話を聞き、ゆっくりとテレーゼに歩み寄ると、そのまま彼女の背中に両腕を回した。
「コルネリア様?」
「テレーゼ、ごめんなさい。ひどいことを思い出させてしまった。ごめんなさい……」
目をぎゅっとつぶりながら彼女の胸元に顔をうずめて謝るコルネリアに、テレーゼは優しい顔で微笑んで、そしてコルネリアの背中に自らの手を当てた。
「大丈夫です、私はそれからこの家に拾われて、救われました。レオンハルト様たち、この屋敷の皆様に救われました。だから、コルネリア様がレオンハルト様のために、というお気持ちも痛いほどわかります」