何かこの現象に覚えがある、そう思った瞬間にレオンハルトの身体は再び子供の姿になっていた。
 馬車には一人でどうすることもできず、ひたすらにヴァイス家に着くのを待った。
 そうして着いてすぐに姿が見えないようにしながら、御者にミハエルを呼んでくるように頼むと、彼に助けられてようやく誰にも見られないように自室に戻ることができた。

「いやあ~あの時は苦労した。御者に見つからないように何とか家に入ってね」
「それは大変でしたね」
「ミハエルが様子に気づいて子供服を急いで馬車まで運んできて」
「着替えてそーっと入ったのですね?」
「そうなんだ」

 コルネリアはその時のレオンハルトの様子を思い浮かべて、不謹慎にも少し可愛いと思ってしまった。
 二回目のその現象の際も一晩様子を見て朝を迎えたが、やはり朝になると元の姿に戻った。
 二度も起こったのだからこれはさすがに何かあるとなり、レオンハルトとミハエルは二度の共通点などを探した。
 すると、二度とも『新月の夜』にその現象が起こっていることがわかったのだ。

「新月の夜……?」