「王家の影」は、王族の命で街に他国の者がいないか、つまりスパイを見つけたりする役割を持った人物のこと。
それの長として迎え入れようというのが、国王の提案であった。
リュディーは最初こそ断ったが、クリスティーナの助言もあってその任を引き受けることにする。
「またあなたと一緒にいられて嬉しいわ」
「普段は町のカフェ経営で情報を集めます。クリスティーナ様をお守りすることは減りますが、俺が留守の間は別の者が対応しますので」
「いいえ、私はあなたがいいの」
「……もったいなきお言葉」
「……」
(私の気持ち、わかってるくせに)
リュディー自身、クリスティーナが自分自身を想うわけがないと思っていた。
彼は彼女を想って身を引き、彼女は彼を想って一歩を踏み出せずにいる。
そんな彼女に婚約の話が訪れたのは、リュディーが王家の影として働き始めてから三年後のことだった。
「ミストラル国の第二王子?」
「ああ、そのリスト・ニューラルに嫁いでほしい」
一瞬、シルバーの長い髪の彼のことが浮かんだが、彼女は目を閉じてその幻を消す。
それの長として迎え入れようというのが、国王の提案であった。
リュディーは最初こそ断ったが、クリスティーナの助言もあってその任を引き受けることにする。
「またあなたと一緒にいられて嬉しいわ」
「普段は町のカフェ経営で情報を集めます。クリスティーナ様をお守りすることは減りますが、俺が留守の間は別の者が対応しますので」
「いいえ、私はあなたがいいの」
「……もったいなきお言葉」
「……」
(私の気持ち、わかってるくせに)
リュディー自身、クリスティーナが自分自身を想うわけがないと思っていた。
彼は彼女を想って身を引き、彼女は彼を想って一歩を踏み出せずにいる。
そんな彼女に婚約の話が訪れたのは、リュディーが王家の影として働き始めてから三年後のことだった。
「ミストラル国の第二王子?」
「ああ、そのリスト・ニューラルに嫁いでほしい」
一瞬、シルバーの長い髪の彼のことが浮かんだが、彼女は目を閉じてその幻を消す。